アメリカンピットブルテリア 闘犬の血筋
アメリカンピットブルテリアは最強の闘犬
アメリカピットブル、または単にピットブルとも呼ばれるアメリカンピットブルテリア。
ご存じに方も多いかと思いますが、闘犬の血を引く犬種です。しかも、その攻撃力の強さから、いくつかの闘犬種の中でも最強と言われ、日本の代表的な闘犬である土佐犬よりも強い犬と言われています。
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日本で売られているのは家庭犬への改良タイプ
しかし、誤解のないように最初にことわっておきます。
現在のアメリカンピットブルテリアには3つのタイプ、すなわちショータイプ、ブリータイプ(家庭犬タイプ)、闘犬タイプがあります。
この中でショータイプとブリータイプは闘犬としての攻撃的な気質を取り除かれ、闘犬としての服従性、従順性だけが残るタイプなので、飼い主の十分な注意と適切な飼育環境、躾により、一般の方でも問題なく飼える犬種になっています。
ただし、もちろん愛玩犬感覚で、かっこいいから、少し興味があるから、などの気軽な理由で飼うべき犬種ではないので、そこは気をつけてください。
もちろん、アメリカンピットブルテリアの魅力の大きな要素は、闘犬であった、ということがあると思います。
しかし、一方、実際に事件率の高い犬種であることは確かでもあるので、もし飼ってみたいと言う方は、アメリカンピットブルテリアがどういう犬なのか、それをまずは知っておくことがとても重要だと思います。
ただし、このアメリカンピットブルテリアという犬を知るためには、あわせてほぼ同じ犬と言える、アメリカンスタッフォードシャーテリアについても書いていくのが合理的でわかりやすいと思います。
そこで、アメリカンピットブルテリアとアメリカンスタッフォードシャーテリアの2つの犬種に関して書いていきます。
闘犬として残されたアメリカンピットブルテリア、家庭犬に改良されたアメリカンスタッフォードシャーテリア
アメリカンピットブルテリアはJKCとAKCでは非公認犬種
もともとは、イギリスで闘犬として作られたブル・アンド・テリアから改良されたスタッフォードシャーブルテリアを、さらにアメリカで、他の犬種の血は入れずに改良されたのが、アメリカンピットブルテリアです。
そのアメリカンピットブルテリアには、ほぼ兄弟と言ってもよいような犬種があります。それは、アメリカンスタッフォードシャーテリアという犬種です。この犬種もアメリカンピットブルテリアとまったく同様に、イギリスからアメリカに持ち込まれたスタッフォードシャーブルテリアを、アメリカで、やはり他の犬種の血を入れずに改良した犬種なのです。
つまり、アメリカンピットブルテリアとアメリカンスタッフォードシャーテリアはほぼ同じ犬と言っても、間違いではないでしょう。少なくとも、外観的、肉体的には。
実際、アメリカンピットブルテリアとアメリカンスタッフォードシャーテリアの外観は全く同じと言ってもよく、見分けるのは難しいでしょう。
では、その違いは何か?
それはもともと持っている闘犬の血をより強くしようと改良されたのが、アメリカンピットブルテリア、逆に闘犬の血を取り除こうとして改良されたのが、アメリカンスタッフォードシャーテリアなのです。
この闘犬の血を残そうとしたのか、取り除こうとしたのか、この違いで現在両者には大きな違いがあります。
アメリカおよび日本での代表的な犬種団体であるAKC、JKCでの公認状況です。
アメリカンピットブルテリアは現在でもAKC、JKCに公認されていない犬種です。
それに対してアメリカンスタッフォードシャーテリアは、AKC、JKCの公認犬種となっています。
つまり、闘犬として作られたアメリカンピットブルテリアは、AKC、JKCからの血統書は発行されず、闘犬の血を取り除こうとして作られたアメリカンスタッフォードシャーテリアは、AKC、JKCの血統書が発行されるのです。
同じ犬がアメリカンピットブツテリアとアメリカンスタッフォードシャーテリアの両犬種で登録
ただし、アメリカンピットブルテリアも、アメリカではUKC、日本ではKCジャパンでは公認され、血統書は発行されます。
従って、例えばアメリカでは、同じ犬を一方ではAKCにアメリカン・スタッフォードシャー・テリアとして登録して、もう一方ではUKCにアメリカンピットブルテリアとして登録しているブリーダーも多いようで、日本でも同様に、アメリカン・スタッフォードシャー・テリアとしてJKC登録した同じ犬を、もう一方ではKCジャパンにアメリカンピットブルテリアとして登録するブリーダーがほとんどのようです。
では、なぜわざわざ2つの血統書を違う団体で取得する、という面倒くさいことをしているのでしょうか?
これは、一般的な知名度として、アメリカンスタッフォードシャーテリアよりも、アメリカンピットブルテリアという名前の方が、圧倒的に浸透している、というのが理由だと思われます。
したがって、現在日本で販売されているアメリカンピットブルテリアとアメリカンスタッフォードシャーテリアは全く同じ犬種であると言えるのです。
ただし、前述の通り闘犬としての犬種名であるアメリカンピットブルテリアの方が圧倒的に知られている、そしてある意味でのステータス的な人気があるのでほとんどの場合、アメリカンスタッフォードシャーテリアの血統書を持っていても、アメリカンピットブルテリアとして販売されているようです。
日本で売られているアメリカンピットブルテリアは家庭犬タイプ
最初にも書いた通り、日本で販売されているアメリカンピットブルテリアは、ショータイプやブリータイプです。そして、その多くはアメリカンスタッフォードシャーテリアの血統書を合わせて持っているでしょう。
したがって、アメリカンピットブルテリアはペットとして家庭で飼うことができる犬種です。
そして、飼い主となる人の十分な知識とこの犬種に対する理解、そして、適切な飼育環境と確実な躾が出来れば、最強の、そしてもっとも忠実な、素晴らしい相棒となってくれるでしょう。
アメリカンピットブルテリアは闘犬として作られ続けた犬種です。しかし、闘犬として作られたということは、単に強いというだけでなく、相手と闘っている最中でも、飼い主の指示には確実に従うような服従性も他の犬種とは比べ物にならないくらい、高くなければいけないということです。
したがって、攻撃的な部分のみを取り除かれたアメリカンピットブルテリアのショータイプやブリータイプ、そしてもちろん最初からそれを意図されて作られたアメリカンスタッフォードシャーテリアもそこいらの犬よりも数段服従性の高い犬になる犬種と言えます。
したがって、確実に犬をコントロールできる飼い主であれば、ほとんど問題ないでしょう。
闘犬の血はまだ残っている犬もいる
しかし、やはり闘犬としての闘う血は、完全にすべての個体で消えているという保証はありません。
普段は、おとなしい、服従性の高い犬でも、見知らぬ人の不振な行動、また他の犬や動物の動きによっては、瞬間的に闘犬としての攻撃的な血が突然よみがえる、ということお絶対にないとは言えません。
特に他の犬との接触には、相手の犬が攻撃的な行動に出る場合もあるので注意をする必要があります。一度戦い始めたら、アメリカンピットブルテリアの攻撃力は半端ではありませんから。
そして、絶対に注意が必要なのは、幼児や小さい子供のトリッキーな動きです。これは、この2犬種だけでなく、他の犬種でも言えることなのですが、こういった小さい子供独特のトリッキーな動きに、瞬間的に攻撃的な反応を示す犬はけっこう多いのです。
アメリカンピットブルテリアが、小さい子供に対してそういった反応、行動を取ったら、確実に、とんでもない事態になってしまいます。
実際にそういった事件もいくつか報告されていて、Wikipediaには「米国では犬のうちピットブルは6%だが死亡事故の61%を占める(2012年時)。被害者のうち半数は飼い主と家族、もしくは同居人である」と書かれています。
また、アメリカンピットブルテリアに関して言えば、オセアニア地域のオーストラリア、ニュウージーランド、またアジアではシンガポールやマレーシアなど、そしてヨーロッパでは、フランス、ドイツ、スペインなど多くの主要国が、法的にこの犬種の輸入や所有を禁止しているようです。
やはり、アメリカンピットブルテリアはショータイプ、ブリータイプであったとしても、こういった事実もあるということをよく理解したうえで飼うべき犬種です。
決して、気軽な、興味本位で飼える犬種ではない、と思っていただきたいと思います。
もしアメリカンピットブルテリアを飼う場合は、家族構成、家庭環境、周辺事情なども考えて、確実にトラブルのないような適切な飼育環境を作り、しっかりとした確実な躾を入れて育ててもらいたいと思います。
そして、大事なことは、アメリカンピットブルテリアという犬がどんな犬なのかを良く知ることです。その一助として、アメリカンスタッフォードシャーテリアよりも、アメリカンピットブルテリアとアメリカンスタッフォードシャーテリアの歴史についてもう少し調べてみましたので、ご興味ある方は併せてご覧ください。
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