つい出てしまう「ダメ」「イケナイ」だけど・・・。
愛犬がいたずらをしたりなど、何か犬にしてほしくないことを犬がした時に、つい出てしまうのが、「ダメ」「イケナイ」という言葉ではないでしょうか。
でも、この言葉、犬には理解できていないことがほとんどだと思います。
「ダメ」「イケナイ」とは、”それをやってはいけない”、”やめなさい”、という意味で犬に行っていると思いますが、犬はその意味はわかりません。
もちろん、あらかじめ教えられていれば伝わると思いますが、教えるのも、簡単ではなく、むしろそう教えたつもりが、犬は全く逆の意味として理解していることがほとんどだと思われます。
多くの犬は、「ダメ」「イケナイ」と言われると、”もっとやれ”、”どんどんやれ”と理解していることがほとんどかもしれません。
つまり「ダメ」「イケナイ」と大きな声で言われれば言われるほど、犬の行動はエスカレートしていく可能性があるのです。
それはなぜなのか?
犬は教えられれば言葉も理解するようになるでしょう。
でもそれには、正確かつ的確に、何度も繰り返し教えられることが必要です。
理解するまでは、何を言っても犬にとっては単なる音でしかありません。
「ダメ」「イケナイ」も、男性が低い、いわゆるドスの効いた声で、犬が唸るように言えば、それが”やめろ”という意味だと伝わるかもしれません。
その言葉と言うよりも、その声の調子などから、犬はそれを察することが出来るでしょう。
でも例えば、女性や子供の甲高い声で、「ダメ」「イケナイ」と叫ぶように犬に言えば、犬は飼い主さんが興奮している、喜んでいる、と勘違いしてしまう場合があります。
大好きな飼い主さんが、興奮している、喜んでいる、と思えば、犬はもっと喜んでもらおうと、その行動をエスカレートさせてしまうのです。
それが何度も繰り返されていれば、「ダメ」「イケナイ」は、犬にとっては”もっとやれ”、”どんどんやれ”、というように学習してしまいます。
その結果、「ダメ」「イケナイ」は本来の意味とは全く逆の指示の言葉となってしまうのです。
と言って、女性にドスの効いた声で「ダメ」「イケナイ」と言うようにさせようとしても、それは難しいだろうし、また出来たとしても、人前でそんな言い方をするのは抵抗があるのではないでしょか。
「ダメ」「イケナイ」を教えるのは簡単ではない
では、「オスワリ」や「マテ」のように、「ダメ」「イケナイ」を犬にあらかじめ教えればいいだろう、という考え方もあり、それを推奨している記事なども見ることがあります。
確かにそうです。
でも、「ダメ」「イケナイ」を犬に教えるのは、「オスワリ」や「マテ」のように簡単ではないのです。
例えば、「オスワリ」を教えるときは、犬に強制的にオスワリの形をさせながら、「オスワリ」と言う、これを繰り返すことによって、「オスワリ」という音が聞こえたら、座るというように犬に学習させます。これも、何度も何度も繰り返すことによって、犬はそれを「オスワリ」という音と、座る、という行動を関連付けていきます。
「マテ」は、オスワリした状態、フセをした状態などで、「マテ」という音を聞いたときに動こうとしたら、リードでそれを止めます。それを繰り返すことによって、「マテ」という音と、動いてはいけない、という行動を関連付けていきます。
このように「オスワリ」や「マテ」は、犬の取るべき行動が具体的で、シンプルなので犬は理解しやすく比較的簡単に学習してくれます。
また、その学習するためのトレーニングもその場で繰り返し何度もすることが出来ます。
しかし、「ダメ」「イケナイ」を教えるのはそう簡単ではありません。
「ダメ」「イケナイ」と言うようなケースには、いろいろなケースがあります。
犬にやってほしくない行動は、オスワリのように、この形になればいい、というような単純なものではありません。
具体的にどういうときに言うのか、と言われてもあまりにもいろいろなケースがありすぎて、パッとは思いつかないぐらいですが、例えば、トイレ用のペットシーツで遊んでしまっている時にそれをやめさせる指示の言葉として教えるとしましょう。
その場合、まずは犬がペットシーツを見たら必ずそれを加えたりして引きちぎるなど、遊んでくれなければいけません。
でも、ほとんどの場合、ペットシーツを見つけたら必ず犬がそれで遊ぶ、とは限らないでしょう。
つまり、「ダメ」「イケナイ」と言う具体的な状況を作ることが難しい、ということになります。しかも、それはペットシーツで遊んでしまう、というケースだけではありません。まさに多種多様なケースがあるでしょう。
でも、仮にペットシーツを見つけたら必ずそれで遊んでしまう犬がいるとして、それを「イケナイ」でやめさせるようにするとします。
犬がペットシーツを見つけた、それで遊び始める、そのタイミングで「イケナイ」という言葉を発して止めさせるのですが、ただ「イケナイ」と大きな声で何度も叫んでも、犬にはそれが「ペットシーツで遊ぶのをやめろ」というように理解することはできないでしょう。
その言葉だけでやめさせるには、前述のようにかなりドスの効いた低い声、犬が唸るような声でしっかりと犬に伝わるように言葉を発することが必要です。
それはなかなか難しいし、女性や子供には無理な場合もあるでしょう。
従って、犬がペットシーツで遊び始めた、あるいは遊び始めようとしたタイミングで「イケナイ」と言いながらリードでのショックなどを使ってペットシーツで遊ぶことをやめさせる、ということをすることになります。
つまり「イケナイ」という音が聞こえたら、リードのショックが来る、というように犬に学習させることになります。
これを繰り返し教えて行けば、「イケナイ」という指示でペットシーツで遊ぶことをやめさせることは出来るようになるでしょう。
でも、単にリードでのショックで驚かせて止めさせるのであれば、犬は体で感じて学習することが出来ますが、それに「イケナイ」という音を関連付けさせるためには、より何度も繰り返して教えていく必要があるでしょう。
つまり、何度も犬をリードで驚かせなければいけないことになります。リードだけを使えば2~3回で教えられることを「イケナイ」という言葉と関連付けさせるために、その何倍も繰り返すことになるでしょう。それは犬にとってかなりの負担になるでしょう。
また、犬がペットシートで遊ぼうとするタイミング、「イケナイ」という言葉を発するタイミング、リードで驚かせるタイミングが合っていないと、また都度微妙に違っていると、犬は何で驚かされたのか、わからなくなってしまいます。
これを一般の飼い主さんが適切なタイミングで繰り返し犬に教える、というのはとても難しいと思われます。
しかも、いろいろなケースで「イケナイ」というひとつの言葉で犬が「今やっている行動をやめなければいけない」と必ず関連付けてくれるとは限りません。
「ダメ」「イケナイ」という言葉を犬に対する支持の言葉として教えるのは、とても難しいのです。
「ダメ」「イケナイ」がダメならどうすればいいのか?
このように、「ダメ」「イケナイ」はしっかりと教えないで使えば、逆効果にもなってしまう、でもしっかりと教えるのはとても難しい、ということで、結論としては、「ダメ」「イケナイ」は使ってはいけない、ということになります。
では、犬がやってほしくない行動をした時に、それをやめさせるには、どうすればいいのか?
これには主に2つの方法があります。
- 「オイデ」「オスワリ」「マテ」の指示を出す。
- やってはいけない行動をひとつひとつ教えていく。
「オイデ」「オスワリ」「マテ」の指示を出す。
「オイデ」「オスワリ」「マテ」という基本的なしつけが確実にしっかりと出来ていれば、何か、犬がやってほしくない行動をした時に、これらの指示を犬に出せばいいのです。
例えば、散歩でほかの犬や人に出合った時に自分の犬が吠えて、「イケナイ」という言葉が言いたくなりますが、その代わりに「オスワリ」「マテ」と指示をすれば、それが適切、確実に出来る犬であれば、飼い主さんに意識を戻して座って吠えるのをやめてその姿勢を保つでしょう。
もし、それが出来ないようであれば、「オスワリ」「マテ」がまだしっかりと教えられていない、ということになるので、そこからもう一度しつけトレーニングを行うことが必要です。
「オスワリ」「マテ」なんて出来る、という飼い主さんは多いと思うのですが、実際に、確実に、いつでもどこでも迅速にできる、というところまでしっかりとしつけられている犬はあまり多くはないようです。
「オイデ」「オスワリ」「マテ」というもっとも基本的なしつけだけでも、しっかりと出来る、つまりいつでも、どこでも、飼い主さんから指示が出れば即座にそれが出来る、というところまでトレーニングされていれば、何か犬がやってはいけないことをした場合でも、すぐにそれらの指示を出して、その行動をやめさせることが出来るようになります。
つまり、あえて「イケナイ」「ダメ」を教えなくても、「オイデ」「オスワリ」「マテ」さえしっかりと教えておけばいいのです。
やってはいけない行動をひとつひとつ教えていく。
でも、その都度指示を出さなくてもあらかじめ、やってはいけないことをひとつひとつ教えていく方法もあります。
例えば、拾い食いをする犬に、拾い食いをやめさせるには、そのためのトレーニングを行います。
室内、あるいは屋外でもどちらでもOKです。あるいはそれぞれで行った方がいいかもしれません。
あらかじめドッグフードなどの犬が拾い食いしそうなものを床や地面にばらまいておきます。
そこを犬にリードを付けて通ります。
そうすると犬は落ちているドッグフードを食べようとします。
食べようとしたところで、リードで驚かせて食べるのをやめさせます。
犬が食べるのをやめて、リードの持ち手に意識を向けたら優しく声をかけながら体を撫でて、驚かされたストレスをしっかりと解消してあげます。
これを1回か2回、多くても3回繰り返せば、犬はその場では拾い食いをしないようになります。
しかし、その時は出来ても、次の日はまた拾い食いをしてしまうかもしれません。
そこで、そのトレーニングを2~3日以上繰り返し行い、完全に拾い食いをしないようにさせていきます。
また、場所を変えて、どこでもしないようにもさせていくのです。
この用にある特定の行動をやめさせたいときは、あえてその行動をするようにさせてそれをやめさせる、というトレーニングを行うことにより、あえてやめるような指示を出さなくても犬がその行動をしないようにトレーニングを行うのです。
ふいに犬がやってほしくない行動をした時には、「オイデ」「オスワリ」「マテ」という指示でやめさせる、特定の行動をやめさせる時は、そのためのトレーニングを行う、ということで対応するのが良いと考えます。
犬が何かしらやってほしくない行動をした時には、「ダメ」「イケナイ」、つい出てしまいがちですが、逆効果にもなってしまいかねないので、このように対応出来るように、最も基本となる「オイデ」「オスワリ」「マテ」をしっかりとトレーニングしておきましょう。
ただし、その前提としてリーダウォークが出来ていることが必要なので、場合によってはそこからスタートしてください。
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