保護犬

【保護犬を迎えた飼い主さんの言葉】を掲載した記事を見た。

いつものようにネットニュースをいろいろと見ていたら、保護犬を迎えた飼い主さんへのインタビュー記事がありました。

ツヤツヤ毛並みの”犬ドーナツ”に変身? ガリガリだった保護犬が美しく成長 「殺処分無くなってほしい」飼い主さんの想い」という”eltha by ORICON NEWS”というサイトの記事です。今後、記事が削除されている場合もありますのでご了承ください。

この記事では、生後半年ぐらいの保護犬を引き取った飼い主さんが、その保護犬と出合った時の印象、当初迎えたばかりの時の犬への対応、どうやってその犬と接してきたか、これからその犬とどう一緒に過ごしていきたいか、などが語られています。

その中から、僕が印象に残った言葉を抜粋してみたいと思います。以下の引用部分は、すべてこの記事の保護犬の飼い主さんの言葉からの引用です。

犬を保護団体から迎えたい

「私は子どもの頃から犬が好きで、本やテレビなど動物関連の物を好んで見ていました。そこでペットショップの子犬たちが赤ちゃんのうちから家族と引き離されて店頭展示されていることや、親犬たちの過酷な状況を知りました。犬を飼いたいと思ったときに、犬の保護団体さんを探して飼おうと決めていました」

https://beauty.oricon.co.jp/special/101293/

ペットショップでは、子犬がまだ小さい時から親犬から離されて、店頭展示されていること、これが犬を飼うなら保護犬団体から飼おう、と思った理由とのことです。

これにはとても共感します。

そういう僕らも、以前はネットでの子犬販売をしていました。でも、それは飼い主さんとなる人が直接ブリーダーさんから引き渡されるという販売システムでした。もちろん、それらのブリーダーさんは僕らが直接訪問して会って、話して、信頼できると思ったブリーダーさんからです。

それでも、やっているうちに、いろいろなことから犬を販売することへの疑問が大きくなり、今は飼われている犬のケアをする仕事に替えています。

僕らももともとペットショップでの子犬の店頭販売には疑問を持っていました。

だから、この保護犬を引き取った飼い主さんの言葉にとても共感できるのです。

そして、このサイトでは、特に最近繰り返し書いていますが、ペットショップでの犬や猫の販売禁止、これを日本でも法制化しないのか、ということを言っています。

それが、店頭展示して販売される子犬を救う、最も有効な、そして唯一の手段だと思うのですが。

もし、犬を飼いたい、と思っている方がいれば、一度は保護犬を引き取ることを考えてほしいと思います。

引き取った保護犬を最初はそっとしておくという判断した飼い主さん

「何冊か読んだ犬のしつけの本には、そっとしておく派と、怖い物にたくさん触れさせる洪水法の2種類がありました。慣れさせようとしてわざと怖い物にたくさん触れさせていると、ますます怖がってしまったり、怖いという気持ちを無視して自分の感情に蓋をしてしまうことがあると知りました。犬も人間と同じだと思いました。犬には自分で観察して分析する能力があるので、無理に慣れさせずに自分ペースで判断をしてもらう方が、時間かかったとしても犬の心の負担が少ないのではと思います」

https://beauty.oricon.co.jp/special/101293/

怖い物にたくさん触れさせる洪水法”なんていう犬のしつけ方があった、と書かれています。実際これも全くの間違いではないと思います。

ただし、その方法を使えるようになる前提として、犬と飼い主さんとの信頼関係がしっかりと出来ている、ということがあります。

それが出来ていないうちに、そんなことをするのは、まったくの間違いでしょう。

そして、それも”洪水のように”ではなく、最初は少しづつ、一歩一歩、徐々に慣れさせていく、というやり方です。

だから、犬を迎えた当初は、そっとしておく、というのが正解だと思っています。

このサイトでも子犬の迎え方を書いていますが、迎えてから最初の1週間は何もしないでください、と書いています。

少しは人に慣れているペットショップやブリーダーさんから引き取った犬でも、最初はそっとしなければいけない、という考え方です。

実際、そうしないで子犬の具合が初日から悪くなってしまった例もあるのです。

少しは人に慣れている、ブリーダーさんのところから来た犬や、ペットショップから来た犬でもそうなんです。

だから、ましてや人との距離が遠かった保護犬の場合は、より、そっとしておく、という判断が適切だったと思います。

無理に犬に近づこうとするのではなく、自然に犬が人に慣れてきてくれるのを待ってあげる、これは大切なことだと思います。

上のリンクのページでは、子犬は1週間何もしないでください、と書いていますが、実際はその子犬にもよります。

保護犬だったら、それも子犬の時期を過ぎていればいるほど、その、そっとしておいてあげる、という時間が長くなることもあるかもしれません。

でも、この記事の保護犬の飼い主さんが言っているように、「 時間かかったとしても犬の心の負担が少ない」のは、確かなことだと思います。

保護犬は特に飼い主との信頼関係を作るのが大事

「バイクやトラックを怖がってしまうことがありました。そういう時は、親犬の仕草を真似して、私が怖いものとの間に立ちふさがって、たろを庇うようにしていました。当初は花火や地震を怖がって机の下に逃げ込んでいましたが、今では私の所にすっ飛んできます。ピンチの時は飼い主に頼っていいんだと思ってもらえたのかなあと思います。最近は、たろの要望をなるべく聞いて、意思を尊重するようにしたら、ますます輝きだしたように思います。ちゃんと自分の意見が相手に通じるのだ、という経験をたくさん積ませたいです」

https://beauty.oricon.co.jp/special/101293/

このサイトでは、適切な犬のしつけ方法で、犬と飼い主さんの信頼関係を作ることを繰り返し書いています。

でも、この子の保護犬の飼い主さんのようなやり方もあるんですね。勉強になりました。

「私が怖いものとの間に立ちふさがって、たろを庇うようにしていました。」

飼い主さんの行動で、犬に飼い主さんを信頼させるようにしたんですね。

そうしたら、自然に犬が何か困ったとき、怖い時は、飼い主さんのところへ行けば大丈夫、と凄い信頼関係が出来たんですね。

どういう経緯で迎えたかにかかわらず、飼った犬との信頼関係を作るのは、とても大事であり、それが犬との楽しい生活の基本となるよ、ということですね。

保護犬にかかわらず、犬がいたずらできない環境を作ることが大切

「おどおどしていたのが無くなって、自信がついた顔をしています。犬らしいイタズラをした時に叱るのは良くないと思い、イタズラができないように家の中を片づけました。そして遊んでいい犬用のおもちゃをあげました。なので、たろは家の中では『悪いこと』をしません。犬にとって理不尽な状況で叱られるということが我が家では無いので、たろはのびのびしていると思います」

https://beauty.oricon.co.jp/special/101293/

ここも、この保護犬の飼い主さんは、とても大事なことをおっしゃっています。

「犬がイタズラができないように家の中を片付ける」

これは、大事な飼い主さんの役目です。

犬がイタズラをして飼い主さんに怒られる、というのは犬の失敗体験となってしまいます。

犬のしつけで大事なのは、いかに失敗体験をさせずに、成功体験を積み上げるか、ということです。

犬がイタズラをできない環境を作れば、犬はイタズラをできません。だから、飼い主さんを怒らせることもないのです。

これは、犬と飼い主となる人間の双方にとって、とても良い事ではないでしょうか。

飼い主さんだって、犬を怒る、ということはひとつのストレスになります。

そのストレスを感じることがないようにできるのですから。

犬がイタズラをできないような環境を飼い主さんが作ってあげる、これはとても大事なことなんです。

保護犬、そして殺処分がなくなる社会にするためには

「私は犬の専門家ではないので、最善の解決策が何なのかはわかりません。でも各地・各国のお手本になる事例はたくさんありますし、状況を科学的に分析し、より良い道を探してほしいです。これらは、飼い主の無知と怠慢、命を商売道具に使うペットショップ産業の傲慢、それを許している政府に問題があると私は考えています。人間の無知や怠慢で動物の命を奪っていいとは思いません。それらを是正し、動物たちに福祉の手が行き届くことを望みます」

https://beauty.oricon.co.jp/special/101293/

「飼い主の無知と怠慢、命を商売道具に使うペットショップ産業の傲慢、それを許している政府に問題がある」

まさにその通りだと思います。

犬を飼う人間は、犬は命ある生き物だということ、そしてその命の生涯に責任を持つ、という自覚、それを実行するための知識が必須です。

でも、犬を飼っている人の多くは、それに該当しない、という人も少なくないのではないでしょうか。

だから、犬を飼うには、その犬の生涯を守るための知識、つまり適切な犬の飼い方しつけ方を学び、犬との信頼関係を作ることが、本来は絶対必要条件なのです。

でも、犬の飼い方しつけ方にもいろいろな方法があります。どんな方法を選ぶかは、飼い主さんが勉強して、自分で判断する必要があります。犬のため、と思えば、その飼い主さんが選んだ方法がベストになる、というか、ベストにする、という努力も必要だと思います。

そしてペットショップの問題、これはまた繰り返しになりますが、”ペットショップでの犬や猫の販売禁止”がまずは必要だと思います。

そして悪徳ブリーダーの排除、これも問題です。

でも、これはブリーダーのモラルの問題です。難しい問題かもしれません。

今の動物愛護法は、地方もまじめなブリーダーを排除している面が多分にあります。

犬のためを思ったら、どういう法律をつくるべきなのか、それを真剣に考え、取り組んでくれる政治家が表れることを待つしかないのかもしれません。

つまりそれがこういった状況を許している政府の問題なのです。

このように、冒頭で紹介した記事で紹介された保護犬の飼い主さんの言葉の多くに、共感、そして感動した、僕でした。

保護犬がいなくなる社会、殺処分が完全にゼロになる社会、日本にも早く、そんな社会が来ることを祈ります。

そして僕たちは、とれいあえずは、今飼われている犬たち、そして飼い主さんたちが快適に過ごせるようなケアで手助けできれば、と考えています。