高齢者が犬を飼う、これはとても難しく深いテーマだろう
高齢者、具体的には60代以上ぐらいの方が犬を飼うことには、いろいろと議論があります。
現在犬の寿命は平均でだいたい15年ぐらいと言われています。平均なので、もっと早く亡くなってしまう犬もいれば、20年ぐらいの寿命の犬もいます。
ひと昔、ふた昔前から見れば、犬の寿命は大きく伸びているのです。これは、飼い方では室内飼いが当たり前になり、そして獣医学の進歩、特にフィラリアなどの予防薬の進歩、普及によるものです。
もし、子犬から犬を飼うとしたら、15年から20年ぐらいはその犬の面倒を見てあげる覚悟が必要なのです。
そう考えると、60代以上の高齢者にとっては、犬を飼いたいと思っても、飼うべきかどうかは、とても微妙な難しい問題になる場合があるでしょう。
なぜなら、年齢的な理由から、愛犬を残して自分が先に逝ってしまう可能性があるからです。
そうなった場合に、残された愛犬を引き取って面倒を見てくれる人が、確実にいればいいかもしれません。しかし、どちらかと言うと、それが出来るケースは少ないのかもしれません。
結果として、60代以上、特に70代以上になれば、犬を飼うべきではない、という結論になってしまわざるを得ないのかもしれません。
一般的にも、高齢者は犬を飼うべきではない、という意見が多いようにも思います。
確かに、飼い主に先立たれ、引き取り手のない犬は、保健所へ引き取られることになり、最悪の運命に向かってしまうことになりかねません。
また、一人住まいの高齢者が急な入院、また亡くなられた後、その方が住んでいらっしゃった家に遺品などの整理をしていたら、飼われていたペットが亡くなっているのが発見された、という例もあるようです。
そういった事例を考えれば、確かに高齢者が犬を飼い始めることは、控えるべきことというのも、間違ってはいないのかもしれない、というより、その通りなのでしょう。
これは否定すべきことでは全くない、と思います。
でも、特に高齢者にとって、愛犬の存在がとても大きな生きる力、寿命を延ばす存在になっているのも、また事実です。
最近見たネットでの記事にも、犬を飼う人は死亡率が低い、というような内容の記事がありました。
高齢者は犬を飼うべきではない、と言ってしまえば確かにそうかもしれないけど、本来であれば高齢者こそ、犬を飼うべき、という意見も間違ってはいないように思います。
高齢者が犬を飼う、これは簡単に結論を出せるような問題ではない、とても奥の深い問題だと僕は思うのです。
高齢者が犬を飼うメリット
実際、もし高齢者の方が犬を飼った場合、飼われた犬に高いリスクがあるのは確かです。
でも、そのリスクを回避できることが出来るのであれば、犬を飼うことは高齢者にとって、体の健康、心の健康、ともに大きなメリットがあることは確かです。
犬を飼う体の健康へのメリット
よく言われるのはやはり犬の散歩でしょうか。朝、そして夕方の犬の散歩を欠かさない、という高齢者の方も多いと思います。
散歩=歩く、ということですから、毎日の犬の散歩は体の健康面で大きな貢献をしているのは間違いないでしょう。
でも、散歩だけでなく、それ以外にも犬を飼っていれば体を動かさなければいけません。
食事の世話、排せつの世話、など体を動かす機会は、散歩に行かなくても毎日必ず発生します。
従って、長く歩くのが苦手な方でも、たまに外で少し犬との日光浴の時間を作ってあげれば、普段は室内で犬と一緒に過ごすだけでも、体を動かす機会は各段に増えるはずです。
犬を飼うこと=体への健康メリットがある、と言って間違いではないでしょう。
中にはそのために体を痛めた、という方もいらっしゃるかもしれませんけど・・・。
犬を飼う心の健康へのメリット
犬好き人間にとって、犬とのふれあいはとても幸せな時間です。これは、そう感じさせる理由があります。
犬とのふれあいで、幸福感を感じる、癒されるのは、「幸せホルモン」、「愛情ホルモン」と言われるオキシトシンが、犬と触れ合うことによって分泌されるからなのです。
これについては、「愛犬と飼い主はお互いに癒しあっている」の記事でより詳しく書いているので、ご参照ください。
犬とのふれあいで、幸福感をかじることは大きな生きる力になるはずです。
この子(愛犬)のためにも頑張って生きなければ、という気持ちを起こさせてくれるはずです。
愛犬は時に、人間の家族とは全く違う次元で人間を癒してくれる存在になる、というのは犬を飼っている方、飼ったことがある方なら、容易に理解してくれるでしょう。
そのくらい、犬には人間を癒し、心を支えてくれる力があるのです。
ただし、もしその犬が先に逝ってしまったら、それはそれで、ダメージを与えられてしまうことにもなりかねない、というリスクもあるのですが・・・。
高齢者が犬を飼えるようにするためにはどうすればよいのか?
飼われる犬が残されることを考えると、高齢者は犬を飼うべきではない、ということになります。
しかし一方では、上述のように、特に高齢者にとっては、犬を飼うことが体のためにも、心のためにも、大きなメリットに成り得る、とう事実もあります。
この2つの矛盾した事実をなんとか解決する方法はないのでしょうか。
現在、その解決策も存在はするようです。
例えば、ペット信託というようなものもあるようです。
これは簡単に言えば、生前に万が一の時に愛犬の世話をしてくれる人を選定して、その世話にかかる費用を残しておく、かつその人が確実に誠実に世話をしているかどうかを監視する人を付けられる、というような制度のようです。
また、いわゆる老家ホームというような施設もあります。
この場合も、あらかじめそれらの施設と契約して必要な費用を収める必要があります。
このように、少しづつ高齢者が万が一の時にも、残した愛犬に辛い思いをさせないような仕組みも出来てきており、今後、もっと増えていくと思われます。
ただし、これらもそれなりの費用が必要です。
単なるボランティアで残された犬を引き取って、しっかりと世話をしてくれるところを探すのは、簡単ではありません。
今後、高齢化社会がより進むことは確実なので、こういった問題に対しては、やはり国がなんらかの力を貸してくれるべきではないでしょうか。
上記のような施設を利用する場合の何らかの補助など・・・。
でも、高齢者の介護事業でさえ、国からの援助レベルはそう高くないようで、低水準の賃金と重労働で人出が十分でない現状から、ましてや愛犬のためとなると相当難しいかもしれません。
でも、元気な長生きする高齢者を増やすためにも、なんとかならないもんでしょうか。
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