保護犬にかかわる団体、NPOには敬意を表するけど
最近、保護犬の話題が全国的なテレビや新聞でも取り上げられることが多くなったように思う。
犬の殺処分の問題が社会的にもクローズアップされてきて、日本でも社会全体が、保護犬の問題への関心が高まってきているのだろう。
それによって、この問題も良い方向へと向かいつつあり、大きく改善されることを期待したいと思う。
日本にも、保護犬の里親探しをしたり、シェルターとして保護犬の世話をする団体、NPOはたくさんあるようだ。
そういった団体に救われている犬もたくさんいると思う。
そういった活動をしている方々、団体へは敬意を表したいと思う。
それに対して、考えるだけで、何もしていない自分はどうなんだ、という自虐の念もあるのだけど・・・。
ただ、保護犬に関しては、良いニュースばかりでもないようだ。
殺処分ゼロを掲げたNPOが犬の虐待で書類送検されるという事件が話題になった。
ほとんどの団体、NPOは問題ないのだろうけど、一部に、問題とすべき保護犬にかかわる団体、NPOが存在することも確かなようだ。
「保護犬を守る」、「殺処分ゼロ」、「保護犬の里親探し」、と掲げればほとんどの人はその団体に対して、好意的な見方をするだろう。
しかし、それを利用しているような団体、NPOもごく一部に存在しているのだろうか?
そうであれば、それこそ、大きな問題かもしれない。
また、悪気はなくても、保護犬の問題、あるいは扱いが過剰、あるいは意識があまりにも高すぎる団体もあるのではないだろうか。
そんなことを改めて思い出させるような話が最近あったのである。
もう10年以上前、まだペット・トライアングルがネットペットショップとして運営しているころにジャーマンシェパードをお引渡しした飼い主さんからのお話しである。
残念ながらそのジャーマンシェパードは亡くなってしまったのであるが、その後、その飼い主さんがあるNPOから保護犬を迎えようとしたのである。
しかし、結果として引渡しの当日にキャンセルせざるを得ない状況になってしまった、ということなのだ。
NPOの担当者、メールでのやり取りはペンネーム、引渡しの当日には勝手に家に上がり込み説教
ちなみにこの飼い主さんは、ジャーマンシェパードを飼われていた。
そのジャーマンシェパードをペット・トライアングルからお引渡し後も、よくご連絡を頂き、飼い方やしつけ方の相談などもしていて、犬のしつけにはとても熱心な方である。
その後も時々、犬の状況などもご連絡頂き、お引渡ししたジャーマンシェパードがガンだとわかった時もいろいろと、その対応などをご連絡頂いたりしたのだが、結局その犬は亡くなってしまった。
その後、やはり犬にいない生活は寂しいということで、犬を飼うことを決めたのだが、ペット・トライアングルでは今は基本的には子犬の販売は行っていない。
そこでその飼い主さんは、里親として保護犬を迎えようとしたのだ。
ネットでいろいろと保護犬にかかわる情報を探して、ある保護犬の里親を募集しているというNPOのサイトで目についた日本犬系の中型犬の雑種に目が留まったとのこと。
そこで、そのサイトへメールでコンタクトしたところ、担当の「佐藤さん」という方が対応してくれたようで、何度かのやり取りの末、その犬を里親として迎えることを決めたのである。
里親として迎えると決めたその犬は、そのNPOで担当してくれた「佐藤さん」が家まで届けてくれるとのことで、日時を決めて犬を迎える準備を整えたとのことだった。
その犬の引渡しの当日、約束の時間よりもかなり早い午前中の早い時間に、その担当者の方が犬を連れて車でやってきた。
その犬の飼い主となる予定だった方は、約束の時間にはまだ2時間以上あったので、少し驚きつつ担当者の方を迎えたのであった。
かなり予定よりも早く来たことにまず驚いたとのことだったが、その後また驚くことがあった。
担当の方の名前が「田中」とのことだったので、「佐藤さんではないのですか?」と尋ねたところ、「佐藤はペンネームです」と言われたのだ。
まぁ、だからと言って、何か不都合があるわけではないが、迎えた方にしては「???」かつ少し不信感を持つのは当然だろう。
と心の中では「なに?この人?」と思っていると、その「田中さん」は断りもなく庭に入り込み、「これじゃダメ」と言いながら、何の断りもなく、勝手に庭のいろいろなものを動かし始めたそうだ。
迎えた方は、あっけにとられてその行動を黙ってみたいたそうだ。
そして、それが一通り終わると、では里親になるための契約をするから、とまた勝手に家の中に入ろうとしたそうだ。
が、迎えた側は「予定よりかなり早かったので、まだ掃除もしていないからここでお願いします」と玄関のところでお願いしたところ、「こんなところで契約なんてできない」と言いながら強引に家の中に入ってしまった。
仕方なく、対応すると、今度は犬の飼い方、扱い方について話し始める。
迎えた方は、ジャーマンシェパードを熱心に育ててきた方なので、自分はこう犬を育ててきた、というような話もするのだが、それに対してはことごとく頭から否定されてしまったとのこと。
約束の時間よりもかなり早く着たこと、そしてメールで使っていたのはペンネームということ、そして勝手に庭のものを動かしたり、家の中に入ってきたこと、自分の考え方だけを主張して、こちらの考え方はすべて否定すること、などなど、よくここまで我慢したな、と思うのだが、それも限界だったようだ。
仮に、そのまま犬を受け取ってしまうと、その後も何かとその人にチェックされ、説教されるのは目に見えるようだった、とのこと。
引き取る予定だった犬は、とてもいい感じでそのまま迎えたいという気持ちは強かったとのことだったが、結局、犬の引き取りは丁重に断り、帰ってもらうことにしたのである。
とは言っても、ここまで犬を運んでもらったので、その交通費は払おうとして確認したところ、数千円ぐらいとのこと。千円札が足りなかったので、1万円渡してお釣りをもらおうと思ったが、結局お釣り分は返してもらえずに、そのNPOの担当者は犬を連れて帰っていったとのことである。
犬自体はとても良さそうな子で、ぜひ迎えたかったけど、さすがにこの担当者の態度、「ペンネーム?」などには不信感があり、さらにこれから先この担当者と付き合うと思ったら、さすがに犬を引き取ることは出来なかった、とのことなのだ。
保護犬支援の本来の目的とは?
というのが、ごく最近の話である。
犬には可哀想だったが、そうせざるを得なかった、というこの方の気持ちは、それはその通りだろう。
もし、その犬を引き取れば、その後もその担当者とかかわりを持たざるを得ないだろうからね。
おそらく、この担当者は例外的に異常な方だったとは思う。だいたいメールでのやり取りでペンネームの「佐藤」を使い、実際の名前が「田中」って、意味がわからない。
「佐藤」という名前にもちろんであるが何も問題はない。でも「田中」さんが「佐藤」というペンネームを使う???、どう考えてもわからない。
犬には直接関係ないが、不信感を持つのは当然だろう。
それはそれとして、決定的だったのは、犬に対する個人的な考え方を強く押し付けてくることだったようだ。
動物愛護にかかわることをしている人の中には、稀に動物に対する思いが強いせいか、極端な考え方をしている人がいるように聞く。
また、そこまで極端ではないにしろ、保護犬の里親募集要件などには、そんなに厳しい条件が必要なのか?これでは里親に慣れる人がごく限られた人になってしまうだろう。
と思うことはけっこうある。(参考:犬の里親になるためのハードルが高すぎる?)
もちろん、里親になる人は誰だっていい、というわけでもなく、それなりの条件が必要だとは思う。(参考:犬の里親になるのは安上がり?ではないのです)
確かに、ペットショップではお金さえ出せば、誰でも犬を買うことが出来る、ということには何らかの対策を講じるべきだと思う。
そして、保護犬となった犬には、保護犬になってしまった経緯と同じような目には2度と会わせたくない、という気持ちも良くわかる。
でも、保護犬の支援の本ラインの目的は、やはり里親となる人をいつけることではないかと思う。
里親になるのに条件が必要なことは確かだと思う。
でも、それがあまりにも厳しすぎると、里親に慣れる人が限られてしまう、ということは里親のもとへ行かれる犬がごく限られてしまう、ということになる。
ペットショップで犬を買った人の中には、確かに、本来犬を飼うべきではない、という人がいるのは間違いないと思う。
犬を買って、適切な飼い方、そしてしつけをしている人は、ドッグトレーナーという視点からは、ごく一部だ、と言ってもいいだろう。
では、ほとんどの犬の飼い主は、本来犬を飼うべきではないのか、と言えば、それは違うと思う。
犬は数千年以上も人間と共生してきた唯一の動物である。
犬は、基本的には、適切な飼い方、ろくにしつけをしなくても人間とうまく生活していける動物なのである。
ただ、適切な飼い方しつけ方をした方が、飼い主はもちろん、飼われた犬も楽な生活ができる、ということ。
そして、犬がその犬の飼い主にとっての問題行動をするようになったら、その飼い主が苦労する、ということだ。
でも、その苦労も程度問題で、ほとんどの飼い主にとって、日常生活の中ではある意味普通のことともいえる。
そして、いくら里親となる人の条件を厳しくしたからと言って、その条件に合う人が必ずしも、適切な犬の飼い方しつけ方をしてくれるという保証もない。
犬を飼うべきではない人には、里親になってほしくない。
でも、本当の意味で犬を飼うべきではない、という人は、そんなに多くはない、と僕は信じている。
犬にとっては、少しぐらいダメな飼い主でも、やはり飼い主となる人と一緒に暮らすのがいいのではないだろうか。
保護犬がもっともっと、里親をまじめに希望する人に迎えられやすいようになることを期待したいと思う。
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