犬が吠えるのはどんな時?
犬の問題行動で多いものの一つに「吠える」という問題があります。
ただし、この犬が「吠える」には、いろいろなケースがあり、そのケースによって、その対処方法は変わってきます。
そこで、まずは犬が「吠える」のはどんな時か、主なケースを家の中と散歩の時で、それぞれあげてみたいと思います。
犬が家の中で吠えるケース
- チャイムがなると吠える
- 外に犬や人の気配があると吠える
- 食事や散歩を要求して吠える
家の中で吠える場合、いろいろな場合があると思いますが、大きく分けると上のような3つでしょうか。
1のチャイムがなると吠える、これはけっこう多いケースだと思います。
この場合、多くは2の外に犬や人の気配があると吠える、という犬はこの両方が当てはまるでしょう。
3の食事や散歩を要求して吠える、いわゆる要求吠えです。それ以外にも遊んでほしいな後の時も吠える犬もいるでしょう。
その他にも、理由はわからないけど吠え続ける、という場合もあると思いますが、その場合もだいたい2か3のケースだと思われます。
犬が散歩で吠えるケース
- ほかの犬に出会った時に吠える
- 人に出会った時に吠える
犬が散歩で吠えるのは、ほとんどの場合、他の犬や人に出会った時でしょう。
この場合も、どんな犬にも、また人の場合は誰かれ構わずに吠える、と言う場合と、ある特定の犬や、特定のタイプの人だけに吠える、という場合もあるかもしれません。
いずれの場合も、リードを持っている飼い主としては困るのですが、特に人に吠える場合は、恐縮してしまいますよね。
そこで、どうしても人に出会わないようなコースや時間に散歩に行く、ということになりがちかもしれません。
犬の「吠える」の対処の基本はまずは基本のしつけトレーニング
犬の「吠える」という問題を対処する場合、次の2つが重要になります。
- 犬との人間が主となる主従関係と信頼関係を作る
- 犬に適切な飼育環境に変える
まずは犬との人間が主となる主従関係と信頼関係を作ることが基本となります。
同時に特に室内での「吠える」に関しては、飼育環境を変えることもかなり効果がある場合もあります。犬によっては、飼育環境を変えるだけでも吠えなくなった例もありますが、基本は犬との主従関係と信頼関係を作ることです。
犬との人間が主となる主従関係と信頼関係を作る
これは、このサイトでは繰り返し書いていますが、「吠える」という問題行動に対処する場合、原則としてはまずはこの関係をしっかりと作ることが重要です。
リーダウォークトレーニングによって、リーダーウォーク、オスワリ、マテ、オイデをいつでも、どこでも、即座に確実に出来るようにすることです。
これについては、具体的な方法は「犬の飼い方しつけ方」から犬のしつけ方や犬のトレーニング動画を参考にしてください。
この犬との人間が主となる主従関係と信頼関係を作ることによって、初めて飼い主となる人間が犬に指示が出来る、教えられる立場になれるのです。
この関係が出来ていないと、「吠える」を止めさせるのも難しくなります。
犬に適切な飼育環境に変える
これも「犬の飼い方しつけ方」から犬の飼い方の各ページを参考にしてほしいと思います。
が、簡単に言えば、室内で吠える犬の場合、ほとんどの場合は室内でフリーにしている犬が多いのではないかと思います。
これをフリーにはさせずに、ハウス(クレート)飼いにする、ということです。
上のリーダウォークトレーニングを行う際にも、このハウス飼いは必須となります。
ここでよく飼い主さんが勘違いされるのが、次の点です。
ハウスに閉じ込めるのは可哀想
そう思われる飼い主さんが少なくないようです。
でもそれは全く逆なのです。
犬にハウス(クレート)を与えるのは、犬を閉じ込めるためではなく、犬に安心して休めるスペースを与える、ことなのです。
室内をフリーにしていた犬は、クレートに入れると最初は吠えることがほとんどです。
それは、クレートに入れられたことによって、今まで自分の縄張りであった家の中で自由にしていたスペースを守れないからです。
しかし、リーダウォークトレーニングを行いながら、そこが自分の縄張りではない、飼い主さんがしきる縄張りである、ということ。その飼い主さんが頼れるリーダーであること、を認識してくれば、クレートの中はその犬が唯一、安心して休めるスペースだということを理解してきます。
また犬によってはリーダウォークトレーニングを行わなくても、クレートが休める場所だと理解して、ハウス飼いにするだけで吠えなくなる犬もいるのです。
実際に、いつも吠えていた2頭のミニチュアダックスフンドに困っていた飼い主さんからの相談で、まずはそれぞれの犬にクレートを与えてハウス飼いにしてもらっただけで、ほとんど吠えなくなったケースもありました。
このように、犬に安心して休めるスペースとしてハウスを与えることは、「吠える」という問題に対してとても効果がある場合もあるのです。
その場合、ハウスは必ずクレートを使用します。理由はしっかりと扉のあるクレートが、野生での穴倉に最も近いハウスとなるからです。長年人間と暮らしている犬とは言え、本能的にそういったしっかりと囲われた暗い場所が最も安全な場所だと感じる犬が多いということです。
室内でフリーにすると犬には本能的に縄張り意識が生れ、それが縄張りを守る、という本能をおこさせ、吠えるという行動になります。縄張りを守る、吠える、というのは犬に大きなストレスがかかっているということです。
従って一見、フリーにさせた方が犬にストレスを与えないように思われがちですが、実は室内をフリーにすることは犬にストレスを与える根本原因に成り得るのです。ましてや直に外と接する庭での放し飼いは犬にとっては最もストレスがかかる飼い方となるのです。
犬に安心して休めるスペースを与えるハウス飼いは、犬にとってはもっともストレスがかからない飼い方になる、ということになります。
犬の「吠える」の対処方法
ということで、上のリーダウォークトレーニングによる犬との主従関係と信頼関係がある程度は作れている、ハウス飼いに変えている、ということを前提に「吠える」という問題への具体的な対処方法をご紹介したいと思います。
対処方法は大きくは2つです。
- 犬が吠えたらすぐにスワレ、マテ、などの指示を出す
- わざと犬が吠えるような状況を作りそれを止めさせるトレーニングをする
まず、犬との主従関係と信頼関係がある程度は作れている、ハウス飼いに変えている、という時点ですでに犬は吠えにくくなっているはずです。
家ではクレートという安心できるスペースが確保されている=室内を守る必要がない、そして、散歩ではリーダウォークによって常に犬は飼い主に意識が行きやすくなっている=ほかの犬や人には意識が行きにくくなっている、からです。
が、実際には今まで吠えていた犬の場合、その癖がなかなか抜けない場合もあり、反射的に今までのように吠えてしまう犬も多いでしょう。
その場合の対処方法が、上の2つとなります。
犬が吠えたらすぐにスワレ、マテ、などの指示を出す
オスワリ(スワレ)、マテの指示にいつでもどこでも、即座に確実に従うようになっている犬であれば、いずれの場合も、犬が吠えたらすぐにスワレ、マテの指示を出せば、犬は飼い主さんに意識が向き、その指示に従い、吠えるのをやめるはずです。
つまり最初は吠えても、すぐにそれを飼い主さんが止めさせて、吠え続けないようにさせることが出来る、ということになります。
もともと犬は吠える動物なので、完璧に吠えないようにさせるというのは難しい、したがって吠え続けないようにさせるということが現実的な対応かと考えます。
特に散歩では、他の犬や人に自分の犬の意識が行きそうになることを注意していれば、そのタイミングで犬にオスワリ(スワレ)、マテという指示をかければ犬は飼い主に意識が戻り、吠えることはないでしょう。
つまり、基本的なオスワリ、マテをいつでもどこでも、即座に確実に出来るように徹底的にトレーニングをしておけば、犬を吠えさせないようにできる、ということです。
オスワリ、マテなんかできる、という方は多いかもしれませが、そこまで徹底的に行っている方は少ないと思います。オスワリ、マテも徹底的にトレーニングしておけば、ほとんどの問題行動は回避できるのです。
でも、そこまではまだ出来ていない、と言う場合は、次のトレーニングを行います。
わざと犬が吠えるような状況を作りそれを止めさせるトレーニングをする
これは別途のページ「犬の問題行動ー甘噛みと飛びつきの対処方法」と同じ考え方です。
つまり、意識的に犬が吠えるような状況、環境を作り、そこで犬が吠えたら、出来れば吠えそうになったら犬をリードで驚かせて吠えるのをやめさせて、吠えなければ優しく声をかけ続けながら犬を撫で上げる、という方法です
リーダウォークトレーニングを行っている犬であれば、リードでのショックで吠えるのを止めるはずです。
例えば、チャイムに吠える犬であれば次のようなトレーニングを行います。
チャイムの場合は2人で行う必要があります。
犬にチェーンカラーとリードを付けて犬のリードを持つ人と、チャイムを鳴らす人です。
- 一人は犬にチェーンカラーとリードを付けて室内で待機する
- もう一人が玄関の外でチャイムを鳴らす
- 犬が吠えたら、出来れば吠えそうになったらリードのショックで吠えるのを止める
- 犬が吠えるのを止めたら、あるいは犬が吠えなかったらすぐに声をかけながら体を撫でてストレスを解消してあげる
- もう一度、チャイムを鳴らす
- また犬が吠えたら、あるいは吠えそうになったら同じことを繰り返す
- 犬が吠えなくなるまで繰り返す
という流れになります。
リーダウォークトレーニングを行っている犬であれば、繰り返すとはいってもほとんどの場合、1回か2回で吠えなくなると思います。
これも、その時はほえなくなっても、時間が経過するとまた吠えるようになるので、2~3日は行い、確実に吠えなくなるまでこのトレーニングを行います。
散歩でほかの犬や人に吠える場合も、基本は同じです。
ただし、散歩での吠えるは、家の場合よりも吠えるのを止めさせるのに時間がかかる傾向にあります。
犬に吠える場合は、最初は少し遠いところから意識的に他の犬がいるところへ近づきます。よく犬が集まる公園などが適しています。
犬が意識し始めるぐらいの距離で、犬がほかの犬に意識がいったと感じたところで、犬にリードでのショックを与えて吠えるの止めます。
吠えなかったら声掛けと体を撫でることでそのリードでのショックのストレスを解消してあげます。
これを繰り返しながら、少しづつ他の犬との距離を縮めていきます。
最終的にはほかの犬が近くにいても、飼い主に常に意識が行くように、同時にほかの犬に吠えないようにトレーニングを行います。
これは、チャイムの場合よりも根気よく行う必要がある場合があります。
飼い主の忍耐力と継続力が重要になります。
これも、事前にリーダウォークトレーニングを行っていればより短い時間で吠えないようになっていくでしょう。
このように、吠えるという問題も、あえて吠える状況に犬をおき、積極的に吠えるのを止めさせるトレーニングを行うことによって対処することを推奨します。
帆家の犬の吠えるから、避けるのではなく、積極的に会わせるようにしながら吠えないようにさせる方が、その時は大変かもしれませんが、長い目で見れば楽になると思います。
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