トイプードルの兄妹

しっかりとしつけをされている犬はほとんどいないけど飼い主さんは困ってない?

ペット・トライアングルでは犬のしつけの必要性について、いろいろと書いてきました。

しかし、現実を見ると、しっかりとしつけをされている犬を街中で見ることはめったにありません。散歩をされている犬は、ほとんどが、勝手に自由に動き、飼い主さんが犬の動きに合わせて歩いています。ほとんどの犬がそうなのです。

他の犬と会うと、吠えたりする犬もけっこういます。

がんがん飼い主さんを引っ張っている犬もいます。

犬が止まれば飼い主さんも止まり、犬が行こうとする方向に飼い主さんがついていくのもけっこう見ます。

でも、そういった犬の飼い主さんは困っているか、と言えば、ほとんどの場合、そうは見えません。

みんな、それなりに犬の散歩を楽しんでいるように見えます。

本当は、犬にはリーダーウオークをさせるのが良い、犬が散歩の主導権を取るのではなく、飼い主さんが散歩の主導権を握り、飼い主さんに犬が付いていく、という散歩であるべきだ、というのが本来の僕たちの考え方です。

でも、現実には、そんな犬の散歩をしている犬や人は、ほとんどいないのです。

それで、大きな問題も起きていない、と言ってもいいのかもしれません。

犬の行動が問題行動と感じるかどうかがポイント

でも、一方では、犬の問題行動に困っている飼い主さんがいるのも事実です。だから、犬のしつけ相談に来たり、犬のしつけトレーニングで預けられる犬もいるのです。

だから、犬のしつけは必要、というのは間違っていないと思います。

ただし、すべての犬に絶対に、しっかりとしたしつけが必要かというと、そうでもないのかもしれません。

犬のしつけ相談に来る飼い主さんや、犬をしつけトレーニングに預けて頂く飼い主さんが、犬の問題行動に困ったりしているのは確かでしょう。

でも、もしその犬が問題行動を起こさなかったら、しつけ相談やしつけトレーニングをさせることはないでしょう。

また、犬に僕たちから見ると多少の問題行動があったとしても、飼い主さんが、それを困ったと感じない、つまり飼い主さんが問題行動と感じなければ、その時も、 しつけ相談やしつけトレーニングをさせることはないでしょう。

つまり、犬のなんらかの行動が飼い主さんに困ったと感じさせる、逆に言えば、飼い主さが犬の何らかの行動にとても困ったと感じた時に、しつけが必要と感じるということになるのでしょうか。

犬の問題行動を犬の可愛さ、と感じることもあるのかもしれない。

例えば、散歩でぐいぐいと引っ張る犬、僕たちから見れば、大きな犬の問題行動だけど、飼い主さんの中には、それを頼もしく、また面白く感じる人もいるかもしれない。

人に遊びたくて、飛びついてくる犬、これも僕たちは犬の問題行動としてみている。でも、それが小型の愛玩犬だったら、その犬に飛びつかれてくることが嬉しい、楽しい、と感じることは理解できる。

家に人が近づいたら、犬が吠える。犬を番犬とも考える人にとっては、それが犬の役目だと考える人もいるだろう。

つまり、ドッグトレーナーが考える犬の問題行動も、飼い主さんにとっては、それが犬のポジティブな行動と考える人もたくさんいるのが現実なのではないだろうか。

あえて大袈裟な犬のしつけはしないという選択肢

しつけをしなくても、全く問題行動をしない犬もいるだろう。そんな犬を飼うのは本当にラッキーだと思う。

また、飼い主さんの犬に対する自然な接し方が、無意識のうちに犬のしつけになっている場合もあるだろう。

そんな場合は、あえてしっかりと犬のしつけをしようなんてしなくても、犬との楽しい生活を続けることが出来るだろう。

また、前述のように、僕たちが考えている犬の問題行動でも、飼い主さんがそう感じない、逆にそれが可愛い、それが犬なんだ、と考えれば、それを直そうというしつけなんか必要ないと言ってもいいのかもしれない。

そう考えると、あえて”犬のしつけトレーニング”と言ったことは、必要ない犬が世の中のほとんどの犬なのかもしれない。

だから、犬のしつけをそれほど重要に考える必要はほとんどの場合、ないのが現実なのかな。

ということは、犬を飼い始めたからと言って、必ずリーダーウオークをさせるようにする必要はない、つまりしっかりとしたしつけトレーニングをする必要はない、ということなのかもしれない。

むしろ、多少の僕らが考える犬の問題行動をしてくれた方がいい、という飼い主さんもけっこういるのかもしれない。

でも、特に問題行動がなくても、子犬のころからしっかりとしつけを始めれば、その後の長い年月をより犬と楽しく、そして平穏に暮らせるだろう、ということも間違ってはいない、とはドッグトレーナーとして思っている。

ただ、現実的にはそんなことはしなくてもいいのかな、という選択肢も有なのかもしれない。