犬のリーダーウォーク、次の日はよりスムーズになるのはなぜなのか

犬のしつけトレーニングをやっていて、当たり前だけど、少し気になることがありました。

それは、犬にリーダーウォークを教えていると、初日はあまりスムーズな形になっていなくても、次の日には、いきなり前日よりもスムーズになっていることがよくある、ということです。

トレーニングをしているのだから、1日ごとにその成果が出て、毎日進歩するのは当たり前、と言えばそうなのですが、前日のトレーニングの後は、何もしていないのに1日後にはうまくなってる、スムーズになっているのはどうしてなんだろう、というような気持ちもどこかに持っていました。

例えば、しつけトレーニングの初日からリーダーウォークが出来るようになる犬もいるのですが、そこまで行かない犬もいます。

1日目はなんとかぎこちなく向かい合って付いてくる程度のところまで、というような犬も、2日目のトレーニングでは最初からスムーズにリーダーウォークの形になっていくというケースがあります。

いいことなのですが、1日目の終わりと、2日目のスタートの犬の動作のしかたに少しギャップがあると感じることがあるのです。

1日目のトレーニングの後は、トイレ以外は、ただクレートの中で休ませているだけなのに、その動作には進捗を感じるのです。

これがちょっと不思議だな、と。

でもよく考えると、こういうことって人間にもありますよね。

例えば、以前普通にサラリーマンをやっていた頃はたまにゴルフなどもやっていたので、ゴルフの練習場などにも行きましたが、練習場でいくら打っても思うように打てない、っていうようなときも、その後2、3日後に練習場へ行って球を打つとすんなりとうまく打てるようになっている、その間は何もしていないのに。っていうようなことが。

こんな時も何気なく、練習の成果だな、と思ったりしていましたが、なぜ何もしなくてもうまく打てるようになっているのか、については深く考えていませんでした。

しかし、ある本を読んで、その理由が分かったのです。

そしてそれは、犬にも当てはまるのではないか、そうであれば上に挙げたリーダーウォークが翌日にはスムーズに出来るようになっている、ということも納得できるのです。

何かをトレーニングした後に、次のトレーニングでその時以上にうまく出来るようになっている、そのポイントは睡眠だったのです。

睡眠が記憶、トレーニングを強化する

トレーニングの進捗に睡眠が大きくかかわっている、それを教えてくれたのが、櫻井武先生という方が書かれた「睡眠の科学」という本です。

櫻井先生は覚醒を制御する神経ペプチドである「オレキシン」を発見された睡眠に関して世界的にも有名な学者さん、研究者です。

その本の中に、睡眠が記憶を強化する、という内容が書かれていますので、まずはそれをごく簡単に紹介します。

人間の記憶を大きく分けると、「宣言的記憶(陳述定期億)」と「非宣言的記憶(非陳述的記憶)」に分けられるそうです。

宣言的記憶(陳述定期億)とは日記などに文字として書けるような記憶です。例えば、日曜日に〇〇公園で犬の散歩をした時に、□□さんに会った、というような記憶です。さらに厳密に言えば、この時の行動の記憶は「エピソード記憶」、公園の名前や人の名前などは「意味記憶」というように宣言的記憶(陳述定期億)の中で分けられます。

それに対して、非宣言的記憶(非陳述的記憶)は文章や文字で表現しにくい、楽器の演奏やスポーツ、テレビゲームのようなもので、繰り返し行うことによって上達する記憶です。

すなわり、ゴルフの練習などは、この非宣言的記憶(非陳述的記憶)ということになります。

この本によれば、非宣言的記憶(非陳述的記憶)は睡眠によって、単にその記憶が維持されるというよりも、より強化される、つまりその記憶による技巧や運動技能が、睡眠によってより上達すり、と考えられているのです。

厳密な意味で、これが証明、科学的に解明されている、ということではないようですが、実験的にそういった結果が確認され、睡眠が非宣言的記憶(非陳述的記憶)を強化する、という考え方が最も合理的で現在の主流になっている、ということです。

ゴルフで一生懸命練習した当日はうまく打てなくても、その夜の睡眠の間にその記憶が脳の中で整理されさらにその記憶によるところの行動がよりうまく体に指示できるようなことが脳で行われている、と考えていいのでしょう。

その結果、その後の練習では、すんなりうまく打てる、ということになるようです。もちろん、すべてのケースでそうだとは言えないのでしょうが、そういうことがあるのは、事実です。

これを犬のしつけトレーニング、冒頭で書いたことに当てはめると、同じように理解できるのです。

初日はぎこちなく終わっていたリーダーウォークトレーニングが次の日には最初からけっこうスムーズに出来るようになっている、ということを合理的に説明している、と考えます。

人間に関する研究結果が、必ずしも犬にも当てはまるとは言えないかもしれません。でも、犬も同様に睡眠によって非宣言的記憶(非陳述的記憶)が強化される、という仮説を立てれば、合理的に説明できます。

そして、もしこの仮説が正しければ、犬のしつけトレーニングにおいて、トレーニング後にしっかりと睡眠を取らせる、休ませる、ということがトレーニングをよりスムーズに早く進捗させるということになるのです。

この非宣言的記憶(非陳述的記憶)が睡眠によって強化されるということは、人間においてもまだ明確、詳細に解明されているわけではないようですが、それ以外の宣言的記憶(陳述定期億)もやはり睡眠によって強化されると考えられているようです。

さらに睡眠によって強化されるのは、記憶だけでなく、知的脳力や認知力も強化されるという研究結果も示されているとのことです。

このように睡眠によって、記憶が強化される理由もまだ明確には解明されていないようですが、おそらく次のような理由によるものだろうと考えられているようです。

睡眠には2種類の睡眠、レム睡眠とノンレム睡眠があります。レム睡眠は浅い眠り、ノンレム睡眠は深い眠りというのを聞いたことがあるでしょう。人間はこのノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返しています。

レム睡眠では体の運動機能は休止していますが、脳は活発に動いていて、その時に記憶が脳の中で整理されると考えられています。さらにノンレム睡眠では脳も休止状態に入りますが、これはいわば、パソコンを再起動するのと同じで、脳を一度リセット状態にするという役目もあるようです。

パソコンで何か不具合があると再起動すればその不具合が解消される、ということがよくあると思いますが、人間もノンレム睡眠で脳を一度リセットすることにより、不要な情報やバグになるような情報を取り除き、レム睡眠でさらに記憶の有用な部分を鮮明にしていく、これを睡眠の間に繰り返すことによって、記憶が鮮明化、つまり強化されるのではないでしょうか。その結果、うまく出来なくさせるような記憶を取り除き、有用な記憶を残すことによって、その後に実際に行うときは、以前よりもうまく出来るようになるのではないかと思うのですがどうでしょう。(この最後の部分は個人的な推測、理解です)

クレートをハウスとする飼育環境が早期のしつけトレーニングを成功させている

基本的なしつけトレーニングによって、ほとんどの犬は1日1回20~30分のトレーニングだけでも1週間から10日ほどでリーダーウォーク、オスワリ、マテ、ハウスなどは出来るようになります。

このように短期間で出来るようになっているのは、単にトレーニングをしているからだけでなく、トレーニングの時以外はトイレを除いて、クレートの中で休ませている、犬は睡眠時間が十分にとれている、ということも重要な要素になっているのかもしれません。

クレートは、現在ある犬のハウスとして使われるアイテムの中では、最も犬が安心できるタイプのケージです。

クレートを、犬が最も安心できるスペースと認識してくれば、クレートの中では、犬も安心して睡眠を取ることが出来ます。

犬は本能的に寝ている間も周囲の音に敏感に反応しやすいため、人間では比率の多いノンレム睡眠が、犬の場合はかなり少ないと言われています。

しかし、安心して休める場所で睡眠を取れる時間が十分にあれば、そのノンレム睡眠を取れる時間も長くなるでしょう。

つまり、レム睡眠とノンレム睡眠のセットを十分に取れるようになるということになります。

それによって、その日に行ったトレーニングが犬の頭の中で整理、その記憶が強化される、という仮説はどうでしょうか。

これは単なる僕の個人的な仮説ですが、そう考えると実際に行っているしつけトレーニングの様子とつじつまが合うようになります。

つまり、犬のしつけトレーニングも、単にトレーニングをするだけでなく、その後にしっかりと十分な睡眠を取らせることが重要だということになります。

そういう意味でも、クレートをハウスとするハウス飼いは、単に犬が安心できるスペースを与えるだけでなく、しつけトレーニングを効率よく成功させるためにも、重要な要素になるということです。

と考えると、今やっているしつけトレーニングと飼育環境の整備=クレートでのハウス飼いを必ずペアで行うということは間違っていない、と確信します。

ということは、しつけトレーニングを行う前から、このクレートをハウスとする飼育環境に犬に与えてあげるのが、より良い犬の飼い方、ということになるのではないでしょうか。

人間も犬も、しっかりとした睡眠は単に休む時間ではない、能力を強化するための時間でもあるのです。睡眠って、とても大事なんですね。

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