オーストラリアン・シェパードはどんな犬?

名前はオーストラリアン・シェパードですが、この犬は一般にアメリカで作られた犬種と言われています。ただし、元となるのは、ヨーロッパのバスク地方の犬がオーストラリア経由でアメリカに渡った犬とも言われています。そしてオーストラリアでは、ディンゴの血も入っているとも言われています。

真偽の程はわかりませんが、そのような犬からアメリカで牧羊犬として作られたのが、オーストラリアン・シェパードです。その歴史については、別のページでも紹介していますので、ご覧になってみてください。

牧羊犬として作られてきた犬種ですから、この犬の能力は心身ともに高いものがあります。

牧羊犬として必要な状況判断能力の高さ、自ら判断して動く行動力、そして、羊を追い込んだり、また外敵から守るための運動能力が備わった犬種と言えるでしょう。

現在は、オーストラリアン・シェパードのその能力はスポーツドッグとして発揮されていることが多いようですが、その賢さ、訓練生の良さから、聴導犬や救助犬、麻薬探知犬や介助犬としても活躍している犬種です。

ということは、家庭犬としてもとても優秀になれる犬種だということでもあります。

しかし、賢く、状況判断能力に優れ、自ら判断して行動できる犬ですから、飼い主がリーダーとして認識されない場合は、その飼い主はオーストラリアン・シェパードの扱いに苦労することにもなりかねません。

しっかりとした飼育環境で育て、きちんとしつけを行い、飼い主となる人間とオーストラリアン・シェパードとの確固たる主従関係と信頼関係を作ることが必要です。

逆に、それがしっかりとできれば、他の犬種では味わえないような、極めて優秀な家庭犬、人生のパートナーとなってくれるのが、オーストラリアン・シェパードです。

また、運動能力が高いので、広い庭が必要、散歩も毎日朝晩しっかりと行う必要がある、と思われがちですが、家庭犬として飼う場合には、全くそんなスペースと散歩の仕方は必要ありません。

オーストラリアン・シェパードは確かに優れた運動能力を持っています。しかし、それはやれば出来る能力を持っているということで、常にその能力を出させないと、オーストラリアン・シェパードがストレスなどでおかしくなってしまう、ということではないのです。

逆に、中途半端に行うと、その本能に火をつけてしまうこともあるので、家庭犬として飼う場合は、普通の犬と同じような生活パターンをそのご家庭で出来る範囲で行ない、それが普通の生活パターンとさせていけば良いのです。

ただし、毎日の運動は必要ありませんが、毎日、しっかりとオーストラリアン・シェパードとコミュニケーションを取る時間はとってあげましょう。その時間を作ってあげれば、オーストラリアン・シェパードは十分ストレスを発散することができます。

コミュニケーションとは、犬と触れ合うことです。特に、犬に指示を出す、犬がそれに従う、というように、例えば、スワレ、マテ、フセ、など基本的なことだけでも良いのです。しっかりとした主従関係と信頼関係ができていれば、犬は、飼い主さんから指示をされて、それに従う行動をすることが、とてもうれしいのです。そして、それがオーストラリアン・シェパードにとっては、最も楽しい、飼い主さんとのコミュニケーションの時間となります。

ろくにしつけもしないで、犬任せに1時間散歩するよりも、しっかりとしたコミュニケーションを20分取るほうが、犬にとっては、よほどストレス解消になるでしょう。

そして、広い庭に放し飼いなどしたら、犬にとってはストレスが常にかかっている状態になるので、しっかりと休める狭くて暗いハウスを室内に設置して、犬が安心して休める場所と時間を与えることも重要です。

単にかっこいいから、かわいいから、ということで気軽に飼ってしまう人にはとても扱いにくい犬になってしまう可能性のあるのがオーストラリアン・シェパードですが、しっかりと犬と向き合い、飼育環境を整え、主従関係と信頼関係を作っていける人にとっては、すばらしい家庭犬となるのがオーストラリアン・シェパードなのです。

オーストラリアン・シェパードの性格についてもう少し詳しく見てみましょう。

オーストラリアン・シェパードの性格

オーストラリアン・シェパードは牧羊犬として活躍してきた犬種です。形も似ていますが、性格的にもボーダーコリーと共通する部分が多いようです。

オーストラリアン・シェパードの性格・特徴としてよく書かれているのは、牧羊犬の特徴である状況判断能力が高く、運動能力が高い、忍耐力、持久力がある。そして、防衛本能が高く、他の犬とはあまり喧嘩をしない、ということです。

ただ、現実的な個人の飼い主からは、必ずしもそういったいい面だけではないようです。犬自身での状況判断能力が高い、ということは、犬自身が自分で状況を判断して行動できる、ということですから、飼い主がしっかりとオーストラリアン・シェパードからリーダーと認められない場合は、オーストラリアン・シェパード自身が、自分で何事も仕切ろうとする、ということになります。

そうなった場合、オーストラリアン・シェパードの性格の特徴でもある、防衛本能が高い、という性格は、飼い主を含めた家族を自分で守ろうとする本能、行動へとつながりやすくなります。

結果として、飼い主の言うことを聞かない、また他の犬や警戒心が強く、場合によっては攻撃的な行動もおこしやすい、というオーストラリアン・シェパードになってしまいかねません。

逆に、飼い主が、オーストラリアン・シェパードに対して、しっかりとしたリーダーシップを取り(=しっかりとした主従関係を構築する)、オーストラリアン・シェパードから信頼される存在になれば、オーストラリアン・シェパードは、この上なく飼い主に忠実な、良きパートナーとなり得るのです。

つまり、本来持っているオーストラリアン・シェパードの性格を良い方向に引き出すか、あるいはその逆にしてしまうかは、飼い主次第、なのです。

基本的にどの犬種でもそうですが、オーストラリアン・シェパード、また同じ牧羊犬のボーダーコリーなどは、特にその要素が大きい、ということになります。

したがって、誰が飼っても飼い易い、という犬種ではなく、あまりしつけをしないで可愛がっているだけの飼い主さんにとっては、とても飼いにくい犬になる可能性があり、逆に、しっかりとしつけを入れられる飼い主さんにとっては、普通の犬以上に家庭犬、パートナーとして最高の犬になり得る可能性を秘めた犬種といえるでしょう。

ただし、上に書いたオーストラリアン・シェパードの性格・特徴は、犬種として一般的に言われていることであり、やはり、それぞれの犬種がそうであるように、同じオーストラリアン・シェパードでも、その個体により、性格は全く違ってきます。

世界の人から、日本人はこうだ、という基本的なイメージはあっても、個々の日本人には、いろいろな性格の人間がいるのと全く同じです。日本人に限らず、欧米、アジア、アフリカ、中東など、どこの国の人でもそれは全く同じでしょう。

ただ大きく見ると、日本人の特徴があるように、オーストラリアン・シェパードにも犬種としてのある程度共通した性格・特徴がある、ということなのです。

そして、個々のオーストラリアン・シェパードには、それぞれ個性があり、警戒心がとても強く、人見知りのオーストラリアン・シェパードもいれば、とても人懐っこいオーストラリアン・シェパードもいるでしょう。

そして、それは元々持っている血統という要素も影響してきます。例えば、攻撃性の高い性格を持った犬からは、同じように攻撃性の高い子犬が生まれてくる可能性が高くなったりします。だから、モラルあるブリーダーは親犬の性格にもこだわり、特にペットとして、家庭犬となることも意識してブリーディングするブリーダーは、親犬となる犬には、攻撃性のない、優しい性格の犬を選んで使っています。

それによって、できるだけ生まれ持った性格自体に問題がない子犬が生まれるように努力しているのです。これは言わば、”先天的な性格”です。

しかしながら、元々良いとされる性格を持って生まれた犬でも、生まれてからのブリーダーの扱い、さらには、新しく家族として迎えた生涯の飼い主となる人間の飼育環境の作り方、飼い方、しつけ方によっては、とんでもなく扱いにくい犬になってしまうこともあります。これは”後天的性格”として、注意すべきことだと思います。

この先天的、後天的性格という点については、各犬種共通であり、下にリンクがありますので、ご覧になってみてください。

オーストラリアン・シェパードは、しっかりと飼育環境を整え、しっかりと躾を入れられる人であれば、最高のパートナーになれる犬です。

そして、運動能力が高いからといって、広い庭、毎日たくさんの散歩などもあえて必要ありません。

やらせれば、高い運動能力を発揮させられる、ということで、家庭犬として飼うのであれば、初めからそういう飼い方をしないで、運動というよりも飼い主とのコミュニケーションをしっかりと取ることによって、十分なストレス発散ができるとともに主従関係、信頼関係の構築ができてくる犬種です。

その気持ちがある方には、ぜひお勧めしたい性格・特徴を持つ犬種が、オーストラリアン・シェパードです。

オーストラリアン・シェパードの性格を知る上で、その犬種として歴史を知ることも参考になります。最後にオーストラリアン・シェパードの歴史も少し見てみましょう。

オーストラリアン・シェパードの歴史

他の犬種の多くがそうであるように、オーストラリアン・シェパードの歴史、起源もはっきりとしたことは今となってはわからないのが実情のようです。

確実にわかっているのは、まず名前にあるオーストラリアンからオーストラリア原産の犬とイメージしやすいですが、そうではなく、アメリカで作られ、改良されてきた牧羊犬である、ということです。

そして、その大元となった犬は、1800年代にアメリカへ渡ってきた移民によって連れてこられた犬であり、その移民はオーストラリアからやってきた、それゆえ、オーストラリアからやってきた牧羊犬ということで、オーストラリアン・シェパードという名前がアメリカで付けられた、というのが有力な説となっているようです。

さらに、そのオーストラリアから渡ってきた移民というのは、もとはヨーロッパのバスク地方からオーストラリアに渡ったバスク人だと言われています。そのバスク人がバスク地方の牧羊犬をオーストラリアに連れて行ったのが、さらにその起源との言われています。

蛇足ですが、ヨーロッパのバスク地方というのは、歴史的にみると、スペイン北西部からフランス南西部の地域で、ヨーロッパのどの言語の影響も受けていない言葉を話し、独特な文化を持つ人々がその歴史を築いてきた地方と言われています。

現在は、スペインのバスク地方とフランスのバスク地方とに国をまたいでしまっているようです。

そして、日本で最も有名な宣教師であるかのフランシスコ・ザビエルも、スペインのバスク地方出身のバスク人だったとか。

話をオーストラリアン・シェパードに戻しましょう。

真偽のほどは、今となってはわかりませんが、これがオーストラリアン・シェパードの歴史、起源として現在最も有力な説だとのことなのです。

そしてオーストラリアン・シェパードという名前自体をつけたのも、そのアメリカへ渡ってきたバスク人の羊飼いの組合だったとも言われているのです。

牧羊犬として有名なボーダーコリーもそうですが、この種の犬は、形や毛色よりも、その作業能力を中心に改良されてきたという経緯があります。そのため、いろいろな犬種の血が混ざっていて、オーストラリアン・シェパードには、Wikipediaによると次のような犬種の血が混ざっていると言われています。

グレート・ピレニーズ、ワーキング・コリー、ティモンズ・バイター、ラフ・コリー、スムース・コリー、ボーダー・コリーなど。

また、オーストラリアの原住民と言われるアボリジニがオーストラリアに移住したはるか数千年の昔に連れてきたと言われるほぼ野生犬のディンゴの血もオーストラリアン・シェパードの元となる犬には入っていると言われているのです。

いずれにしても、オーストラリアン・シェパードはそれらの血を引いて、アメリカの大地で牧羊犬として作られてきた犬、ということは間違いありません。

でも当時、オーストラリアン・シェパードはアメリカでもそうほど有名な犬種ではなかったようです。

そのオーストラリアン・シェパードを有名にしたのが、映画だったそうです。当時ロデオなどの競技会で、オーストラリアン・シェパードが芸当をしていたようで、それが映画化されたことによって、オーストラリアン・シェパードが一気にアメリカで注目を浴びる犬種になったのです。

その後、オーストラリアン・シェパードの登録団体がいくつかでき、AKCに認定されたのは、1993年ということで、それほど昔の話ではありませんね。

さて、同じ牧羊犬として有名なボーダーコリーとオーストラリアン・シェパードでは、違うところがひとつあります。

オーストラリアン・シェパードは断尾をするのが一般的であった、ということです。

現在は、ペットとして飼われることが多くなり、必ずしも断尾が一般的ではないと思いますが、もともと牧羊犬として飼われていた頃は、根元から断尾をするのが一般的でした。

その理由は、これもはっきりとしたことはわかりませんが、次のような理由がよく言われているようです。

・牧場のゲートなどにしっぽを挟まれるのを避けるため。
・羊が他の動物などの襲われた時に、それを守るオーストラリアン・シェパードがしっぽを噛まれてダメージを
 追わないようにさせるため。
・当時、オーストラリアン・シェパードはしっぽの長さがマチマチで、これを根元から断尾することで統一した
 オーストラリアン・シェパードの形を確立するため。
・ボーダーコリーとくべつするため。

などなどです。

さて、このようにアメリカで牧羊犬として改良されてきたオーストラリアン・シェパードですから、その頭の良さ、運動能力の高さは素晴らしく、現在では活躍の場を、羊のいる牧場から、アジリティーなどのスポーツドッグとして競技の場へ移しています。

また、その訓練性の良さ、状況判断能力の高さから、聴導犬や救助犬、麻薬探知犬や介助犬としても活躍しています。

それは、しっかりとしつければ、家庭犬としてもとても優秀な犬になり得るということです。

ただし、賢さと運動能力の高さは、しっかりとしつけられないときは、問題犬になりかねない素質も持っているとも言えます。そう言う意味では、単にかわいいから、かっこいいから、という理由だけでこの犬を迎えるのは避けるべきです。

逆に、しっかりとこの犬と向かい合い、この犬がしっかりと服従して、信頼されるリーダーとなれる飼い主さんにとっては、他の犬種では味わうことができないような満足感を与えてくれる可能性のある犬種と言っても良いでしょう。

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