秋田犬の本場で秋田犬の殺処分が1割に!
いつものように犬に関するニュースを検索していたら、少し気になる記事を見つけてしまった。
「YOMIURI ONLINE」という読売新聞のウェブサイトの記事である。
気になった記事のタイトルは「秋田犬の殺処分、本場秋田で全犬種の1割超に」という少しショッキングなタイトルである。
詳しくは、上のリンクから実際の記事をご覧いただきたい。
要約すれば、秋田県で2015年度以降に殺処分となった犬は252頭いるそうで、そのうちの29頭(11.5%)が秋田犬だった、という内容である。
フィギュアスケートのザキトワさんに送られた秋田犬のマサルでまた人気が出たと思われる秋田犬が、本場の秋田県で殺処分の1割を占めているなんて、かなりショッキングなニュースではないだろうか。
しかし、その記事をよく見てみると、グラフが掲載されていて、それを見ると、2015年度が6頭、2016年度が21頭、2017年度は2頭、2018年度(9月まで)0頭、となっている。
ちなみに、秋田犬を含めた殺処分数は、2015年度が110頭ぐらい、2016年度が80頭ぐらい、2017年度は40頭ぐらい、そして2018年度(9月まで)は20頭弱である。
殺処分全体の数は、確実に減っているという事実も見られる。
ただ、2016年度に関しては、約80頭のうちの21頭が秋田犬であり、4頭に1頭が秋田犬ということになっている。
理由は不明だが、2016年度だけが、極端に秋田犬の比率が高いのである。
幸い、今年はまだ秋田犬は殺処分の中にはないようだ。それでも、20頭近くの犬が殺処分となっているようだが・・・。
ということで、よく見ると、必ずしも記事のタイトルから受けたイメージとは微妙に違う内容なのではあるが、秋田県で犬の殺処分があり、単純に2015年度以降という数字で見れば、高い比率で秋田犬が占めているのは事実である。
ただ、殺処分全体の数は急減しているので、まだまだ完全ではないにしろ、関係者の努力が報われつつあるのではないだろうか。
秋田犬は日本犬の中で唯一の大型犬と言われるが・・・
秋田犬は、日本犬の中では唯一の大型犬である。
ちなみに、秋田犬の読み方は、「あきたいぬ」である。
天然記念物ともなっている秋田犬だが、その歴史は必ずしも、日本犬の純血種ではないのである。というと怒られてしまうかもしれないが・・・。
もととなっているのは、秋田の猟犬として使われていたマタギ犬と言われる中型犬だと言われている。
しかし、江戸時代から明治時代にかけて秋田地方でも闘犬がはやり、それに使われたのがこの秋田犬だったようだ。
強い闘犬にするために、体を大きくするために、マスティフ、グレートデンなどの洋犬の血が入れられ、体も大きくされたようだ。
その後闘犬は禁止されたようだが、第二次世界大戦中は軍用犬として使われたジャーマンシェパードを除いては犬は没収されるということがあり、それを避けるために秋田犬にはジャーマンシェパードを交雑させるということが行われたようである。(参考:秋田犬はどんな犬?)
従って、戦後は、現在見る秋田犬とは見た目が全く違う、ジャーマンシェパードのような秋田犬が多かった。実際、僕が子供のころ近所で飼われていた秋田犬は、今のような愛くるしい顔ではなく、ジャーマンシェパードのような顔、スタイルであった。(参考:秋田犬、昔と今の顔の違い)
でも、その後、当時残っていた数少ない、本来の秋田犬の血統を使って、本来の秋田犬に戻そうとして作られたのが現在の秋田犬である。
そういう意味では現在の秋田犬は、本来の日本犬としての秋田犬に戻っていると言っていいのかもしれない。
秋田犬は日本犬の血を持つ忠犬である
秋田犬と言えば、前述のザキトワさんへ送られたマサルが最近では話題となったが、その前にはプーチン大統領にも送られている。
そして、もともとはかの忠犬ハチ公として日本のみならず、ハリウッド映画にもなった日本の有名犬種でもある。
そんなことから、数としては日本よりも海外にいる秋田犬の方が多いようである。
今や世界的に人気んのある犬種、と言っていいのかもしれない。
その秋田犬が、本場の秋田で殺処分の中の大きな割合を占めている、という記事のタイトルに驚いたわけだが、よく見ると2016年度が特異で、今年はその傾向はかなり良くなっているようで少し安心した。
しかし、そうはいっても確かに秋田犬は、気軽に飼うべき犬種ではない。
まず大型犬であるというところが、その大きな要因である。
大型犬で人気犬種と言えば、何と言ってもゴールデンレトリバーだろう。
基本的にはとても陽気で人懐っこい性格だが、現実的にはけっこう噛まれる、という事件の多い犬種でもある。
その原因は適切な飼い方しつけ方がなされていないことが大きな要因だろう。
体が大きいので、何かあれば、その影響も大きくなるのである。
秋田犬も同じである。
基本的には、温厚で忠実、服従性の高い犬種である。
しかし、やはり日本犬、誰にでも人懐っこいゴールデンレトリバーとは違う。
温厚で忠実なのは、基本的には飼い主さんに対して、ということなのだ。
もちろん、最近の秋田犬は飼い主以外の人にもなつきやすくなっているかもしれない。
でも、日本犬の基本は飼い主にはとっても忠実、でもそれ以外の人には常に警戒心を持って、というのが一般的である。
その日本犬の血を持った大型犬だけに、飼い方しつけ方は普通の犬以上にしっかりと適切に行う必要はあるだろう。
ただ、大型犬だから広い庭、広い家じゃないと飼えないか、というとそれは違う。
今や、ドッグランはどこにでもある。
散歩はどこに住んでいてもできる。
しっかりとしつけをしてあげれば、室内でのハウス飼いも全く問題ない。
従って、広い家、広い庭がなくても、たとえマンションでも禁止されていなければ、適切な飼い方しつけ方で、大型の秋田犬でも飼えるのである。
外での散歩はできるし、時々でもドッグランに連れていけばいいのである。
ゴールデンレトリバーのように誰にでも人懐っこい犬が欲しい人にはむかないかもしれないが、自分だけにはとっても忠実な犬が欲しい人にはうってつけの犬種であろう。
秋田犬を飼う人には、そういった大型犬であること、そして日本犬であること、の特徴をよく理解したうえで飼ってほしいと思う。
でないと、なんでこんな犬を飼ってしまったんだ、ということになりかねない。
きちんと秋田犬を理解して飼えば、決して飼い主となる人間の期待を裏切ることはない、それが本来の秋田犬だ。
秋田犬に限らず、殺処分になる犬は、すべてその犬にかかわった人間のせいでそうなってしまうことは間違いない。犬自身に落ち度はまったくないはずだ。
以前に比べて犬の殺処分の問題も良い傾向にはあるが、まだまだ完全ではない。
犬を飼う人間の意識がもっともっと変わる必要があるだろう。
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