トイプードルの歴史について

トイプードルというのは、プードルの中の現在最も小さいサイズのプードルを指す名前です。

もともとは、現在のスタンダードプードル、通称”スタンプー”といわれる大型のプードルを小型化されて、現在の小さいサイズのプードル、すなわちトイプードルが生まれてきたのが、トイプードルの歴史的な流れと成っています。

スタンダードプードルとトイプードルの間には、ミディアムプードルとミニチュアプードルという、その中間サイズのプードルがJKCでは登録されています。

しかし、実際のところは、スタンダードプードルは別にして、比較的それより小さいタイプのプードルは、実際はミニチュアやミディアムのサイズであっても、ほとんどの場合トイプードルと呼ばれているのではないでしょうか。

ということで、このページも”トイプードルの歴史”というよりは、正確には、”プードルの歴史”と書いたほうが良いのかもしれません。

しかし、現在最も一般的で登録頭数も多いのがトイプードルということで、あえて、”トイプードルの歴史”と書かせて頂いています。

その歴史は紀元前から?

トイプードルは、現在日本でも、最も人気のある犬種です。

そのもとになるプードルという犬種がどのように確立されてきた歴史があるのか?

ということについての詳細は、いろいろと調べてみても、残念ながらよくわからないのが実情でした。

ただ、プードルらしき犬については、かなり古くから記録にあるようです。

プードルに似た犬は紀元前からいたといわれていて、その根拠となるのは、紀元前30年ほどの時代のローマ皇帝の記念碑に、“プードルと思われる犬”の彫刻がされていることだといわれています。

“プードルと思われる犬”ということで、実際にその犬がプードルのもととなる犬であったのかどうかは、定かではありません。

しかし、現在に残るその頃の時代の彫刻品の細かい部分の写実的な正確性は、ものすごく素晴らしいものだと思うので、もしかしたら、本当にプードルの元祖に近い犬だったのかもしれませんね。

ただし、プードルが歴史上に愛玩犬として登場して、実際に人々にもてはやされるようになったのは、16世紀ごろとのこととなるようです。

紀元前からはかなりの時間が経過していますが、それでも今から500年ぐらい前ですから、歴史の古い犬種であることには、間違いがないようです。

現在トイプードルというと、フランスが原産地といわれていることが多いようですが、実際のプードル発祥の地は定かではありません。

トイプードル、祖先はどんな犬?

プードルは、french poodle(フランスの国犬)とも言われて、フランスの貴婦人たちの間で人気を集めた犬種でした。

そんなことから、一般的にトイプードルは、フランス原産の犬といわれるようになったようです。

もともとプードルの原型となった祖先犬は、中央アジアに存在したという説もあるようです。

ただ、前のページで書いたローマ皇帝の記念碑の彫刻のように、ほかにも世界のいろいろなところにプードルらしき犬がいた痕跡があるとも言われています。

また、南欧のウォータードッグ(水中作業犬)の血が加えられているという説もあります。

しかし、具体的にプードルの元となる犬として名前が出てくる中で最も有力そうなのが、「バーベット」と言われる犬なのです。

「バーベット」は、現在のヨーロッパからロシア、中央アジアに広く分布していたと言われ、カールのかかった被毛をした犬であったとのことで、この「バーベット」がプードルのもとの犬ではないか、というのが現在最も有力な説のようです。

そして、その中でも特にドイツ原産の「バーベット」が、最も強く現在のプードルに影響を与えたのではないかと言われています。

その根拠となるのが、プードルという名前です。

やっとプードルという名前に近づいてきましたが、まだフランスという国は出てきていません。

トイプードル 原産国はフランス?

“ドイツ原産の「バーベット」が、最も強く現在のプードルに影響を与えたのではないかと言われてる”、そしてその根拠が“プードルと言う名前”とご紹介しました。

ではなぜ、、その根拠が、“プードルという名前”なのか?

プードルと言う名前は、ドイツ語で”水たまり、水がはねる”という意味を持つ、プーデル(pfudel)だとされているからというのがその根拠のようです。

もともと元祖トリミング犬として、今でも、トリミングの最も基本となる犬となっているトイプードルですが、本来その刈り込みを入れられたのは、水猟犬として水場を泳ぐのに都合が良いように被毛をカットしたという機能的な目的であり、ドイツ語のプーデルという言葉が元であると言う説との、合理性があるということがその理由です。

泳ぎが得意で、猟で仕留めた水鳥を運ばせるために、冷たい水から心臓と関節を守るためにその部分のみの被毛を残して、それ以外の部分を刈り込んだ、本来は仕事のための機能的なプードルの特徴的なカットが、フランスでより強調されて、本来の目的とは全く違う、ファッションとしてのカットに変わっていきました。

そしてファッション性を高めるためにカットされたプードルがフランス貴族の間で人気を博したことから、french poodle(フランスの国犬)と言われるようになりました。

その後、より小型に改良されてきたことを考えると、現在のファッション要素の高い愛玩犬としてのトイプードルの原産がフランスだというのも、間違いではないようですね。

でもトイプードルがどのように大きなプードルから小型に改良されてきたのか、ということについては、実際のところあまり記録がないようです。

プードルの小型化

プードルが貴族たちの人気となり始めたのが、時期的には16世紀ごろといわれています。

その貴族人気から、より優雅さを求めてカットも追及されるようになり、かつ小型化されていくようになってきました。

まず、ミニチュアプードルが生まれ、トイプードルは18世紀のルイ16世の時代に作出されたと言われています。

そして、19世紀、ナポレオンの時代には、たくさんの宝石で装飾された首輪を付けたトイプードルが、抱き犬としてもてはやされたそうです。

ただし、今のところ、どのようにプードルが小型化されてきたのか、というところまではたどり着くことが出来ません。

当時のフランスで、プードルのブリーディングに熱心なブリーダーが小型化への改良を進めてきたようです。

現在日本でも柴犬からより小型の豆芝を犬種として固定させようとしていますが、それと同じようなものなのかな、と思います。豆芝の場合も、小型の柴犬同士での交配を進めて、生まれてくる柴犬を小型に固定しようとしていますが、同じような考え方で改良を進めたのでしょうか。

ただ、現在のスタンダードプードルとトイプードル、特にいわゆるティーカップサイズと言われるようなトイプードルでは、その大きさがあまりにも違うので、どうしたら、スタンダードプードル大きさから、ティーカップサイズに出来るのだろうと考えてしまいます。

さて、愛玩犬としてフランスで小型化されていきた歴史を持ち、今や世界中で人気の愛玩犬となったトイプードルですが、もともとのプードルは、実用的な使役犬としても活躍していたようです。

トイプードル 単なる愛玩犬とは一味違う、その能力

現在のトイプードルを含めたプードルは、賢く、訓練性も高い犬種ですが、もともとはその特性を生かして、先に紹介した水猟犬として以外にも使われていました。

フランスでは、プードルの水猟犬としての高い能力から、「chien canard(カモ犬)」、を語源として「caniche」(カニッシュ)などと呼ばれていました。

またプードルの嗅覚を利用して、現在”黒いダイヤ”とも言われ高級食材として有名な、世界3大珍味のひとつである”トリュフ”(きのこの1種)を探すためにも使われていました。

プードルがその嗅覚を生かして地中の”トリュフ”を探し出し、ダックスフンドがプードルの見つけた”トリュフ”を掘り出すと言う現在愛玩犬として人気の2犬種が”トリュフ”の収穫に使われていたようです。

また、その訓練性のよさから、軍用犬としても使われていました。トイプードルと軍用犬というと全くイメージがわかないかもしれませんが、大きなスタンダードプードルを見たことがあれば、これも納得がいくかと思います。

そして、プードルの高い訓練性が生かされたもうひとつが、サーカスです。

現在でも、サーカスでの犬の曲芸では必ずといっていいほど、トイプードルが出てくるのではないでしょうか。

このサーカスでのプードルの卓越した演技が、フランスでのプードル人気の一因にもなったとも言われています。

現在では、そのトイプードルの訓練性のよさは、介助犬としても生かされています。

また、もちろんそのカットによるファッション性の高さから、ショードッグとしても活躍しているのは言うまでもありません。

このように、トイプードルは愛玩犬といえども、その能力は単なる愛玩犬とは一味もふた味も違うのです。

トイプードルにも絶滅の危機があった?

現在、日本ではスタンダードプードルを見かけることは少なくなりましたが、トイプードルは人気No.1を常に争う犬種です。

基本的な性格はとてもよく、また大きさ、色はバラエティーに富んでおり、また同じトイプードルでもカットの仕方で、外観を全く違うイメージにすることも出来ます。

トリミングの基本となる犬種だけに、そのファッション性は他の犬種の追随を許しません。

また、抜け毛が非常に少ないと言う、室内犬としては、大きなメリットも持つ犬種です。

しかも、賢く、とても訓練性が良いので、しつければそれにしっかりと応えてくれます。

人気の出ない要素はないですね。

でも、信じられないことに、そんなトイプードルも、プードルとしての犬種の絶滅の危機を迎えた国があったそうです。

なんと、それはアメリカです。

1920年代後半には、アメリカでのプードルの人気が急落、アメリカでの犬種としての絶滅の危機を迎えたそうです。しかし、1930年代に入って、その人気が少しずつ持ち直し、現在までに人気犬種のひとつとなってきたとのことなのです。

wikipediaによると、1949年にそのアメリカから輸入された3頭の黒いミニチュアプードルが日本におけるプードルの歴史の始まりとのことなのです。

このよういスタンダードプードルからトイプードルへと改良され、人気の愛玩犬となったトイプードルですが、その進化はまだまだ続きそうです。

トイプードルはまだまだ進化(?)します

現在すでに、ティーカッププードルと言う名前が定着しつつあるようですが、正式には今現在は存在しません。

登録されているのは、スタンダード、ミディアム、ミニチュア、そしてトイの4種類です。

しかし、現実的には、極小サイズのプードルとして、ティーカッププードルという名前で人気が高く、ものすごく高い金額で取引されることもあるようです。

健康的に小さくされてきたのなら良いのですが・・・、この点については、トイプードルのサイズのところでも書いているので、ここでは追求しません。

ただ、健康なティーカップサイズのプードルを固定化させようとしているまじめなブリーダーも少なくないのも事実化と思います。

将来的には、正式にティーカッププードルが公認されるかもしれませんね。

また、色については、現在JKCでは単色(ソリッドカラー)しか認めていませんが、すでに海外、また日本でも一部のブリーダーは2色以上のいわゆるパーティカラーというトイプードルが出てきています。(いわゆるミスカラーではない)

これも、将来的には公認されるようになるかもしれません。

また、トイプードルをベースに、特定した他犬種との交配犬を新たな犬種として固定化しようとがんばっているブリーダーもたくさんいるようです。

プードル・ハイブリッドと言われ、アメリカンコッカースパニエルとのハイブリッドであるコッカプー、チワワとのハイブリッドであるチープーなどが有名ですが、実際には多岐に渡る犬種とのハイブリッド化が行われているようです。

これらは、進化といってよいのかどうか、疑問な点はありますが、トイプードルのバラエティーが増えていくのは確実でしょう。

でも、本来持っているプードルとしての良さは、いつまでも失わないで欲しいですね。

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