【フセ、down、lay-down】
「スワレ」と「マテ」がある程度できるようになってきたら、次に「フセ」を教えていきます。
「スワレ」 「マテ」をかけた状態で、「フセ」と声をかけながら、リードのチェーンカラーに近い部分を持ち、下に引いていき、スワレの状態から頭を下げさせていき、フセの形をとらせていきます。
手で引くのが難しい、または中大型犬の場合は、リードのチェーンからに近い部分に足をかけてリードを踏むような形でフセに形を作らせる場合もあります。
また、リードだけではうまくいかないときは、頭または背中の前の方を斜め前下方向に手で押していくことも併用します。
スワレもそうですが、フセの場合も、「フセ」と声をかけ続けながら、その形をとらせて、「フセ」という声(音)とその形を関連付けさせていきます。
もし片手は使わずにフセが促せるようになってきたら、「フセ」といいながら、「スワレ」の時の人差し指を上に立てた状態から、人差し指を下に向けるように腕から動かす動作を併用するようにして、動作でもフセができるようにしていきます。
フセの場合には、この手の動きを使うことも効果的です。
これを繰り返し、繰り返し、行います。
フセの場合、最初はかなり抵抗する犬も中にはいます。リードと手をうまく使いながら、ある程度強引に伏せの形をさせていくことになる場合もあります。
しかし、何度か繰り返すと、ほとんどの場合、リードを下に引くなど少し促すだけでフセの形をとるようになってきます。
早い犬だと30分ほどでフセをするようになりますが、だいたい2~3日が目安かと思います。犬によってはもう少しかかる場合もあります。
フセに限らず、犬のしつけは、単純なことを、教える人間が、いかにあせらず、忍耐強く、地道に続けられるかということがとても大きなポイントとなります。
フセができるようになったら、リーダーウォークトレーニングの中で、スワレをかけた後に、フセをかけて、それが出来るようになったら、「スワレ、マテ」、「スワレ、フセ、マテ」などと他のコマンドと組み合わせたり、また指示を出すタイミングを変えるなど、リーダーウォークを行いながらのトレーニングにバリエーションを持たせることができます。
また、室内などで、犬の専用マットなどを決めて、常にそこを犬の場所にするときなど、最初は、その場所に移動させて、フセをかけ、マテをさせる、また飼い主さんの傍らにフセをさせてステイさせるなど、フセはいろいろと使えるコマンドです。
【オイデ、コイ、come、here】
「オイデ」はすでにリーダーウォークトレーニングの中で、離れて呼んでのところで使用しています。
しかし、しっかりと教えるためには、マテを教えた後に、マテをさせて呼ぶときに「オイデ」と指示したら近づいてくるように、改めて教えていきます。
「マテ」を教えるときに、同時に教えていくのが効率的で、良いと思います。
よりトレーニングが進んだ段階で、「マテ」をロングリードで距離を延ばしていきますが、同時に「オイデ」も離れた距離から呼ぶトレーニングをすることになります。
「オイデ」と声をかけても、回りに他の犬など、興味を引く存在があり近づいてこない場合は、適度にリードでのショックをかけて注意をこちらへ向けます。もし、それでも近づいてこないようであれば、リードで促し、近づけさせて、また、もう少し短い距離からやり直していきます。
最初はなるべく外乱の少ないところで行い、少しずつ場所を変えたりしながら、外乱のあるところでも、確実に読んだら近づいてくるようにトレーニングを行います。
どんなところでも、呼べば繰るようにトレーニングを行っていけば、ドッグランなどにいくことも出来るようになります。
それが出来ない状態で、ドッグランにいくと、それまで行っていたトレーニングが一気に後退してしまうこともあるので、犬を飼い主さんがコントロールできるようになるまでは、ドッグランへいくことはあまりお勧めできません。
室内でも、屋外でも、、いつでも、どこでも、「オイデ」という声で、すぐに近づいてくるようにトレーニングをしていきます。
しつけ成否は教える人間の強い意気持ちと強い忍耐力に100%かかっています。
まだまだほかにもコマンドはあります。でも、以上を5つを教えていけば、主従関係と信頼関係を築くためのトレーニングを行うことはもちろん、日常生活の中で、困ることはまずないと思います。
また、これらの基本的なコマンドを繰り返し行う中で、状況によっては指示をしなくても犬が自然にそのコマンドで指示されたかのように行動するようにも出来ます。
たとえば、歩いていて人が止まったら犬は座る、部屋に入ったら自分の居場所に行って休む、というように。
そうなれば、室内でフリーにしても、まったく問題ないのはもちろん、屋外で犬にリードを付けなくても、まず問題ないでしょう。(もちろん、犬を放しても良いところ(囲われた自宅の敷地、ドッグランなど)以外では、問題なくてもリードをつけていることが必要です。)
ほとんどの犬は、しっかりと教えれば、教えたとおりに行動してくれます。
しかし、多くの場合、教える人間の 「まあ、いいか」、という気持ちが大きな障害となり、結局、犬に目的のしつけを行えずに止めてしまうことが多いのではないでしょうか。
実際に、犬をお預かりして、犬をトレーニングするのはそれほど難しくはありません。
難しいのは、その犬が飼い主さんのところへ戻ったときにトレーニングの成果を見せられるかどうかです。
これは、犬が見せるというよりも、迎えた飼い主さんがこちらで引き出したその犬の成果を同じように維持できるか、つまり飼い主さんがうまく、トレーニングを行ってくれるかどうかにかかっています。
いつでも、どこでも、そして、どんな人からの指示も聞くように、犬をしつけるのは極めて難しいことです。
それには、犬自身のもともと持っている気質にかなり頼る部分があります。
あるいは、犬を長期間、かなり厳しい訓練と生活で、本来持っている性格を壊してしまう、つまり洗脳するようなことをしないと難しいでしょう。
犬も人間と同じように、それぞれの犬がそれぞれの性格、個性を持っています。人間の子供とまったく同じです。
そして、犬も頭がよく、状況判断ができます。相手の人間を見て、態度を代えます。
人間の子供が、学校では先生の言うことをよくきく優等生でも家へ帰る親のいうことはまったく聞かない、というのと同じです。
そして、人間との生活が長いとはいえ、犬にも、野生の動物が持っているのと同じような本能があります。
犬を自由にさせれば、その本能的な部分がどんどん強調されてしまいます。人間社会で暮らさせるためには、本能をできるだけ抑えるようにしなければいけません。
さきほど、犬は人間の子供と同じとのことを書きましたが、犬と人間の子供の育て方では、決定的に違うことがひとつあります。
人間の子供は、子ども自身が将来しっかりと自立出来るように、育てるのに対して、犬の場合は、犬自身が自立しないように育てていく必要があります。
つまり、人間の子供は、親から離れて一人で生きていけるように育てていきますが、犬は常に飼い主を頼るように育てていく必要があるのです。
逆に言えば、それだけ、犬の飼い主は、犬に対しての責任、というよりも犬の命を預かっていることになるのです。
犬を人間社会で楽しく暮らさせるためには、家庭犬としてのしつけが絶対に必須であるとともに、飼い主となったからには、その犬の生涯に渡る生活のすべての責任を持つということを強く自覚することが必要だと思います。
前のページは これだけは犬に教えたいpart1
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