小さな犬は確かに可愛い、けど・・・
ネットの広告で小豆柴というのを見かけた。
柴犬よりも小さなマメシバをさらに小さく作出した柴犬とのことである。
この小豆柴を作出したブリーダーさんは、まじめに犬の健康を害するようなこともなく、ひとつの犬種を作るような考え方で小豆柴を作出したようで、かなりの努力をされたのだろう。
その証拠に、「如何なる病気であっても満一歳までの生命保証」も販売した時には付けているとのこと、犬の健康にかなりの自信があるようだ。
大きさは、オスで体高が27㎝、メスで25㎝を標準としているとのことで、JKCが規定するトイプードルの体高が24~28㎝とほぼ同じである。トイプードルと言っても、実際にはミニチュアサイズ以上の大きな犬も多いけど。
ただし、JKCには豆芝も犬種としては登録されていないので、血統書は普通に柴犬となるとのこと。(KCジャパンでは条件を満たせば豆柴として登録できる)
確かに、こんな小さくて健康は柴犬は可愛いだろう。
トイプードルも、人気なのは小さな個体であるようだ。
いわゆるティーカッププードルと言われるサイズである。でも、正式にはティーカッププードルというのも認められているわけではない。
ただ、ティーカッププードルサイズのトイプードルは、人気があるので、高く取引されている。
その結果、健康的に小さく作られたティーカッププードルだけでなく、フードをまともに与えずに、いわば栄養失調状態にして体を大きくさせないようにして作られたティーカッププードルも少なからずいるのである。
まじめに小豆柴を作出されたブリーダーさんも、偽物に注意するよう呼び掛けているようであるが、ティーカッププードルのような犬の健康を脅かすような方法で、似たような超小型の柴犬が他のブリーダーから作られないことを祈るばかりである。
可愛さがポイントであるトイプードルやチワワなどの愛玩犬と呼ばれる犬種は、確かに体が小さいと可愛いかもしれない。
でもそれだけに、小さな個体は販売価格も高く取引されるため、犬の成長を無理やり止めてしまうような方法で小さな犬が作られてしまう、ということが横行しているのが現実、と言っていいだろう。
小さな犬は確かに可愛い、でも(小豆柴はどうかわからないけど)、ティーカッププードルや極小チワワなどは、正当に作られた犬でも特に子犬の時は健康管理にかなり気を使うのである。
極小チワワをまじめに作っているブリーダーは、犬の引き渡しは生後半年以降としているところもある。
確かにティーカッププードルや極小チワワは何のフィルターも通さずに見れば、ほとんどの人は可愛いと思うだろう。
でも、実際に犬を飼うという時に、犬の体の大きさが、その犬に対する愛情に影響するのだろうか?
愛犬になれば、体の大きさなんてどうでもいい!
大きくならない、と言われて購入したトイプードルが言われたよりも大きくなってしまった、ということが問題になることがある。
確かに、購入するときに、この犬はこのぐらいの大きさにしかならない、と言われたのであれば、飼った側の人間は騙された、と感じるのは当然かもしれない。
でも、子犬の時に成長後の犬の大きさなんて、特に標準よりもかなり小さい、というような場合は、保証できるわけがないのである。
それに、もともと小さな犬を望み、その犬が大きくなったから問題になる、ということ自体がおかしいのではないだろうか。
確かに、トイプードルと言われて購入した犬が、スタンダードサイズになれば、それは問題だろう。
でも、ティーカップサイズと言われた犬がトイプードルサイズになったとしても、それは全く問題ではないのではないだろうか。
実際に犬を飼い始めれば、サイズがどうあれ、その犬が可愛いはずである。
少しぐらい大きくなったとしても、それが理由でその犬に対する愛情が変わるはずはないと思う。
もし、大きくなったことが理由で、その犬に対する愛情がなくなるような人がいるのであれば、もともとその人は犬に対する愛情がない、ということではないのだろうか。
ある程度の大きさが、犬を選ぶときの判断材料になるのは確かだと思う。
でも、そのくくりは、一般的な小型犬、中型犬、大型犬、というような大雑把なくくりであるべきだと思う。
犬を飼えば、その犬が成長したサイズが小さかろうと、大きかろうと、全く関係ない。
それが気になるような人は、もともと犬を飼うべきではない、と思ってしまう。
これは、小さな犬だけでなく、大きな犬にも言えることである。
例えば、ジャーマンシェパードなどの大型犬を飼おうとする人は、どちらかというと出来るだけ大きく育ってほしい、と希望する傾向があるように思う。
それはそれでいいと思う。
ジャーマンシェパードなどは大きい方が見栄えが良いのは確かである。
でも、大きくならなかったからと言って、その犬に対する愛情が薄らぐようであれば、本来その人は犬を飼うべきではなかった、ということだと思う。
もともと展覧会などへ出そうという人が、基準に満たないような大きさになってしまった場合は、また別かもしれないが。
ただそれも、そもそも犬の展覧会自体の基準が問題ではないだろうか。と今の僕は思ってしまう。
犬の展覧会、ドッグショーで優勝することを目的に犬を育てれば、目的はいかに形のいい犬に育てるか、ということが目的になってしまう。
その場合、飼い主の愛情は、ショーで勝てる犬にのみ、注がれることになり、下手をすれば、勝てないとわかった犬は邪見に扱われることになりかねない。
そういう意味では、ドッグショーが動物愛護の観点から問題視されているのは当然のことだと思う。
家族として迎えると決めた犬が、どんな大きさになろうと全く関係ない。
もし、それが気になるような人は、犬を飼うべきではないのである。
小さい犬の価値を見直すべきではないのか?
ただ、現実的に小さな愛玩犬の人気があり、価格も高い、という事実がある。これは需要と供給とのバランス、という観点から見れば当然のことなのかもしれない。
でも、犬は商品ではない。生きている、命ある動物である。
普通の商品と同じような観点で感がること自体が間違っていると思う。
本来は、ここをなおしていかなくてはいけないのだろう。
ということは、犬を飼おうとする人間の考え方を変えていかなければいけないのであろう。
でもそれはなかなか現実的には難しいかもしれない。
そんなことを言ったら、世の中、すでにもっと良くなっているだろうから。
であれば、行政が法律的になんらかの対策を考えるべきなのではないだろうか。
例えば、あまりしっくりはこないが、販売される犬の大きさの下限を決めて、それより小さい犬の販売を禁止するなど・・・。
こんなことを言うと、ペット業界からは文句を言われそうだが。
でも、子犬の8週冷規制でさえ、おそらくは業界の圧力でいまだ骨抜きの現実から考えれば、日本でそんな規制が出来るわけがない、と思わざるを得ないのが現実である。
と諦めてしまっては何も進まない。
世の中には、進まないとわかっていても、現状を変える努力をされている方はたくさんいる。
僕も、力にはなれなくても、あきらめずに、なんとか犬のためになることを努力していかなければいけない。
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