犬を飼うには登録、免許とポイントが与えられて・・・
犬を飼う時には登録して、免許とポイントが与えられる。そして、犬を飼うルールを守れなければポイントが減らされる。ポイントがなくなったら犬は没収されてしまう。
そんな制度があるところがあるらしい。と言っても、これは日本ではなく、中国の話です。
でも、これはもしかしたらとてもいいシステムなのかもしれない、と思う人もいるのではないでしょうか。実は僕も少しそう思っているのです。
このシステムを実際に運用しているのは、中国東部の山東省済南市というところです。2017年からこの「犬の飼育に関する信用スコア・システム」を導入しているようなのです。
このシステムによって、飼い主の犬の飼育に関する責任を明確化して、ルールを無視した場合は、最悪(ポイントがなくなれば)犬を没収されてしまうということで、けっこう効果をあげているようなのです。
ひと昔前の中国のイメージと言えば、歴史はとても長く、日本も見習った国家ではあるものの、現代においてはどちらかというと科学分野などではかなり遅れを取った後進国というものであったように思います。
でも、今の中国はそういったイメージとは全く逆の、ある意味ではというか、現実的に時代の先端技術をどんどん取り入れている国になっています。
中国が長い歴史の上にあぐらをかいていた(というとかなり語弊があるかもしれないが)のと同じように、現代においては日本も世界の先端技術と言われたものにあぐらをかいてしまい、いつの間にか科学の分野で世界に後れを取ってしまっているように思えます。
かつて世界を席巻した日本の電気製品も今や、韓国や中国のメーカーにその座を奪われてしまっているのが現実です。特にスマホやパソコンでは日本のメーカーは世界的にはほとんど名前も出ないようになってしまいました。
そして、いまだに現金が多く流通している日本と違い、中国ではキャッシュレス化が急速に進み、その分野では世界のトップを走っていると言ってもいいでしょう。
いろいろな分野で、「Japan as No.1」は過去のものとなり、一時は韓国、そしてその韓国を今は中国が追い越してきています。日本人としてはとても残念なことですが・・・。
そして、ペットの世界でも、犬にこんなことをして、と嘲笑することさえあった中国に、飼い主のマナーという面でも抜かされかねない状況となっているのかもしれません。
もちろん、まだこの話も中国のごく一部での話です。でも、このシステムはかなり高評価を得ているようなので、近い将来中国全土に広がる可能性も低くはないでしょう。
そうなったら、今の日本の現状を考えると、日本はいつの間にかペット後進国になってしまった、ということが現実になってしまいかねないように思います。
なおこの情報は、BUSiNESS INSIDER JAPAN のサイトに掲載されている「ルール違反が続けば、飼い犬は没収! 中国で広まるペット規制と「信用スコア」という記事を参考にさせてもらっています。
「犬の飼育に関する信用スコア・システム」の具体的な内容は?
この中国の山東省済南市というところで導入されている「犬の飼育に関する信用スコア・システム」の具体的な中身とはどんなものなのでしょうか。
まず犬を飼おうとする人は、犬を登録しなけれならない。これは日本でも同じですね。
でも、犬を登録すると面鏡が与えられ、さらにはその面鏡にはポイントが付与されているようです。
Sixth Toneによると、2017年1月にスタートしたこのプログラムは、犬の飼い主に登録を義務付け、免許とポイント(12点)を交付する。
「ルール違反が続けば、飼い犬は没収! 中国で広まるペット規制と「信用スコア」からの引用です。以下の引用も全てこのサイトからの引用となります。
さらに登録時には、ワクチン接種だけでなく、マイクロチップの埋め込み、犬の写真の撮影が行われるようです。
ある飼い主はSixth Toneの取材に対し、犬の登録時にはワクチンを接種し、マイクロチップを埋め込み、写真を撮られたという。その後、QRコード付きのタグを受け取ったという。このQRコードから、警察は飼い犬の犬種、年齢、ワクチン接種の履歴、飼い主の個人情報、免許のポイント数を知ることができる。
そして、ノーリードで犬を散歩させたり、排せつ物の処理をしなかったり、公共の場で犬の騒ぎを起こしたりすると、ポイントが引かれていくのです。これは日本の運転免許と同じようなシステムということですね。
もし、ポイントがゼロになってしまったら・・・、なんと飼い主は犬を没収されてしまうのです。そして犬を返してもらうためには・・・
全ポイントを失った飼い主は犬を没収され、ペットを飼うために必要な規則に関するテストに合格しなければならない。
けっこう厳しいですね。
でもこのシステムによって、飼い主のマナーはかなり良くなっているようです。
さらに、このポイントシステムでは、ポイントを増やすことも出来るようです。
首輪やリードなしで犬を散歩させたり、ふんの後始末をしなかったり、近所迷惑になるなどすると、減点される。一方、地元のシェルターでボランティアをするなど、良い行いをするとポイントが増える。
単に罰則を与えるだけのシステムではないのですね。
そしてこれもとても良いシステムだと思うのです。
年間登録料に約50ドル(約5600円)を追加すれば、タグを使って犬の位置情報も分かるようになる。
これは、ペット・トライアングルでも何度か記事にしている災害時のペットにとってもとても有効な手段に成り得ると思われます。
犬を没収されてしまうというのは、どうかな、と思いますが、それを除けばこのシステムは犬の飼い主のマナーを向上させるという目的ではかなり効果があるのではないでしょうか。
日本でもこういったシステムの導入を検討する価値があるのでは?
今時点での犬の飼い主のマナーを日本と比較すれば、中国という大きなくくりで言えば、もしかしたらまだ日本の方が客観的に見れば良いのかもしれません。
まぁ、実際のところはわかりませんが、この記事には次のように書かれているので。
Sixth Toneによると、当局は8月、犬の飼い主の80%がリードを使っていると語った。同月、チャイナデイリーは、犬に噛まれたもしくは吠えられたという苦情が65%減ったと報じた。
つまり、このシステムによって、犬にリードを使っている人が飼い主全体の80%まで向上した、ということはまだ20%に飼い主はリードを使っていないということになります。
日本でノーリードで犬を飼ったり散歩している人はもっとおそらくは少ないでしょう。(と推測するのですが・・・。)
でも、実際には日本でもまだまだ道路や歩道には、犬のウンチをよく見かけます。
都市部ではほとんど野良犬はいないと思うので、おそらくは犬の散歩で犬がしたウンチを飼い主がそのまま放置したものと言っていいでしょう。
また、たまにですが、公園などでノーリートで犬を離している人も見かけます。これはたとえしつけが出来ていても、やるべきではありません。
もちろん、こういった犬の飼い主は、ごく一部だと思いますが、それでも少ない数ではないように思います。
こういったこと犬のマナーに対して、条例などで規制しているところがほとんどだと思われますが、実質的に罰則はないに等しいのが現状ではないでしょうか。
こういった観点から考えると、上述した中国山東省済南市が導入したようなシステムは、日本でも検討されるべきものなのではないでしょうか。
犬を没収する、というのは良くないと思いますが、交通違反のように、内容によって罰金を設け、ポイントが一定以上に減った場合は、講習を義務付ける、といったように。
あるいは、犬を飼う場合の登録制度をもっと厳格にして、かつ登録をした場合は講習を受けなければならないとか。
でも、例えば最近問題になっている自転車のマナーの問題でも、まだまだそんなレベルには到底いっていない日本で、さらにマイナーな犬の問題については当分、こんなことが検討されるようにはならないでしょうね。
ペットの販売に関してさえ、8週冷規制がおそらくはどこかの圧力で骨抜きにされてしまっているのが現状で、さらに犬を飼う人が減っているなかで、さらに犬を飼おうとする人に対するハードルをあげるようなことは業界がさせないでしょうね。
それ以前に、パピーミルや保護犬の問題など、犬に関する社会的な課題はたくさんあるのが現状ですからね。
でも、犬の飼い主となる人間のマナーを向上させていけば、それらの問題に対しても良い影響を与えるのではないかと思いますが・・・。
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