老犬介護士について改めて考える
ペット・トライアングルはもともとは、ネットでの子犬販売のネットショップでした。
でも、犬を販売することにいろいろと疑問を感じ、今の実店舗での飼われている犬のケアーを行うショップへと変わりました。
そのきっかけの一つが、老犬の介護でした。
老犬の介護をできる犬のケアーサービスショップをやる、との目的が最初のきっかけだったのです。
そこで、老犬介護に関しての知識と実習を行い、老犬介護士として、現在も老犬の介護をしたりもしています。
でも、今一番介護が必要になったのは、愛犬のボーダーコリーのマックスになってしまいました。
ちょっと前までは、立って少しは歩くことも出来ましたが、今は全く自分で立つこと、立っていることも出来なくなりました。
食欲はけっこうあり、食べるものはしっかりと食べています。
だから排泄もしっかりとします。そこで、今はオムツを履かせたりしているのです。
【愛犬のオムツ】中型犬以上の寝たきりオスは大変 先週、ボーダーコリーのハイジが永眠して、残る愛犬は、ボーダーコリーのマックスと、トイプードルのシナモンの2頭となりました。 しかし、ボーダーコリーのマックスは、ほぼ寝たきり …
今まで僕たちのことを励まし、癒してくれて来た存在だから、今度は僕らが世話をしてあげるのです。
ということで、老犬介護士としての実績が、自分たちの愛犬にも役立つことになってしまいました。
今までに、8頭の愛犬を見送っていますが、実際に寝たきりになったのは、マックスが初めてです。
僕たちは、老犬介護を仕事の一つとしてやってきたので、なんとかなっていますが、これを一般の飼い主さんがやるのは、かなり大変だろうと、改めて思いました。
そんな老犬の世話をする飼い主さんのためにいるのが、老犬介護士です。
ここで、実際に自分の愛犬の介護をするようになったこともあり、改めて、老犬介護士というものについて考えてみたいと思います。
老犬介護士とは
老犬介護士とは、ペットとして飼われていた犬が年老いて自力での生活が困難になった時に、その犬が生きていくための手助けを、その犬の飼い主さんと一緒に、または飼い主さんに代わって行っていく、老犬介護の専門知識とスキルを身に付けた【老犬のためのサポーター】であり、【飼い主さんのためのアドバイザーやカウンセラー】となる存在です。
老犬介護士のケアの対象は、介護が必要な老犬だけではありません。介護が必要な老犬と一緒に長年暮らしてきた、その犬の飼い主さんも老犬介護士のケアの対象なのです。
ペットとしての犬は、どこかの家族として迎えられた瞬間から、生活のすべてはその犬を迎えた飼い主さんの手に委ねられます。
「どこで寝るか」、「何をいつ食べるか」、「いつどのように運動や遊びをするか」、「どんな環境で生活するか」、など、まさに、その犬の生活の全てが、飼い主さんの考え方と行動によって、どのようなものになるのか決まってしまいます。
言い換えれば、人間は犬をペットとして迎えた瞬間から、その犬の飼い主としてその犬の生涯に責任を持つことになります。すなわち、その犬が可能な限り長く、そして快適に生きていくことができるように努力する義務が生まれるのです。
したがって、犬が老化によりそれまでのように生活をすることが困難になった時も、その犬の飼い主さんが全ての世話をご自分で行うことが原則です。
世話をされる犬も、長年連れ添った飼い主さんに世話をしてもらうことを一番に望んでいることでしょう。
しかし、人間の老人介護と同様に、介護をするということは大変なことです。例えそれが小さな犬であったとしても、肉体的、精神的に大きな負荷となり、ストレスになることもあります。
世話をすべき飼い主さんが、愛犬のための介護をすることが元で、暗くなったり、体を壊してしまったりすれば、犬の介護どころの話ではなくなり、共倒れになってしまいかねません。
このように老犬介護を負担に感じている飼い主さんを、専門的な知識とスキルによりお手伝いすることも、老犬介護士の仕事です。
老犬にはより快適な老犬生活のサポートを、そして飼い主さんには飼い主さん自身に負担の少ない老犬介護というものをご理解いただくこと、飼い主さんに対して実務的、精神的なサポートを行っていくことが大切です。
その上で、老犬が最後の時を迎えた時に、少しでも飼い主さんの心のダメージを軽減させてあげるようにケアすることも、老犬介護士の仕事です。
また、飼い主さんに愛犬が老犬になる前から出来ることがあるということを認識してもらうこと、そして、その具体的方法や生活改善方法を社会全体へ啓蒙、指導していくことも、老犬介護士の、今後の大きな仕事のひとつになるかと思います。
老犬介護士とは、ただ年老いた犬の世話をするだけの職業ではなく、老犬と生活する飼い主さんの悩みや相談を受けるカウンセラーでもあり、愛犬との生活を、長くかつ明るく快適に一緒に生活できるようにするためのトータルケアをするアドバイザーでもあり、そして社会全体の犬、特に高齢犬に対する意識や考え方などを改革していく啓蒙者でもあります。
愛犬ロングライフサポーターと言っても良いかもしれません。
老犬介護士が必要とされる社会的背景
なぜ今、老犬介護なのでしょうか?
人間と犬との共同生活は、つい最近始まったことではありません。
太古の昔、人間が集落として生活をし始めた頃から人間と犬との付き合いが始まったと言われています。
犬と人間との歴史は一万年 人間が犬と一緒に暮らし始めたのは、およそ1万年前と言われています。 犬は、猫とは違い、人間が人為的に共生を始めた唯一の動物なのです。 犬は、人間がオオカミから作った人為的に作られた動物だと言って …
そのような長い歴史を持つ人間と犬との関係ですが、【年老いた犬の介護】の問題ということとなると、1980年代後半くらいまでは日本でも世界でも、ほとんど存在しなかったのではないでしょうか。
理由は、つい最近までは介護が必要な年老いた犬がほとんど存在しなかったからです。
ペットとして飼われている犬でさえ、老齢期に入る前にフィラリアなどの感染症やその他健康上の問題などでその寿命を終えてしまうために、老犬という存在自体がほとんど存在しなかったのです。
それが、【最近の獣医学の進歩】、【栄養状態の向上】、【室内飼いの犬が増えたこと】、【生活環境が良くなったこと】、さらには、【予防接種をしっかりと受け、フィラリア予防の薬を毎月飲ませるなどの、犬を飼う立場の人間の意識が向上されたこと】など様々な要因が、犬の寿命を延ばしていると思われます。
犬の寿命が延びたことにより、人間と犬との歴史上初めて、高齢による心身の老化を持つ犬が多く現れ、その手助けを人間がする、ということが近年発生したといっても良いかもしれません。
実際に、1980年代以前を思い出してみても、10数年生きた、20年生きたという長寿犬はほとんど記憶にありません。
10年生きれば長生きだと言われていました。
しかし、その後の急速な獣医学の進歩と犬の生活環境の改善などにより、確実に犬の寿命は延びています。
今日では、10年以上という年齢の犬はまわりにたくさんいますし、「20歳を過ぎています」という長寿犬も珍しくはなくなってきました。おそらく、これからもしばらくは犬の平均寿命は延びていくことでしょう。
近年、人間の世界でも高齢者の医療や介護の問題が、社会問題となっています。
人間の場合も、医療や環境の進歩・改善により寿命が延びたことが一つの原因となっています。
しかし、人間の高齢者の医療問題や介護の問題は、単に平均寿命が延びて老人の絶対数が増加したことだけが原因ではないと思います。
人間の生活習慣の変化、特に、核家族化が進んだことにより、高齢者が単独で生活するようになったことも、これらの問題の一部となっていると言われています。
老犬の場合も、同じようなことが言えます。
今日では、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に生活をしている、という世帯は少なくなってきてしまいました。
したがって、犬を飼うご家庭においても、共稼ぎなどで、昼間は犬だけになってしまう、というご家庭も以外に多いと思います。
犬も、元気なうちは誰もいない家の中で問題なくお留守番は出来ると思います。
しかし、犬が高齢になってくると、今まで誰かが帰ってくるまで我慢できたオシッコが我慢できなくなったり、自分で排泄ができなくなったり、食事も一回当たりの量を減らして回数を多くする必要があったり、と家族が留守となる時間帯での世話が必要になってきます。
このような状態になると、愛犬が快適に過ごせるように誰かが世話をしなければなりませんが、上述のように日中家族の誰かが在宅するということが難しい家庭環境の場合は、難しいでしょう。
そのような時に、安心して老犬の世話をしてくれる人がいれば、犬も飼い主さんも安心です。その安心を与えられるのが、老犬介護に関する専門知識とスキルを持つ、老犬介護士なのです。
また、最近の社会問題のひとつとして少子化があります。前述の高齢化も原因のひとつですが、このふたつがセットで年金問題、高齢者の医療保険問題なども発生しています。
そしてこの少子化も、犬を飼うということに対して影響を及ぼしているのです。
犬が、子供という存在の代わりに、人間と対等、または人間以上の存在として家族に迎えられるということが多くなってきたということがひとつの例としてあげることができます。
これは、犬の生活環境改善というプラス効果もありますが、犬の存在が人間に影響を与えすぎるというマイナス面も否定できません。
犬は人間の子供と違って、成長しても人間の思ったように育てていけます。
言葉で反抗もできません。
したがって、人間以上に人間の心の中で大きな存在となってしまいます。
【愛犬の元気だった頃の印象が強くて年老いた愛犬の状態を受け入れられない】、または、【一生懸命世話をし過ぎて、飼い主さん自身の心身に障害が起きてしまう】ということもあります。
ましてや愛犬との永遠の別れを迎えれば、いわゆる【ペットロスという、愛犬が死んだショックが人間の心に大きなダメージを与えてしまう】、という場合もあります。
愛犬との別れが悲しくない人間はいないと思います。
愛犬との永遠の別れで涙するのは当然であり、しばらくその悲しみが消えなくても不思議ではなく、心ある人間であれば当たり前のことだと思います。
ただし、その悲しみが人間の心の病気に発展して、仕事などの生活にも影響が出るようになると、これは通常の人間の感情を通り過ぎたものになってしまいます。
そうならないためには、愛犬との永遠の別れが来る前に心の準備をしておく必要があります。
犬の寿命は人より短いため、どんなに小さい時に子犬を迎えても、その犬はいつの間にか自分より年上になり、老化してしまいます。そして、ほとんどの場合、犬は先に死んでしまいます。
犬を飼っている人間は、それをしっかりと受け止めてあげなければいけないと思います。
そのためには、【犬が高齢化するとどのような状態になるかということを知ること】、【そのために何ができるのかということを知ること、そして実践すること】、そして、【どんなに頑張っても、犬との別れは絶対にくるということ】を、その時が来る前にしっかりと認識することが重要です。
しかし、ひとりで、あるいは家族だけで世話をしていると、実際に上述のように認識するのは難しいことかもしれません。【これらのことを知ろうという発想自体がない】、また、【わかっていても考えたくない】、ということもあるでしょう。
そのような方に対しても、高齢犬や、その扱いに関する専門知識とスキルを持つ老犬介護士が、客観的な立場で、かつ一生懸命、親身になって犬の世話を一緒にしていくことにより、飼い主さんも老犬介護士の言葉により耳を傾けてくれるようになります。
飼い主さんとのコミュニケーションを通して、いざ愛犬との永遠の別れを迎えた時の、飼い主さんのペットロスの影響を少しでも軽減することもできるはずです。
このように、犬の寿命が延びたということだけでなく、人間の社会環境、生活環境の変化なども、老犬介護士の存在を必要とさせているのです。そして、そのニーズは今後、より大きくなっていくことでしょう。
とは言っても、現実としては、まだまだ老犬介護士の一般への認知度は低いと思います。その存在すらもしらない犬の飼い主さんもいると思います。
少しでも多くの飼い主さんに、老犬介護士という存在を知ってもらいたいと思います。
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