人間のワクチンでの副作用例について
2021年2月、新型コロナ感染症のワクチンの日本での接種がいつになるか、というのが話題になっている時です。そのワクチンに関して、ちょっと、というかかなり古い新聞記事ですが、次のような記事がありました。こういった事例が、日本でのワクチン開発に影響を与えたのでしょうか。
ここから下の内容は、2004年頃に書いた内容です。したがって、今は少し違うよ、ということもあるかもしれませんが、ご了承ください。
予防接種に副作用?
読売新聞 1996年3月30日 東京朝刊 38ページより
子供の死亡2例 入院42件、5件は重症/厚生省調査 一昨年十月から一年間にDPT(ジフテリア、破傷風、百日ぜき)など予防接種など六種を受けた子供のうち二人が、副作用が疑われる症状で亡くなっていたことが二十九日、厚生省が初めて全国的に行った 予防接種後の健康調査で明らかになった。このほか、入院したケースが四十二件あり、うち五件は重症だった。インフルエンザなど予防接種の副作用被害を国の過失とした東京高裁判決をきっかけに、一昨年、接種を義務付けていた 予防接種法が改正され、受けるかどうかは事実上親の判断となった。このため、副作用情報を広く提供しようと、同省が都道府県に報告を求めていた。対象は、定期接種として実施されたDPT(DT=ジフテリア、破傷風=を含む)、麻しん、風しん、日本脳炎、ポリオ、BCGの六種の予防接種 。報告は計四百四十三件にのぼったが、急性N アレルギーや発熱、けいれんなど副作用と認められたのは三百六十件。死亡例の一つはDPTを受けた二歳の男児。接種して約五時間後に吐き、発熱し、二日後に死亡 した。DPTでは、このケースを含め九十八件の副作用報告があり、発熱やけいれんなどでの入院が八件あった。もう一つの死亡例は、ポリオの 予防接種を受けた三か月の男児だが、乳児突然死症候群が疑われており、 予防接種との因果関係ははっきりしないという。このほかポリオの入院は二件で、けいれんを起こし脳症が疑われたり、脳こうそくになったりした症例。
[感染症新事情]第5部予防接種は今(4)欠かせない「副反応」情報(連載)■受ける時期は?
読売新聞 1997年10月20日 東京朝刊 5ページより
赤ちゃんが生まれたお母さんに、市区町村から予防接種のパンフレットが送られてくる。DPT(ジフテリア、百日ぜき、破傷風の混合)、麻疹(ましん)(はしか)、ポリオなど子供が受ける定期接種には種類がたくさんある。「いつ、どの順番で受けるのがいいのかしら」と頭を悩ませる。定期接種の時期には、「接種対象年齢」と「標準的な期間」がある。接種対象年齢では生後九十か月(七歳六か月)までと範囲が広いワクチンが多いが、標準的な期間はこれより狭い。「副作用も心配。小学生になってからにしようか」と考える母親も少なくない。加藤達夫・聖マリアンナ医大教授(小児科)は「九十か月という接種対象年齢の設定に、医学的な理由はありません」と言う。親が忘れたり、子供が体調を崩して受けなかったケースが意外に多く、漏れを防ぐなどの配慮が働いている。医学的に意味があるのは標準的な期間。例えば、麻疹ワクチンは一歳過ぎから二歳までに、風疹ワクチンは一歳から三歳の間に接種することが勧められている。麻疹や風疹には感染しやすい年齢があり、風疹の方がやや年長でかかる傾向があるためだ。■DT後に死亡も
ただし、麻疹や破傷風のように大人がかかっても重い病気や、風疹のように妊婦がかかると胎児に影響が出るのもある。加藤教授は「定期接種は標準的な期間が過ぎていても受けるべきです」とアドバイスする。接種を受ける年齢や順序が変わっても、ワクチンの効果はほとんど変わらない。気になる副作用の危険は? 厚生省が九四年十月から昨年三月までに集計した医療機関からの副反応(副作用)報告数では、比較的副作用が多いとされる麻疹ワクチンの場合、接種から一日以内にじんましんなど全身のアレルギー反応が起きた確率は、二万二千八百人に一人となっている。だが、厚生省に報告しない軽い副作用の事例も少なくないとみられる。法改正の結果、子供の接種には親の自主的な判断が重要になったが、予防接種の普及には、感染症の危険性やワクチンの効果に加え、副作用の確率や症状の分析など負の側面も含めた、行政側の緻密(ちみつ)な情報収集と公開が欠かせない。先月、安全性が高いとされたDT(ジフテリア・破傷風混合ワクチン)の接種の四日後に女児が死亡したしたケースが明らかになった。だが、接種との因果関係や、特定の子供に重い副作用が起きた原因を探るのは難しい。「予防接種には、まだわからないことが多い。安全性をさらに向上させ、国民の信頼を得なければ」。加藤教授は自戒を込めて語っている。
《主な予防接種と副反応報告数》
ワクチン名 | 接種者数 | 副反応報告 | 死亡 | 重篤 |
DPT・DT | 893万人 | 225 | 1 | 0 |
はしか | 164万人 | 223 | 1 | 1 |
風疹 | 292万人 | 183 | 0 | 0 |
日本脳炎 | 513万人 | 69 | 0 | 2 |
(94年10月―96年3月、厚生省調べ)
こんな記事を見たら、子供の予防接種に対して、とても慎重になりますよね。病気を防ぐための予防接種が体に不調を起こしたり、ひどい場合は、死亡の可能性もあるなんて。
人間の子供の予防接種でさえ、このような実情です。ましてや、子犬の予防接種にどれだけの人が関心を持っているでしょうか。
子犬のワクチン接種について
子犬といっても、超小型犬のチワワから、大型犬のシェパードまでいろいろで、しかもそれぞれの子犬の状況はまったく違います。
超小型犬のチワワの、しかも、小さな子犬に8種のワクチンを打つのが、子犬にとって、どれだけ負担になるか、容易に想像がつくものと思います。
本来、感染の可能性がなければ、予防接種を打つ必要はありません。もともと子犬は、母親の母乳から免疫をもらっているため、離乳する生後2ヶ月ぐらいまでは、予防接種の必要がありません。
町のペットショップの店頭で販売される子犬の多くは、かなり早い時期から母親から離され、精神的なストレスを受けるだけでなく、小さな体に必要以上に早い時期に8種以上のワクチンが打たれているケースが少なくないようです。
よく、ペットショップで「8種ワクチン接種済」と子犬の健康、安心を保障するように書いてあります。しかしこれは、8種以上のワクチンを打っておかないと感染の危険が高いということでもあるのではないでしょうか。
店頭販売の子犬たちの多くは、仲介の業者、犬のセリ市などを経てくるため、ペットショップに来るまでに、すでに多くの人や犬を接触する機会が多いため、まずこの間で感染の危険性があります。
そしてペットショップへきてからも、店頭の他の子犬から、また、店頭販売の売りである、お客さまに子犬を抱かせるサービスにより、さらに感染の危険性が高まります。
もちろんお客さまに手を消毒させたり、小学生以下は抱っこさせないなどの対策をしていますが、逆にいえば、そうせざるを得ないということにもなります。
そこで、子犬にどんなに負担がかかっても、出来るだけ種類の多い混合ワクチンを接種させる必要があります。
混合ワクチン接種によって、もし子犬が体調を悪くしたり、死亡してしまっても、店頭販売の場合、子犬を店頭に出さなければよく、仕入れ値が安ければ、何かあっても問題とはならないのかもしれませんが。
第1回目の予防接種を、小型犬に接種する場合、しっかりとしたブリーダーさんほど、種類の多い混合ワクチンの接種を嫌います。
特に体格的に小さな子犬については。子犬に負担のかかることを良く知っていらっしゃるからです。
通常は2種~3種、多くても5種までというところも多いです。
もちろん、子犬の状況や、ご購入者へお引渡し後の状況によっては、8種以上の混合ワクチンを接種することも必要な場合はあるかとおもいます。
決して、混合ワクチンの種類が多いのがよくないといっているのではなく、出来ればその必要がない状態に子犬を置いてあげるのが、良いと考えているのです。
感染を防止するためには、ワクチンの接種はかかせないことで、適正な使用をすれば、充分効果のあるものであるのは間違いありません。
ただし、副作用ということもまったくないとはいえないことも充分理解しておかなければいけないとおもいます。
実際に、大型のジャーマンシェパードの子犬でも、接種後、お客様へのお引渡しのための移動がちょっと早かったために、ワクチンにより軽い感染状態になってしまうケースもありました。
人間の子供であれば予防接種をどうするかは親が決めますが、子犬の場合は、ブリーダーさんや飼い主さんが決めることになります。
どうするのがベストということは、なかなかいえないかもしれませんが、犬の状態や環境を考えて、出来るだけ無理のないように考えてあげる必要があるかもしれません。
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