犬にストレスをかけないようにとしていることが・・・
愛犬にはなるべくストレスをかけるような生活はしたくないのは、飼い主さんのだれもが思うことでしょう。
そのためにやっていると思っていることが、実は愛犬にストレスをかける原因になっていることがあります。
ペット・トライアングルのサイトでもいろいろなページで書いていますが、その中でも多くの飼い主さんが実際にやってしまっていることについて、その対策も含めてまとめてみました。
多くの飼い主さんが犬にストレスをかけないために、と思ってやっているけど、実は犬にストレスをかける原因になっていることは次の通りです。
- 庭に放し飼い
- しつけをせずに室内で放し飼い
- 毎日決まった時間に散歩に行く
- 長時間犬と遊ぶ
- 出かけるときの犬への挨拶
上に挙げた5つは、けっこう犬のストレスを解消するために、または犬にストレスをかけないために、と思ってやっている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
でも、実はこれらのことは逆に犬にストレスを与えることになっているのです。
このサイトを少しご覧いただいた方なら、だいたいその理由はわかると思いますが、初めてこんなことを見る方には、「そんなことないだろう」、と言われると思うので、改めて、それぞれを簡単に説明したいきたいと思います。
犬を庭に放し飼い
これは、しっかりと閉鎖された庭がないと、なかなかできないので、実際にやっている人はそう多くはないかもしれません。
でも、それが出来ない人でも、もし庭があれば、犬を庭で自由にさせるのが、たぶん、犬のストレス解消、またストレスがかからないようにするには、最もいいんだろうな、と思っている人は多いのではないでしょうか。
でも、庭に犬を放せないけどそう思っている人は、犬を放せるような庭がなくてよかったです。
実は、犬を庭で自由にさせる、つまり犬を庭で放し飼いにするのは、犬にとって、最もストレスがかかることなのです。
と言っても、なかなか納得してくれる人は少ないかもしれませんが。
ペットとしての犬でもやはり野性的な本能はいまだに持っています。だから、訓練すればどんな犬でも警察犬になれる可能性があるのです。
その本能の中でもペットとして犬に持たせてはいけないのが、縄張り意識、テリトリーを持つという本能です。
犬は自分が自由に動けるところは自分のテリトリー、つまり縄張り意識を持つようになってきます。
自分の縄張りが出来ると、今度は、その自分の縄狩りを守ろうとする本能が強く出てきます。
守るためには、常に、視覚、聴覚、臭覚などあらゆる五感を鋭くつかいながら、侵入者の気配を感じ取ろうと常にアンテナを目いっぱい張りながら、警戒します。横になって目をつぶっていても、耳は常にしっかりと機能させて音がすればすぐに反応するような体勢を取っています。
つまり、犬は縄張りを持つと、その縄張りを守るために、常に警戒するというストレスを抱えながらそこで過ごすことになります。
さらに、そこに近づく気配、犬は人などの気配があれば、それに最大限の注意を払い、必要に応じて吠えたり、唸ったりして警告します。これはさらに犬のストレスが高まった状態になります。
つまり、庭に犬を放して自由にさせるということは庭を犬の縄張りとして与えることになり、犬はその縄張りを守ることを任されることになるのです。
従って、庭に近づく気配に常にアンテナを張り、近づく気配があれば吠えたりして威嚇します。つまり、庭に放された犬は、たとえ休んでいるように見える時でも、常にストレスを抱えることになり、何かが近づく気配を感じれば、そのストレスがとても大きなものになるのです。
どうでしょうか、犬を庭に自由にさせるということが、犬に大きなストレスを与えるということが、少しわかってもらえたでしょうか。犬を庭に放し飼いにするということが、なんとなく感覚的にはいいような感じがするかもしれませんが、このように理論的によく考えると、庭に犬を放し飼いにすることが犬に強いストレスを与えることだということが、わかると思います。
ただし、基本的なしつけトレーニングをしたうえで、飼い主さんの指示のもと、飼い主さんと一緒に庭をかけまわるのは、とてもいいストレス解消になるでしょう。
犬のしつけをせずに室内で放し飼い
犬を室内に自由にさせる、室内での放し飼いは多くの飼い主さんがやっていることではないでしょうか。
犬を室内で放し飼いすることが絶対に犬にストレスを与えることだといいうことではありません。
ポイントとなるのは、その犬にしっかりとした基本となるしつけトレーニングを完了しているかどうか、ということです。
犬にストレスをかけるのは、犬に全くしつけトレーニングをしないで、室内を自由にさせている場合です。
これも考え方は、「庭に放し飼い」と同じです。
室内とは言え、犬が自由に出来るスペースはすべてその犬の縄張りとなってしまいます。
従って、その縄張りを守ろうという本能から、近づく気配、近づくものに対して常にアンテナを張り、また近づく者には強いストレスを持ちながら吠えるなどの威嚇行動を行うようになってしまいます。
ただし、庭に比べれば、家の中という壁に囲われた閉鎖空間なので、直接的な視覚、聴覚、ましてや嗅覚的な情報は入りにくくなっています。
従って、庭に放されよりは、犬にかかるストレスも弱いものになっているのでまだ良いと思います。
でも、外に犬や人がいる気配を感じるとすぐに窓のところに偵察に行ったり、吠えたりする犬は、確実に、常にストレスを持ちながら近づく気配にアンテナをたて、その気配を感じれば、強いストレスを持ってそれに対する防衛本能を発揮し、威嚇的な行動、つまり吠えたり、唸ったり、という行動をとっているのです。
つまりストレスの強弱はあるにせよ、室内でもそこがその犬の縄張りだと認識させるような飼い方は、結果的に犬にストレスを与える飼い方になっているのです。
ただし、基本となるしつけトレーニングをきちんと行ったうえで、室内での放し飼いをしているのであれば、原則として問題ありません。
その場合、犬が飼い主さんを信頼して、飼い主さんに対する服従心が出来ているという、飼い主さんが主となる主従関係と信頼関係がすでにできているはずであり、そのしつけトレーニングの段階で、犬の自由に出来る場所はその犬のために用意されたハウスとなるクレートになっているはずです。
したがって、そのハウスから出れば、たとえ室内であっても、そこはその犬が自由に何でもできるスペースではない、あくまでも飼い主さんの指示のもとに動くスペースであり、犬自身が守るべき場所ではない、つまりその犬の縄張りにはならないのです。
適切なしつけトレーニングによって、室内を犬が自分の縄張りだという意識を持たせないようにすれば、犬は室内に放されてもそこを犬が自分で守る必要はありません。ということは、近づく気配にアンテナを張る必要はなく、守るのは飼い主となる人間に任せればいい、ということになります。
だから、基本的なしつけトレーニングをしっかりと行い、飼い主さんが主となる主従関係と信頼関係が出来ていれば、犬を室内で放し飼いにすることが犬にストレスを与えることにはならないのです。
そして、ついでに言えば、犬は自分のスペースとなるハウス、クレートを与えられていれば、その中に入っていれば、常に安心してストレスなしに休むことが出来るのです。
犬をケージに入れることが犬にストレスをかけることだと思っている方もいるかもしれませんが、それは全く逆です。
犬にケージで過ごすことを教えていけば、犬はそのケージ、最も適切なのがクレートですが、そこが犬にとって最も安心していられるスペースになるのです。
したがって、適切なしつけ方法を行えば、犬のケージ飼いは、犬にストレスを与えないようにする、最も適切な飼い方なのです。
毎日決まった時間に犬の散歩に行く
これも、「なんで犬を散歩につれていくのが犬のストレスになるんだ」と言われそうですね。
犬を散歩に連れていくこと自体は、基本的には問題ありません。細かく言えば、散歩の仕方によっては、というところもありますが、ここでは問題ないとします。
問題なのは、「毎日同じ時間に」、というところです。
細かく言えば散歩の仕方によっては、というところもあるのですが、基本的には散歩は犬にとっては飼い主さんとの大事なコミュニケーションの時間ですから犬のとっては楽しみな時間となります。
しつけがされてなければ、犬の散歩はその犬のトイレタイムであったり、散歩コースという縄張りを巡回する時間になっている場合もあるのですが、その場合はより犬にとって散歩をすることは重要な時間になるでしょう。
したがって、いずれにしても散歩は犬にとって待ちに待っている時間となります。
その散歩を毎日同じ時間に行く習慣が出来ていると、犬はその時間が近づくと、今か今かと散歩もつれて行ってくれるのを気をもみながら待つようになります。
つまり、その散歩の時間が近づくたびに、毎日、犬にはストレスがかかるようになってくるのです。
この時点で犬には強いストレスがかかってくるのですが、それでも散歩に出かけられれば、そこである程度のストレスは解消されるでしょう。
でも、もし何らかの理由でその時間に散歩に行けなければ、犬のストレスはより強くなってしまいます。
ではどうすればいいか、というと、毎日散歩の時間は変える、ということが有効です。
その日によって、朝行くときもあれば、昼間行くときもある。夕方の時もあれば、夜の時もある、というように。
そして、行く回数も日によって変える、つまり朝だけの時もあれば、朝と夜の時もある、そして全く行かない日もある、というように。
そうすれば、犬はいつ散歩に行くかわからない、ということになり、特定の時間に散歩を意識してストレスを感じることもありません。
ただし、そのためには散歩を犬のトイレタイムにしないことが必要です。
したがって、やはり適切なしつけトレーニングを行い、その中で室内でトイレが出来るようなトイレトレーニングも行っておくことが必要なのです。
犬が室内でトイレをできれば、毎日必ず散歩に行く必要はありません。雨の日に犬を散歩に連れて行くのは、飼い主さんも大変だし、犬もかわいそうですからね。
長時間犬と遊ぶ
これも、「なんで犬と遊ぶことが犬のストレスになるんだ」、と言われそうです。
が、ここで問題となるのは、「長時間」ということです。
犬が集中して何かをやれるのは、だいたい20~30分ぐらいです。
だから、しつけトレーニングもそのくらいの時間しか行いません。
遊ぶんならいいだろう、という意見もあるかもしれませんし、遊べば犬ももっと長い時間、1時かでも2時間でも遊んでしまうでしょう。
でもそれは、犬の心身に負担をかけていることになる場合があるのです。
犬は大好きな飼い主さんが相手をしてくれるので、頑張ってしまいます。
最初は楽しく遊んでいても、ある程度時間がたってくると、頑張って飼い主さんの相手をするようになってきます。
頑張る、ということはある意味ではストレスがかかっている、ということになります。
体力的にも長時間遊んでいることは負担になります。
特に、子犬の場合は、それによって大きく体調を崩すことにもなりかねないのです。
犬と遊ぶ=コミュニケーションを取るのは、20~30分ぐらいにして、その後は一緒にいるにしても、そばでフセをさせておくとか、小さい犬であれば抱っこしているだけにする、というようにするか、出来ればハウスとなるクレートに入れてあげるのが、犬にストレスを与えないことになるでしょう。
出かけるときの犬への挨拶
これは「愛犬に「いってきます」「ただいま」がNGな理由」のページで詳しく書いています。
簡単に言えば、犬に「行ってきます」という言葉をかけることによって、飼い主さんが家から出かけてしまうことを犬が察してしまうと、その「行ってきます」の言葉=大好きな飼い主さんが家から出て行ってしまう合図、になってしまいます。
つまり犬にとっては、聞きたくない、ストレスを与えられる言葉になってしまうのです。
出かけるときは、出来るだけ、犬に出かけることを察せられないように、静かに出かけるのが犬のためになるのです。
犬のストレス解消の最も有効は方法は飼い主さんが犬とコミュニケーションを取ることです
犬のストレス解消、また犬がストレスを持たないようにするためには、毎日しっかりと犬とのコミュニケーションを飼い主さんがとってあげることです。
コミュニケーションのやり方はいろいろとあります。
ブラッシングをするのも犬とのコミュニケーションです。
犬のしつけトレーニングは、最も密な犬とのコミュニケーションです。
散歩も犬とのコミュニケーションの時間になりますが、ただ犬が引っ張ったり、マーキングしているような散歩はコミュニケーションになりません。
トイレのための散歩も同様です。
そういう散歩はただの犬の縄張りの巡回であり、トイレタイムでしかありません。
犬とのコミュニケーションとなる散歩とは、犬に常に声をかけながら、犬も常に飼い主さんを注目、意識をしながら歩くような散歩です。
途中でオスワリさせたり、マテをさせてオイデ、と呼んでみたり、歩くスピードを変えたり、途中で止まったり、走ったりなど、常に犬が飼い主さんの行動を注目する、飼い主さんが常に犬に指示を出しているような散歩、これが犬とのコミュニケーションとなる散歩です。
犬とのコミュニケーションとは、犬と飼い主さんがお互いにお互いのことを意識している時間のことなのです。
それを毎日しっかりと適度な時間で行っていれば、犬はストレスなく、また何らかの理由でストレスを感じたとしても、しっかりと解消できるでしょう。
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