東日本大震災でのペットに関する教訓から
「ペットの防災豆知識という回覧板で回ってきたチラシを「災害時に愛犬が迷子にならないために」で紹介しました。
そこに犬の迷子に関することと、もうひとつ、避難所でのペット飼育について書かれています。
このページでは、この避難所でのペット飼育について書いてみたいと思います
あの2011年の3.11、東日本大震災では、地震だけでなく人災ともいえる原発の問題も加わり、該当地区ではペットをやむなく家の残していく方が多数いらっしゃいました。
そして、それがニュースで何度も取り上げられるなど、災害時の問題点のひとつとして教訓となりました。
この教訓から環境省は2013年6月に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成しました。
今や犬や猫などペットも家族の一員としての認識が社会一般に広まってきたひとつの例だとも思います。
そしてまた2016年4月には熊本地震が発生、また大きな被害が発生しました。
そこで、2018年1月時点では、環境省は「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」にさらに熊本地震での教訓を生かすため改定作業を進めているようです。
ただし、現時点でこのガイドラインに強制力はなく、災害時の避難所でのペットの対応は各市町村の判断、決定に任せられています。
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熊本地震での避難所でのペットの対応
熊本地震では、ペットに対する避難所での対応も、だいぶ改善されてきたようです。
全てではありませんが、ペットとの同行避難が出来る避難所も設置されていました。
また、獣医師会やペットの災害時支援NPO団体なども、積極的にペットの支援を行っていました。
ただし、それでもまだまだ犬を連れての避難所での生活には問題点がたくさんあるようです。
犬を連れてきた人と、犬を避難所へ連れてくることに否定的な考えの人とのトラブル事例がやはりけっこうあったようです。
まず問題となったのが、犬を受け入れてくれる避難所でも受け入れられる犬の条件を満たしていない犬がけっこういたことでした。
具体的には、避難所で犬を受け入れる場合、法律で決められている狂犬病予防接種や犬の登録を行っていることだけでなく、義務とはなっていない混合ワクチンの接種の有無、ノミダニ駆除をされているかが、条件となっていたことです。
でも現実的にはその義務となる狂犬病予防接種や犬の登録をされていない犬も少なからずいたようで、また義務とはなってないワクチンの接種、ノミダニ駆除を全くしていない、という犬も多かったようです。
その場合、犬を避難所に連れて行くことはできなかったようです。
予防接種は絶対に必要か?
これらは普通に考えれば当たり前のことであり、飼い主であれば当然実施している、という意見もあると思います。
もちろん、狂犬病予防接種や犬の登録は義務ですから、当然かもしれません。
そして犬の飼育環境や飼い方によっては絶対に行うべき犬がいることも確かです。猟犬など野生動物との接触がある犬は特に必須です。
この点は難しい問題だと思います。
普通に考えれば、これらのことは飼い主なら当たり前にすること、だとは思います。
しかし、老犬や室内だけで飼われている犬に、本当に毎年の狂犬病予防接種が必要なのか。またワクチン接種やノミダニ駆除を全くしたことがない、というのは問題だとおもいます。しかし、毎年行う必要があるのか。
など、その犬の年齢や状態によっては体に負荷のかかる予防接種を打つべきかどうかは議論するべき点だと個人的には思っています。
確かに公の避難所では、そういった条件は致し方ないとは思いますが、少し手間がかかっても、その条件を満たしていない犬でも、犬1頭1頭の年齢や状態などから判断することも必要ではないかと思います。
では次に避難所での犬との生活の問題点と対策について考えてみたいと思います。
避難所での犬との生活の問題点と対策
さて、犬と上記の条件をクリアして犬を避難所へ連れていけたとしても、まだまだ問題はあります。
問題となるのは、主に排せつ物などの匂い、そして犬が吠えること、です。
排せつについては、普段からマーキング的などこでも排せつしてしまう犬は特に問題になりやすいでしょう。
トイレトレーニングができている犬であれば、飼い主さんが適切なタイミングで犬に排せつをさせてすぐにその処理をすることが出来ます。
また犬が吠えること、これはしつけで吠えないようにしておくべきとの意見もありますが。犬の性格によっては吠えるのを止めさせるのは、簡単なことではありません。
特に避難所では、例え犬を連れていけたとしても人間の居住区域で犬と一緒にいられることはほとんどないでしょう。
ケージに入ることに抵抗しない犬にする
犬は専用の区画でケージに入っての生活となることがほとんどです。そこで犬がケージに入ることに抵抗感がないように普段から飼育環境を作っていることが重要になります。
普段、家の中を自由にしている犬でまったくケージに入れられたことがない犬は、ケージに入れられることがけっこうなストレスとなり、それが原因で普段吠えない犬が吠える、ということもあるでしょう。
普段からケージに入っている犬であれば、おとなしくケージの中にいられるケースは多くなると思います。
それでも普段とは全く違う環境でストレスはかかると思いますが。
でも少なくとも普段からケージに入ることを普通のこととしておけば、このような状況でも犬のストレスは少しは軽減されることは確実だと思います。
もともと犬をケージで飼うのは、犬を閉じ込めるという意味ではなく、犬に安心して休めるハウスを与える、ということです。
ペットホテルに慣れた犬にする
また、自宅以外のところ、飼い主さんがいないところでの寝泊まりに慣れるという意味で、普段からよくペットホテルに泊まっている犬の方が、このような時もストレスはかかりにくいでしょう。
ペットホテルに通いなれている犬は、環境の変化だけでなく、世話をする人が飼い主さん以外でもストレスを感じにくくなるはずです。
これはこのような状況では大切なことです。
例え避難所へ犬を連れて行けなくても、犬などペット専用の避難施設に入れる場合があります。
その時に、ケージでの生活に慣れていることと、飼い主以外の人に世話をされることに慣れていれば、例え初めて会ったボランティアの方に世話をされても、それを受け入れやすくなる、ストレスも感じにくくなります。
基本的なしつけを犬に教えておく
これは本来災害とは関係なく、行っておくべきことだと思っていますが、特に災害時に基本的なしつけができている=犬との主従関係と信頼関係ができている、ということはとても役に立ちます。
これが出来ていれば、犬が吠えるのを止めさせることもしやすくなり、基本的なしつけであるオスワリ、マテ、ハウスができているので、他の人に迷惑になるような行動をさせないようにもしやすくなります。
もちろん、ボランティアの方が犬の世話をする時も犬が世話を受けやすくなります。
少なくとも、噛み癖など攻撃的な犬にしつけていることがとても重要になるのです。
災害時にペットが避難できるかどうかは飼い主さん次第
上に挙げた3つの対策
- ケージに入ることに抵抗しない犬にする
- ペットホテルに慣れた犬にする
- 基本的なしつけを犬に教えておく
これは全て犬が自分で出来るわけではありません。
普段の飼い主さんの飼い方しつけ方の問題です。
これらは、例え災害時ではなくても、普段から行っていれば飼い主さんはもちろん、犬も楽になることなのです。
ましてや災害時にこれらができているかいないかが、愛犬を避難所へ連れていけるかどうか、また犬のための避難所などで犬がストレスなく生活できるかどうか、ボランティアの方に苦労を掛けずに世話をしてもらえるかどうか、ということに大きく影響するのです
いつ、どこで、災害が送るかわからない今の日本では、いざと言うときの愛犬の命のためにも、飼い主さんには考えてほしいと思います。
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