大型犬に多い股関節形成不全
ジャーマンシェパードに多い身体的なトラブルとして股関節形成不全というトラブルがあります。股関節形成不全は、ジャーマンシェパードだけでなく、ラブラドールレトリバーなどの大型犬に多く、絶対数としてはレトリーバー系のほうがシェパードよりも多いようです。
ただ、実際に股関節形成不全の症状があったとしても、検査をしないとわからないので、わからないケースがほとんどだと思われます。
散歩をしていても、股関節が悪いだろうな、というラブラドールやゴールデンはけっこういます。
また大型犬ではなくても、ボーダーコリーにも多いといわれ、小型犬の、トイプードルでも発生することがあります。
発生原因としては、統計的な結果から、遺伝による先天的な要素が原因だろうと言われています。しかし、成長期の体重の乗せすぎや、過度な運動による後天的な要素もかなり強い影響があるとも言われています。
実際に股関節形成不全が発生した場合、先天的なものか、後天的なものか、判断するのはとても難しい(できない)ようです。
しかし、先天的な要素を否定できないことから、この症状を発生させた犬は、絶対に繁殖には使用しないようにする、という対策が取られています。
でも現実には、股関節形成不全の検査をするブリーダーはまずいないといって良い常態なので、日本のどのブリーダーからも、先天性での股関節形成不全の犬が出る可能性はあります。
たとえ、両親が問題なくても、その系統をたどっていけば、ほぼ間違いなくその要素を持った犬がいたであろうことは容易に推測できます。
股関節形成不全とは?
では、股関節形成不全とは、どのようなトラブルなのでしょうか。
簡単にいえば、股関節の大腿骨側の球状の凸部分と、それを受ける骨盤側の凹部分のはまり方が、悪い状態のことをいいう関節のトラブルです。
問題のない股関節の場合、レントゲンで見ると凹凸の部分がしっかりと隙間なくはまっていて、かつはまっている部分が180度以上あり、物理的にはずれない状態になっています。
それに対して、問題がある場合は、はまっている凹凸部分に隙間があったり、隙間がなくても、はまっている部分が180度以下の場合は、物理的に離れる可能性があり要注意、または形成不全と診断される場合も有ります。
重度の場合は、完全に大腿骨の関節にはまるべき球状の凸部分が骨盤の凹部分から外れてしまいます。
ただし、股関節形成不全の場合、完全に外れている重度の股関節形成不全の方が、完全に外れていない軽度よりも大変かというと、必ずしもそうではありません。
完全に外れていなくても、隙間がある場合、部分的に大腿骨側と骨盤側が接触して、そこに軟骨が出来てきて、さらにその部分の接触による痛みがひどくなるなる場合があります。
逆に、完全に外れていても、外れた部分に全く接触がなければ、犬は痛みを全く感じません。そして、ある程度筋肉がついていれば、関節が外れていても、筋肉が足を支えるため、日常生活にはほとんど支障がありません。
実際に、ペット・トライアングルの看板犬でもあった、愛犬のジャーマンシェパードのサラは、両足とも完全に関節が外れている重度の股関節形成不全ですが、痛みは全くないようで、日常生活では、股関節形成不全ということを全く感じさせませんでした。
股関節形成不全の検査は専門の獣医科病院で
以前、ペット・トライアングルでジャーマンシェパードの子犬を販売していた時は、お引渡し前に必ず、東京世田谷にあるこの分野で日本有数の実績を持つ、川瀬獣医科病院でレントゲンによる股関節の状態の確認を行っていました。
従来、子犬の場合、生後4か月以降ぐらいにならないと、股関節形成不全かどうかの診断はできないだろうといわれていました。
しかし、サラの場合、重度の股関節形成不全と診断されたのが、生後3か月でした。このことから、100%ではないかもしれないけど、生後2~3か月でも、検査をすることにより股関節形成不全の子犬をお引き渡しすることを防ぐことができるのではないか、との期待を持ちました。
実際、何十頭ものジャーマンシェパードを検査していく中で、生後2か月ぐらいでも、股関節の状態によっては、股関節形成不全を起こす可能性がある子犬を発見することができています。その場合は、お客様にその検査結果を報告して、対応を決めていました。
この股関節の検査は、どこの獣医でも診断ができるかといえば、そうではないのが、難しいところでもあります。まず、レントゲンの設備を持っていても、股関節形成不全の診断ができるようなレントゲン写真を撮ることができない場合が多いこと、そして、撮影したとしても、その写真から、正確な異常を読み取れるかどうかが問題です。
一般にHipという看板を掲げて、股関節形成不全のレントゲン写真が撮れるという動物病院でも、実際には診断を出来るレントゲン写真を取れないところもあるのが現状です。
股関節に異常があっても、見逃すケースもあるかもしれませんが、その逆の例もあるのです。
あるお客様の犬が、お客様のかかりつけの獣医さんで、股関節形成不全だと診断され、治療が必要だと言われました。念のため、その犬を川瀬獣医科病院でも診断してもらいました。その結果、股関節は、しっかりとかつ十分にはまっていて隙間もなく、全く問題がないことが確認されました。
なぜ、股関節形成不全と診断されたのかわかりませんが、おそらくレントゲン撮影した写真が適切に撮影されていなかったものと思われます。もし、その診断を信じて治療を行っていれば、相当な費用と、ワンちゃんにとっては、悪くもないのに、手術をされるところでした。
また、考えたくはありませんが、悪くないのに悪いと言って、治療費を取ろうとするケースも見られました。
従って、股関節形成不全と診断されたら、いわゆるセカンドオピニオンと言われれ意見を、股関節形成不全の治療を得意とする専門病院でも検査をするべきだと思います。
股関節形成不全への対応
では、実際に股関節形成不全と診断された場合はどのように対応するのでしょうか。
うちのサラのように、重度でも、痛みがなく日常生活に支障がなければ、体重管理と運動管理だけで、充分対応できます。
逆に軽度でも、痛みが強く、歩けないようであれば、何らかの外科的な手術を必要とする場合があります。
外科的な対応が必要な場合、治療方法は主にふたつあります。
ひとつは、大腿骨の凸部分を切除してしまう方法です。骨頭切除(こっとうせつじょ)と言われる方法です。切除してしまうことにより、凹部分との接触を完全になくし、痛みを感じなくさせられるのです。サラのように完全に外れた状態と同じような状態にするということです。ただし、この場合、関節のかわりに筋肉で支えるため、体重や筋力の付き方によっては、難しい場合があります。
股関節形成不全ではありませんが、ペット・トライアングルの看板犬のひとりであるパピヨンのカノンが変な形で脱臼した時に、この骨頭切除の手術を行いました。
他の犬とのちょっとしたトラブルで、足を股関節からちょっと複雑に脱臼してしまい、関節を元に戻すことが不可能とのことで、結局、骨頭切除をしたのです。
手術直後はその足は上げて、三本足で歩いていましたが、なるべく足を付けさせるようにさせていき、2ヵ月後ぐらいには、全く以前と変わらないように4本足で普通に歩いたり、走ったり、ジャンプしたりできるようになっていました。
15歳を過ぎた今でも、そんな手術をしたとは思えないくらい、階段の上り下りも、若いときのような動きではありませんが、普通にできます。
さて、もうひとつの治療方法は、関節を完全に金属の人口関節に置き換えてしまう方法です。この方法では、ほぼ機能は回復しますが、手術費用はかなりの金額になることを覚悟する必要があります。
このふたつが現在股関節形成不全に対する治療ですが、最近、川瀬獣医科病院の先生も、股関節形成不全になったとしても、手術なしで(ペット・トライアングル看板犬のサラのように)うまく付き合っていけるケースもけっこうあるのではないか、とおっしゃっています。
さて、この股関節形成不全は、前述のとおり、先天的な要素の強いトラブルと言われていますが、一方では、先天的な要素がなくても、成長期の体重の乗せ方、過度な運動で、発生することがあるのも事実です。
ジャーマンシェパードの場合は、そういったことも考えながら、特に子犬の時期の飼育管理には注意をする必要があると思います。
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