子犬の現物確認と対面販売の義務化は必要なのか

子犬の購入前に、その子犬を実際に見なければいけない

2013年9月に施行された改正動物愛護管理法で、子犬の販売に置いて、子犬の現物確認と対面販売が法律として義務化されました。

現物確認、対面販売の義務化とは、なんでしょうか?

子犬の販売で言えば、ある子犬を購入されることを検討しているお客様がいらっしゃった場合、必ず、購入の契約を交わす前に、実際の子犬をお客様の実際の目で、直接見て、確認していただかなくてはいけない、というものこと。そして、子犬を販売する人は、子犬を購入する人と実際に会って販売しなければいけない、ということが法律で決められた、ということです。

今回の法律では、写真や動画など、またリアルタイムの動画情報でも、販売に際しては否定されています。そして、販売者は購入者に直接会わなければいけないので、メールのやり取り、SNSでのやり取りだけで子犬を販売することは出来ない、ということです。

これに対しては、それが当たり前、という意見もあると思います。また、一方では現物確認・対面販売の危険性、これは子犬を購入する立場の人の危険性もあるということを書いておきたいと思います。

子犬の現物確認・対面販売なんて、当たり前のこと?

生きている子犬を買うのに、見ないで買うのは考えられない、という人もいるでしょう。それに、ネットで写真だけで決めて買ったら、違う犬が来た、なんてこともあるようだから、きちんと確認しておかないと危ない、と思う方もいるでしょう。

確かに、工場で作っている電気製品などだったら、実際のお店で買おうが、ネットで買おうが信頼できるメーカーであれば、同じ品質のものが入手できます。ネットで購入して、届けてもらうことが当たり前の世の中です。でも、子犬は同じ犬種だからと言っても、1頭1頭違います。全く同じ子犬は、クローンでも作らないと、生まれません。しかも生きています。だから、きちんとお迎え前の確認したほうが良いというのは、当たり前の話、と考えて間違いではないでしょう。

それに、元々普通のペットショップでは実際に子犬を見て、抱っこしてから買うのが当たり前です。

インターネットなどで生きている子犬を買うこと自体が問題ではないのか、という意見もあるかもしれません。

子犬を必ずしも現物確認する必要はないのでは?

写真と違う犬が来たなどのトラブルは、売り手のモラルの問題で、子犬の売買に関する問題は、実際に見て、触って確認した子犬にも発生しており、この子犬の現物確認の本質とは違った問題です。

時代は2020年に入り、撮影機器の性能は、スマホでも、以前のデジカメに比べてもはるかによくなっています。従って、実際の子犬を見なくても、一般的なデジカメまたはスマホのカメラでも、動いている子犬を高精度にぶれなく写真撮影ができ、4K動画だって、誰でも簡単に撮影できます。

また、通信環境、ネットワークなどもどんどん改善され、リアルタイムの写真や動画でブリーダーさんのところで元気に育ている子犬をパソコン、スマホ、タブレットなどで見ることができます。

従って、実際に事前に見学などで子犬を直接見られるのであれば、それは良いと思いますが、実際に肉眼で見て確認しなくても、それが原因で問題が起こることはないのではないでしょうか。

まじめにブリーディングを行っているブリーダーさんは、本当によく犬のことを知っています。特に自分が扱っている犬種のことについていろいろな知識があり、経験があるのです。

そして、自分がブリーディングさせた犬に自信を持っています。

だから、もし自分の犬舎から送り出した子犬が、お客様から何かトラブルを指摘されるようなことがあれば、それはブリーダーさんにとっては、自分がしっかりとした仕事ができなかった、と言われているのと同じです。

そんなことのないように、まともなブリーダーであれば、しっかりと問題のない子犬を選び、紹介して、送り出すのです。

もし、何らかの問題がある場合は、それをお客様にしっかりとお伝えした上で、その問題を承知の上で、購入を希望される方にはお引き渡しします。その場合、通常に比べて、価格を安くする、里親で送り出す、など、それなりの対応をしてくれます。

購入したい犬種を決めて、性別の希望があれば、それを伝えて、さらに毛色や柄などの希望を伝えることによって、ブリーダーさんはそれに見合った子犬を紹介してくれます。

だから、あえて実際にその子犬を見なくても、つまり子犬の現物確認をしなくても、お客様は、希望に見合った子犬を迎えることができるのです。

問題なのはブリーダーの信頼性であり、これは、実際に子犬を見る、見ないとは全く違う話です。

子犬を現物確認・対面販売することのデメリット

逆に、子犬を実際に見て、触ることによってのデメリットもあるのです。

例えば、「子犬の衝動買い」の誘発です。

ペットショップの店頭で可愛い子犬を見た、どうしても飼いたくなった、実際に自分が子犬を飼える環境にあるのか、世話が出来るのか、そんなことは二の次で、子犬を購入してしまう、その結果・・・・、

というケースも稀なことではありません。これは、実際に子犬を見たことが原因と言えます。

また衝動買いではなくても、子犬の購入を目的にペットショップに来店したお客様の中には、実際に子犬を見て、抱っこすれば、その子犬の可愛さで、頭が一杯になってしまうこともあるでしょう。そこへ、ペットショップの店員さんが、ちょっとした犬に関する専門知識っぽい言葉で勧めれば、お客様は、その子犬を買わない、という選択肢は頭から消えてしまうでしょう。

例え、その子犬に、ある程度知識を持ってよく見ればわかる問題があったとしても、それらの問題は、実際に見て、触っている子犬の可愛さで、全て隠されてしまうでしょう。

子犬を実際に見る、触ることによる弊害もあるのです。

こういったことから、ペットに関しては日本よりはるかに進んでいる主要な欧米諸国では、ペットの陳列販売はNGです。

でも、それはペットショップでの陳列販売の問題だけではありません。

先ほど、「まともなブリーダー」であれば、ということを掻きましたが、世の中にはまだまだ「まともではないブリーダー」も存在します。

犬を飼う一般の方の多くは犬に関して素人です。その素人が実際に子犬を見て確認してわかることなんて、たかが知れている、と言ったら怒られるでしょうか。

でもそれも事実であろうし、そんな犬の素人の購入者にたとえ子犬に欠点、欠陥があっても、その子犬を見て、触ってもわからないことがほとんどでしょう。

そこへ、専門知識を持っている振りをする「まともではないブリーダー」が言葉巧みに説明すれば、なすすべもありません。

むしろ、「まともな」ブリーダーに任せて子犬を選んで送ってもらった方が、確実に問題ない子犬を迎えることが出来る、ということも言えるでしょう。

問題は、子犬そのものを見て、確認する、ということではなく、その子犬を販売しているショップ、またはブリーダーが「まとも」か、「まともでないか」をよく見極められるかどうか、ということだと思っています。

確認すべきは子犬ではなく販売する人間

つまり、子犬の現物確認では、子犬をよく見るのではなく、それを売ろうとしている人間をよく見て、確認すべきだと思うのです。

私たちも、子犬の事前確認を否定はしません。出来れば、実際に見た触ったほうが良いと思います。ただし、「まともな」販売者、ブリーダーのところで。実際に見て、触ることによるデメリット、危険性、これは悪意を持った販売者にはメリットにもなり得ます。従って、私たちは子犬を実際に見て確認するということを義務化する法律は見直すべきだと考えます。

2021年6月までに、やっと子犬の8週齢規制が骨抜きではなくなる、と思ったら、例外規定が付きそうだ、ということも犬のためではありません。利害を伴う政治的なものだろう、と多くの人が思っています。

子犬の現物確認・対面販売の義務化も、子犬のためと言うより、既存のペットショップのネット販売への政治的圧力だと推測してしまいます。日本が、ペット後進国であることの象徴ではないでしょうか。

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