コーギーには2つの犬種
コーギー、人気犬種ですね。でも、コーギーには2つの種類のコーギーがいるのをご存知でしょうか。
一般にコーギーと言えば、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークを指していると思います。
ウェルシュ・コーギー・ベンブロークは、2015年のJKCの登録数でも、年間5,336頭が登録され、登録数の順位では、12位です。
ちなみに13位はパピヨン、14位はパグですから、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークはの人気がわかるかと思います。
では、もうひとつのコーギーは?
もちろんご存知の方も多いかと思いますが、もうひとつのコーギーは、ウェルシュ・コーギー・カーディガンという犬種です。
犬種名も最後のペンブロークとカーディガンが違うだけで、その前は同じ、そして外観も、その違いがわかる人はあまりいないんじゃないかというぐらい、そっくりです。
外観上の大きな違いは、尻尾があるかないか、です。
一般的にウェルシュ・コーギー・ペンブロークには尻尾が根元からなく、ウェルシュ・コーギー・カーディガンには立派な尻尾があるのが大きな違いです。
ただしこれは、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの場合は、生まれてすぐに尻尾を切られてしまうためにないだけであり、本来はウェルシュ・コーギー・ペンブロークにも立派な尻尾があるのです。
ということで、コーギーには日本では一般的に尻尾のないウェルシュ・コーギー・ペンブロークと、尻尾のあるウェルシュ・コーギー・カーディガンの2種類の犬種があるのです。
ただし、人気のウェルシュ・コーギー・ペンブロークに対して、ウェルシュ・コーギー・カーディガンの2015年の登録数は、わすかに年会で37頭、順位は80位とペンブロークに大きな差がつけられています。
ほとんど容姿の変わらない2つの犬種で、しかも性格的にはより落ち着いていると言われるカーディガンが、人気ではペンブロークに大きな差をつけられているのは、単に尻尾があるかないか、ということなのでしょうか。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの尻尾
もともとのウェルシュ・コーギー・ペンブロークには、ボブテールと言われる生まれつき尻尾のない個体もいたと言われています。
そういった個体を中心に交配が進められ尻尾のないコーギーも生まれていたという話もあるようです。尻尾のない犬も生まれてくる可能性はあるとは思います。しかしそれは、いわゆる奇形であり遺伝的な問題がある犬ということになります。仮に本当にそういったコーギーがいたとしても、そういったコーギーを交配に使用しても思うような結果は出なかったでしょう。従って、そういった個体は淘汰されてしまうというのが自然な考え方だと思います。
いろいろなブリーダーに聞いても、実際に、生まれつき尻尾のないウェルシュ・コーギー・ペンブロークが本当に生まれたという話は、全く聞いたことはありません。
従って、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークにも生まれた時には立派になるべき尻尾がある、と言ってよいと私は考えています。
では、なぜウェルシュ・コーギー・ペンブロークは生まれてすぐに尻尾を切られてしまうのでしょうか。
犬は、犬種によって尻尾を切る断尾だけでなく、耳を短く切って立てる断耳、が行われている犬種がいくつかあります。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークもその中のひとつの犬種で、人間の手によって尻尾を切られてしまうのです。
本来、犬の断尾や断耳をする目的は、その犬種が主に行う仕事に応じて、きちんとした理由のもとに行われていました。
しかし、現在のペットとしての犬には、本来断尾や断耳は全く必要ないものです。
現在行われている断尾や断耳は、単に商売上の理由からなのです。
商売上の理由というのは、例えばドーベルマンがわかりやすいと思うのですが、あの耳がきりっと立ち、短い尾の精悍な容姿を持つドーベルマンも、実は人間が作っている容姿なのです。
その本来の理由は、軍用犬として使われたドーベルマンがより音に反応しやすいように耳穴をふさいだ垂れ耳を切ってパラボラアンテナのように音を拾いやすく立て、また荒れた戦地や狭い場所で、長い尻尾がまわりの障害物に当たって傷つくのを防ぐために短く切ったのです。
でも本来のドーベルマンは、大きな垂れ耳と長い尻尾を持った、とても優しいイメージの容姿を持った犬なのです。
しかし、日本でのドーベルマンのイメージは、耳がきりっと立ち、尾の短い、強面で精悍な容姿であり、それがこの犬の人気の最大のポイントとなっているのです。
従って、断耳されず、断尾をしていない、自然なままのドーベルマンを買いたいという人が少なく、断耳・断尾をしないと売れないのです。もちろん、中には断耳・断尾されていない自然なままのドーベルマンを希望されるかたもいらっしゃいますが、逆にそういった自然な姿のドーベルマンを入手するには、生まれる前から予約して、断耳、断尾をしないよにしてもらう必要があるのです。
同じ理由で、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークも尻尾が根元からない丸いお尻がひとつのトレードマークともなっているので、ブリーダーは必ず尻尾を生まれてすぐに切ってしまうのです。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークも本来は牧場で牛を追う犬として活躍した犬種であり、尻尾を牛に踏まれて傷つけない目的で断尾がされたようです。
しかし、現在のペットとしてのウェルシュ・コーギー・ペンブロークは、この犬種の最大の特徴であり人気のポイントとして見た目だけの目的から断尾がされているのです。
従って、日本で尻尾のある自然な姿のウェルシュ・コーギー・ペンブロークを迎えるには、あらかじめブリーダーに、「生まれたら必ず購入するので、生まれた子犬の1頭は、尻尾を切らないように」と頼んでおく必要があるのです。
そしてこの場合、生まれた子犬がどのような子犬でも原則としてキャンセルはできないことになります。
なぜなら、もし、尻尾を切らないウェルシュ・コーギー・ペンブロークがキャンセルされたら、その犬はブリーダーにとっては売れない犬となってしまうからです。
しかし、海外、特にヨーロッパなどでは、動物愛護の考え方から断耳や断尾が禁止されている国もあります。
そういった国では、販売されるドーベルマンも垂れ耳で長い尻尾の本来の姿であり、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークにも立派な尻尾があるのです。
ただし、そういった国でも、ドーベルマンを欲しい人は、自国ではなく断耳・断尾が禁止されていない国から断耳・断尾されたドーベルマンを購入する人が多いとのことです。
また、英国では犬の断尾禁止法が施工された結果、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークに尻尾が付いたまま販売されることになり、それが理由のひとつで、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークの人気が下がり、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークのブリーダーの多くが繁殖を止めてしまい、絶滅危惧種に認定されたという情報もあります。(コーギー+絶滅危惧で、検索してみてください)
やはり、日本だけでなく、本場のヨーロッパでもウェルシュ・コーギー・ペンブロークの人気の大きな要素は、尻尾のないかわいい丸いお尻ということになるのでしょうか。
でも、尻尾があってもウェルシュ・コーギー・ペンブロークのかわいさ、良さは変わることはないはずであり、人間の意識や考え方の方を変える必要があるようですね。
さて、ペンブロークとカーディガンの違いは、尻尾が歩かないかの違いだと書いてきました。実際に現在はその通りだとおもいます。
しかし、もともとはペンブロークとカーディガンは違う犬だっとようなのです。
ウェルシュ・コーギー、2つの犬種の違いは?
2種類のコーギーに共通する名前であるウェルシュは、「イギリスのウェールズ地方の」という意味で、コーギーはウェールズ地方の言葉で「小さい犬」を意味するとのことです。
では、ペンブロークとカーディガンは、というと、それぞれウェールズ地方の地名に由来しています。
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークはウェールズのペンブロークシャー地方で飼われていたコーギーで、ウェルシュ・コーギー・カーディガンは同じくウェールズですが、カーディガンシャー地方で飼われていたことが、名前の由来になっているようです。
ただし、元々は歴史的に全く違う犬とのことなんです。
ウェルシュ・コーギー・カーディガンは紀元前1200年ぐらいというから今から3000年以上前の話ですが、中央ヨーロッパの方からケルト族がウェールズに移動してきた際に連れてきた犬と言われています。
それに対してウェルシュ・コーギー・ペンブロークはそれよりも新しく、と言っても11世紀ですから1000年近く前ですが、そのころにウェールズにフラマン人が連れてきた犬とのことです。
おそらくは、その歴史的な違いのこだわりから2つの犬種に分けられているのでしょうか。
しかし、1930年前後の時期にはペンブロークとカーディガンは同じ犬種として扱われ、両者の間での交配も頻繁に行われていたようです。それも、この2犬種をより似た犬にしている原因かもしれませんね。
その後、また別の犬種として扱われるようになり、それぞれの特徴を強調するように作られてきているようですが、結果的には大きな違いは尻尾を切るか切らないか、ということになってしまったのが現実のように思います。
強いてペンブロークとカーディガンの違いを尻尾のあるなし以外で探すと、どちらかというとペンブロークの方が体が小さめということ、耳の形や大きさに若干の違いがあるということも言われています。
また、毛色の種類もカーディガンの方が多いようです。
性格的には、同じような環境で育ってきたため似ているようですが、ペンブロークの方が興奮しやすいも言われています。
ということは、カーディガンの方が落ち着いていてペット向きと考えられますが、実際には、ペットとしての人気はペンブロークの方が圧倒的に勝っています。やはり尻尾がないからでしょうか。
いろいろとウェルシュ・コーギー・ペンブロークとウェルシュ・コーギー・カーディガンの違いを調べてみましたが、確かに歴史的な背景などの違いはあるよですが、現在のこの2犬種に大きな違いはないように感じます。
こういうとどこからか怒られそうですが、個人的には、現時点でのこの2犬種の違いはほとんどなく、名前の違い、そして尻尾を切るか切らないかの違い、と言っても良いのではないか、と思わざるを得ないというのが正直な印象です。
コーギーの性格
ウェルシュ・コーギー・ペンブロークとウェルシュ・コーギー・カーディガンには現在、実質的に性格的な大きな違いはないようなので、ここでは単にコーギーとして書いていきます。
実際、ペット・トライアングルの実店舗であるラブドッグ店にも複数のコーギーがトリミングやホテルで来たり、また家庭犬トレーニングでも何頭かのコーギーをトレーニングしました。みんなウェルシュ・コーギー・ペンブロークで、私もまだ直接ウェルシュ・コーギー・カーディガンと言われるコーギーとは接触したことがありません。したがって、実質的にはウェルシュ・コーギー・ペンブロークの性格となってしまいますが。
一般的に言われるコーギーの性格は、活発で明るく、人間にも友好的ということ。
ただし、牛追い犬として長く活躍した犬種ゆえに、そのころの名残から、人の足、かかとに噛みつくことがある個体もある、とも言われています。
実際、トリミングやホテルに来たり、トレーニングをしたコーギーの多くは、普通はおとなしく、友好的です。
ただし、コーギーの場合、噛み癖に関して、柴犬とならんで注意する犬種だと言われていることも確かであり、実際そうなのです。
おとなしそうなコーギーも、他の犬に対しては、吠えやすい傾向があり、また、攻撃的な行動をするコーギーもいます。
実際に噛み癖の付きやすいコーギーがいるのも事実なのです。
普段はおとなしいコーギーでも、トリミングなどで嫌なところを触られたりすると急に噛みついたりするコーギーもいますが、もっと怖いコーギーいます。
口輪をしないと全くトリミングが出来ないコーギーもいます。でも、口輪を出来る程度であれば、まだいい方です。さらに怖いコーギーもいました。
かろうじて飼い主さんだけは首輪にリードをつけることが出来るというコーギーがいました。飼い主さん以外の人間が近寄ると、すごい勢いで噛みつこうとするということでした。実際に初めてこのコーギーと会った時に、数十センチ手前で手を動かしただけで、飛びついて噛まれ、今でも跡が残っています。
このコーギーともしばらく付き合いましたが、今まで接触した犬の中で、凶暴さという点ではダントツでトップを争う2頭のうちの1頭でした。ちなみに対抗するも1頭は柴犬です。
また、警察犬協会の訓練士のペーパーテストの時にテストに立ち会った警察犬協会の方も同じような経験をされたようで、「今まで1度だけ、あまりの凶暴さに、この犬だけは安楽死させた方がいいと思った犬がいる。犬種はコーギーでした」と話されていました。
コーギーは噛み癖がつくとそれを修正するのはほとんど不可能な犬がいることが事実なのです。
と、あまり書くとコーギーが凶暴というイメージになってしまいますが、あくまでも、このようになるコーギーも中にはいる、ということなのです。
最初に紹介した通り、一般的にはコーギーは人にも友好的で、お店に来るコーギーのほとんども、おとなしく人に対しても攻撃性は全くありません。
もし、コーギーを飼うのであれば、コーギーの良さを引き出すためにも、出来るだけ早い段階から基本的な家庭犬としてのしつけトレーニングを行うことを強く推奨します。
適切な飼育環境としつけトレーニングをしっかりと行えば、ほとんどのコーギーは、よきパートナーとなってくれる性格を持っていると思います。
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