犬による家族の順位付けは確かにされています
最近ネットでの記事で、犬による家族の順位付け説は現在では否定されている、というようなものを見ましたが、これは言い方として少し違うのではないでしょうか。
犬による家族の順位付け説を現在は否定している人もいる、というのが正確な言い方ではないでしょうか。
でも僕は、犬による家族の順位付けはされている、と思っています。
僕は学者でもないし、犬の仕事ひとすじできたわけではありません。でも、長年携わったエンジニアとしての仕事から、社会人となってからは物事を客観的に見て、それに対する合理的な仮説を立てる、ということは日常的にやってきました。
そういう視点から、この15年近く、いろいろなブリーダーのところ、また子犬をお引渡ししてきたお客様とその犬たち、また今年で10年になるペットケアサービスでのお客様となった犬たちを見てきた限りでは、犬が家族の格付けをしているのはほぼ間違いない、と思っています。
もちろん、犬には人間の感覚で言う順位付けという意識はないでしょう。しかし、家族を格付けしている結果として、人間から見れば順位付けという言葉になっても、違和感はないと思います。
例えば、お父さんは、吠えればおやつをくれるから犬にとっては自分の言うことを聞く人(自分より下)、お母さんは何かいたずらすると叱られるから自分の好きなようにできない人(自分より上)、子供は一緒に遊ぶ人(自分と同格)、というように。
ただし、おやつをあげる、犬を叱る、というのは、僕たちの中では犬にしてはいけないことですが、ここではわかりやすくするためにこういった例としました。
つまり、犬はその人が自分にとってどんな立場の存在か、ということをしっかりと理解しているということです。
冒頭に書いた最近見たネットの記事の中では、犬には損得勘定があり、自分にとってメリットのある人の言うことはきく、というようなことも書いてありましたが、これも僕の見方は違います。
犬は損得勘定のようなものではなく、自分が指示(吠える)すれば言うことを聞く(おやつをくれる)人を使っているのだと僕は思っています。
つまり、おやつをくれるから言うことを聞くのではなく、おやつをくれるように犬が指示をしている、ということです。これはオスワリでも同じです。おやつをくれるからオスワリするのではなく、おやつを出させるためにオスワリをして人間に指示をしている、と推察しています。
まぁ、物事にはなんでも賛否両論あるので、それはそれでいいのですが・・・・。犬とは関係ありませんが、最近の記事で、最近はやりの糖質制限は寿命を縮める、という記事を読んだ次の日には、糖質制限が寿命を延ばす、という記事が出てきて、どっちなんだ、と思うのと同じですね。
犬のしつけも、いろいろな考え方がある、ということでしょう。
だから、僕は僕の考えを主張はしますが、押し付けるつもりはありません。理にかなっていると感じてくれる、共感してくれる人が増えれば、もっと犬と人間の生活が楽しくなると思っているだけです。
と、話が少しそれてしまいましたが、要するに、犬は人間を、特に家族のそれぞれを的確に格付けしている、ということなのです。
犬に格上だと思ってもらうには犬の信頼を得ることが必要です
では、犬と一緒に暮らす家族として、犬に格上だと認識させるためにはどうすれば良いのでしょうか。
それは簡単に言えば、犬から信頼される人間になる、ということだと思います。
犬に信頼されるというのは、具体的には犬に次のように思ってもらえる人間になるということです。
- 自分を守ってくれる存在である=一緒にいれば安心である
- コミュニケーションを取るのが楽しい=何か指示を出してほしい
自分を守ってくれる存在である=一緒にいれば安心である
犬には長く人間と暮らしてきた歴史から、一緒に暮らす人間を仲間である、と認識していることは間違いないのではないでしょうか。
その仲間意識から、仲間を守る、という本能は残っていると思われます。
しかし、その守るのが、自分なのか、それとも人間なのか、そこが重要ではないでしょうか。
犬が自分の方が格上だと認識すれば犬は家族となる人間を守ろうとするでしょう。だから、常に近づく気配に目、耳、鼻をアンテナとしてそこに何らかの反応を感じれば、威嚇したり、吠えたりなどの行動をとります。
でも家族となる人間が自分を守ってくれる存在だと認識すれば、その必要はなくなります。
犬が実際にどのうような思考をしているのかはわかりませんが、人間的に考えれば、自分を守ってくれる、自分より強い、自分より格上である、と、このようなことではないでしょうか。
つまり、犬がその人と一緒にいれば安心していられる、と感じてもらえるようになることが犬に格上と認識してもらうひとつの条件だと思います。
コミュニケーションを取るのが楽しい=何か指示を出してほしい
そして犬が何らかのコミュニケーションを取りたがる、取るのが楽しい、と感じさせてくれる人である、ということも信頼されるということのひとつだと思います。
これは常に犬から意識される、ということです。
犬にとっての人間とのコミュニケーションは、散歩もその一つだと思います。
でも、ただ犬が一方的に引っ張っていく散歩では全くコミュニケーションになっていません。つまり、そういう散歩では犬はリードを持つ飼い主となる人間のことは全く意識しないで歩いています。
ということは、その散歩で犬は飼い主とコミュニケーションを取りたいという気持ちは全くおきていない、ということになります。
犬が飼い主となる人間にコミュニケーションをとりたがっているような関係が出来ていれば、犬は常に一緒に歩く飼い主となる人間を意識しています。
結果として、犬は飼い主について歩き、飼い主を見る、つまり、結果としてアイコンタクトを取るようになるのです。
そして、何か飼い主から指示されないか、と飼い主の指示を待っています。
人から指示をされる、犬がそれに従う、これが犬とのコミュニケーションの一つです。
ただ犬が引っ張るだけ、淡々と歩くだけ、犬が好きなように動き回るだけ、マーキングして回るだけ、の散歩は犬とのコミュニケーションとは言えません。
つまりそういう散歩をしている犬は、飼い主となる人間を自分よりも格下であると認識していると考えられるのです。
結局、基本的なしつけトレーニングが人間を格上にするのです
- 自分を守ってくれる存在である=一緒にいれば安心である
- コミュニケーションを取るのが楽しい=何か指示を出してほしい
犬にこう思ってもらう人間になる最も簡単で、確実な方法が、基本的なしつけトレーニングをすることです。
リーダーウォーク、オスワリ、マテ、オイデ、ハウス、これをしっかりと確実に迅速に指示に従うようにトレーニングすることによって、犬はトレーニングする人間を信頼するようになります。
つまり、自分より格上だと認識するようになるのです。
そして、そのトレーニングの家庭では、犬は強いストレスを感じることも出あります。
でも、しつけトレーニングの中での犬が感じる強いストレスを、その場ですぐにしっかりとそのストレスを解消させてあげることによって、犬はその人間を信頼してくれるようになってきます。
だから、リーダーウォークトレーニングをすることによって、人間が主となる主従関係と信頼関係が出来るのです。
そして、ここで注意してほしいのは、絶対にフードやおやつなどの食べ物をトレーニングで使わないことです。
フードやおやつなどの食べ物を使ってしつけをしてしまうと、結果として犬が主となる主従関係を作ってしまい、犬との信頼関係は出来ません。
犬はどうすればフードを人間から得られるか、という手段を得ることによって、その人間を格下と認識してしまうでしょう。
だから、いつもフードを上げているだけの人は自分の食べ物を用意するだけの人、になってしまうのです。
同じように、リーダーウォークをしない犬にとっては、散歩をする人は犬が外に行くために利用するだけの人、になってしまうのです。
犬と暮らす時は、特定の人だけが犬よりも格上、になるのではなく、人間家族全員が犬よりも格上になるように、しっかりとしつけトレーニングをすることを、強くお勧めします。
そして、犬は格下であることが、犬にとって最も楽なのです。
つまり、何よりも犬のために、家族となる人間はみんな、犬よりも格上にならなければいけない、と僕は思うのですが。
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