グレインフリーとは
先日、愛犬のアレルギー対策という記事で、一般的なアレルギー対策ドッグフードとして、グレインフリーのドッグフードが有効であるということをご紹介した。
このページでは、そのグレインフリーのドッグフードについて、もうすこし詳しくご紹介してみたいと思う。
グレインとは穀物のことである。すなわちグレインフリーとは、穀物を原材料として含まないドッグフードということになる。
ただ一口にグレイン=穀物といっても、そのとらえ方には若干の幅があるようで、また英語でのGrainと日本でいう穀物にも、微妙な違いがあるようだ。
ここでいうグレインフリーのドッグフードとは、米・小麦・大麦・ライ麦・トウモロコシ・ひえ・あわなどイネ科の種子を食用として作られるものとする。
こういった原料を含まないのが、グレインフリーのドッグフードということである。
もともとこのグレインフリーのドッグフードは、アレルギーのためというよりも、「本来犬は肉食であり、その体も肉食に適した作りになっているからドッグフードには穀物は不要である」、という考え方で生まれてきたものらしい。
グルテンフリーとは
グレインフリーと同じようなニュアンスの言葉にグルテンフリーという言葉がある。
グルテンとはウィキペディアによると次にように説明されている。
グルテン (gluten) あるいは麩質(ふしつ)は、小麦、ライ麦などの穀物の胚乳から生成されるタンパク質の一種でグルテニンとグリアジンが水を吸収して網目状につながったもの。麺類やパンなど、小麦加工品を作る上で弾性や柔軟性を決定し、膨張を助ける重要な要素となっている。
簡単に言えば、小麦粉に含まれているグルテニンとグリアジンというタンパク質が、小麦粉を水で練ることによってグルテンがその練られた小麦粉の中にできてくるということである。
このグルテンが出来てくることによって水で練られた小麦粉は次第に粘り気と弾性が出てくる。
小麦粉には用途により、薄力粉、中力粉、強力粉がある。この違いのひとつは、グルテンのできやすさの違いということだ。
薄力粉は天ぷらなどに使われるのだが、あまり粘り気を出さないようにするためにグルテンが出来にくい小麦粉である。
逆に強力粉はパンなどに使われるため、なるべく弾性がつくようにグルテンが出来やすい小麦粉となっているのだ。
中力粉はうどんなどに使われるので、その中間ということになる。
また日本料理にもよく使われる「麸(ふ)」は、小麦粉を練って水で洗い流し、グルテンだけが残った、グルテンの塊なのだ。
さて、このグルテン、人間の食物アレルギーのアレルゲンになりやすいとも言われているらしい。そのため、グルテンにかかわる食物アレルギーのある人のための食材として作られる食べ物、あるいはその食材がグルテンフリーと言われているのだ。
グレインフリーはもともとアレルギーのために作られたものではないのに対して、グルテンフリーは最初からアレルギーに対する対策として作られたものなのだ。
しかし、現在グルテンフリーというキーワードでネット検索をすると、出てくるのはほとんどダイエットやアレルギー以外の健康に関する内容になっている。
また、グレインフリーというキーワードで出てくるのは、犬や猫用のドッグフードに関するものがほとんどで人間用の食べ物にかかわるようなことは出てこない。
このようにグレインフリーとグルテンフリーは言葉やそのニュアンスは似ていると言えるが、全く別物だということを改めて知ることが出来た。
グレインフリーは穀物全般を使わない犬のフードで、グルテンフリーは小麦粉などグルテンを生成する一部の穀物を原料としないということである。穀物でもお米などグルテンを生成しないものはグルテンフリーの対象とはならず、逆に小麦粉の代替えとして米粉などが有力な食材となっているのだ。
グレインフリーは、現在では主に、犬のためのアレルギー対策ドッグフードとして使われることが多く、もともとアレルギー対策として使われたグルテンフリーは、今やその目はダイエットや健康のために変わってきているのだ。
ただし、グルテンフリーのダイエットや健康に対するメリットは今のところ根拠となるものはないようで、逆に健康上のデメリットも指摘されているのだとか。
ここでは、人間よりは犬が主役なので、グルテンフリーに関してはこのあたりでやめにして、以下はグレインフリーのドッグフードのメリットとデメリットについて書いていきたいと思う。
グレインフリーのドッグフードのメリット
前述の通り、本来グレインフリーは、犬や猫は肉食動物であるという前提にたって、肉主体で穀物類が排除されたフードである。従って、その前提に立てばグレインフリーのドッグフードは犬に最も適したフードと言えるのだろうか。
しかし、その犬は肉食動物である、という前提が正しければ、というところが問題である。
結論から言えば、現在の犬は雑食動物である。確かに、腸が短いなどの肉食動物に適した体の構造は持っているが、紀元前の昔から人間と共存してきた犬はすでに人間と同じ雑食動物になっていると言って間違いはないだろう。(参考:犬は肉食動物なのか?)
実際、ほとんどの犬はご飯やパン、また野菜や果物も喜んで食べる。もちろん、その犬によって好みはあるのだが。
従って、その面からの大きなメリットはあまりないのではないかと思われる。
ただし、穀物は犬に対して健康面で悪影響がある、という考え方もあるようだが。
でも、健康面のメリットは実質的にはアレルギーを持つ犬に対してのみにあるのではないかと思われる。
穀物類へのアレルギーのない犬にとって、グレインフリーのドッグフードが何かメリットがあるのか、と言えば、はっきりとした具体的なメリットはないようだ。
もちろん、中にはグレインフリーの方が犬にいいだろうという考えでグレインフリーのドッグフードをアレルギーのない犬に与えている飼い主、さらにはブリーダーもいるようではある。ただ、そんな飼い主やブリーダーも、普通のドッグフードで何かトラブルがあったからというわけではなく、より毛艶が良くなるかもしれない、などの期待から使っていることがほとんどのようである。
確かに安いドッグフードには穀物類がたくさん入って、それで量を稼いでいる、というのも間違いではないのかもしれない。でも、だからそれが理由で健康被害が出た、という話は全くないのである。
従って、グレインフリーのドッグフードのメリットは、穀物類にアレルギーのある犬に対しての、そのアレルギー対策としてのみのメリット、と言ってもよいのではないかと思う。
従って、穀物アレルギーを持つ犬に対しては、グレイインフリーのドッグフードのメリットはとても大きい、という場合もあるだろう。
つまり、グレインフリーのドッグフードのメリットは、あくまでも穀物類に対するアレルギーのある犬に対して、ということで、その心配のない犬に対しての具体的なメリットというのはない、と言ってもいいのかもしれない。
グレインフリーのドッグフードのデメリット
グレインフリーのドッグフードは、アレルギーのない普通の犬にはメリットはない、が特にデメリットもない。
ただし、もし本当に肉だけで作られたドッグフードであれば、栄養素が偏るため、問題あるだろう。しかし、総合栄養食として販売されているものであれば、単に穀物を排除したというだけで、必要な栄養素は含まれているはずなので、アレルギーのある犬はもちろん、アレルギーがない犬に対しても悪い要素はない、ということになる。
では、グレインフリーのドッグフードには全くデメリットはないのか、というとそうでもないのである。
グレインフリーのドッグフードのデメリット、それは価格の高さです。
まぁ、経済的に余裕がある人であれば、問題ではないのだろうけど、グレインフリーのドッグフードの価格の高さは一般庶民にはけっこう負担になるのではないだろうか。
参考までに一般のペットショップやホームセンター、動物病院で買うよりは安く買えるであろうamazonや楽天市場でのグレインフリーのドッグフードの価格を下記のページから見てほしい。
でも、実際にアレルギーのある犬には、その症状を少しでも緩和させるためには、グレインフリーのドッグフードがとても有効な場合があるのも確かである。うちのトイプードルもそうだが、その場合は価格が高くてもそれを与えてあげようというのが飼い主の気持ちである。
購入するたびに、もう少し安ければ助かるんだけど・・・、と思ってしまう。
グレインフリーのドッグフードの唯一、そして大きなデメリットがこの価格の高さなのだ。
したがって、アレルギーのない犬に、あえてグレインフリーのドッグフードを与える必要もないように思うが・・・。
ただし、価格の問題は、ご家庭によっては全く問題にならないこともあるだろう。その場合はもし犬が好むのであればグレインフリーのドッグフードを与えることがメリットと言ってもいいのかもしれない。
グレインフリーのドッグフードがアレルギーを100%防げるわけではない
アレルギーのある犬に対して有効なグレインフリーのドッグフードではあるが、ほとんどの場合、有効だけど、完全な対策にはならないだろう。
うちのトイプードルがそうなのだが、アレルギーを持っている犬の場合、特定の何か一つだけというよりも、いくつかのもの(もしかしたら、そのいくつかのものに共通する要素があるのかもしれないが)に反応してしまうケースが多いのではないかと思われる。だから、厳密な特定が難しいのだろう。
従って、アレルギー症状は緩和しても、完全には解消されないケースが多いのではないかと推測されるのだ。
グレインフリーのドッグフードと一口に言っても、上のamazonや楽天市場のページを見てもわかるように、いろいろなフードがある。肉の種類も色々で、その他の穀物に代わる食材もいろいろなものが使われている。
従って、グレインフリーのドッグフードの中から、さらに、そのアレルギーを持つ犬に対して、どのグレインフリーのドッグフードが良いのか探していくことが必要になるだろう。
ドッグフードはドッグフードの良し悪しではなく、その犬に会っているかで決める
普通のドッグフードでもそうだが、ほとんどの犬に問題なくても、その犬には合わない、というドッグフードがある場合があるのだ。
厳密にいえば、それもアレルギーなのかもしれないが、同じドッグフードを与えていてもほとんどの犬は全く問題ないのに、特定の犬はおなかを壊しやすい、ということがある。これは、穀物というより、使われている油分や添加物の影響かもしれない。
また、ドッグフードを変えたら毛艶が格段に良くなった、という例もある。
従って、特にアレルギーがない犬でも、定期的にドッグフードの種類を変えてみて、犬の状態に変化があるかどうか見てみるとその犬に最も合うドッグフードが見つかるかもしれない。
特におなかを壊しやすい犬は、その犬に与えているドッグフードがその犬の体質に合っていない可能性がある。
そのような場合は、ぜひドッグフードの種類や銘柄を変えてみることをお勧めしたい。
これは同じ犬種でもあることで、犬種の違いなどではなく、個々の犬の体質によって違うのである。
ドッグフードの犬に与える影響は、グレインフリーのドッグフードだけではなく、普通のドッグフードでも影響が大きい場合があるのだ。
単にこのドッグフードは評判がいいから、ということではなく、あくまでも自分の愛犬に合っているのか、という視点でドッグフードを選びようにしてもらいたい。
もちろん、アレルギーのある犬の場合、グレインフリーのドッグフードは有力な選択肢になるだろう。
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