ボーダーコリーの性格とその歴史的な背景

ボーダーコリーを肌で感じた性格

ボーダーコリーという犬種は、どういう性格を持つ犬なのか、ボーダーコリー専門のブリーダーさんとの話に加えて、ペット・トライアングルがネットペットショップとしてそのボーダーコリー専門ブリーダーさんから300頭近くのボーダーコリーをお引渡ししたボーダーコリーと迎えた飼い主さんからのお話、そして実際に私たちが飼っているボーダーコリーたち、ドッグトレーナーとしてトレーニングしてきたボーダーコリーたち、など実際に接してきたたくさんのボーダーコリーから自分の肌で直接感じたボーダーコリーの性格をご紹介します。

まずは、実際にたくさんのボーダーコリーと接した中で、ボーダーコリーという犬種について、感じたことをリストアップしてみます。

  • ボーダーコリーの性格は極端に出やすい場合が他の犬種に比べて多い。(とても人懐っこいか、とてもシャイになるか、攻撃的で扱いにくくなるかなど)
  • スポーツドッグとしてトレーニングすれば優れた成績をとれる犬になる。(運動能力、状況判断能力がとても優れている)
  • 家庭犬として適切な飼い方しつけ方をすれば、最高の家庭犬となってくれる。(基本的なしつけさえしっかりとすれば、他の犬種では味わえないような最高のパートナーになってくれる)

こんな感じでしょうか。

牧羊犬としてその能力を高められたボーダーコリーだから

これらは、牧羊犬として優れた能力を持つように作られてきたボーダーコリーの持つ歴史的な背景からボーダーコリーが身に着けてきた特性、性格が影響していると考えられます。それは、ボーダーコリーという犬種の持つ、次の特徴、性格です。

  • 賢く、状況判断能力に優れている。
  • 運動能力が極めて高い。

賢く、状況判断能力に優れているからこそ、適切な飼い方しつけによってボーダーコリーとの主従関係と信頼関係がしっかりと作ることができれば、人懐っこく本当に素晴らしい最高の家庭犬、生活のパートナーになってくれます。

そして、牧羊犬として養われてきた優れた運動能力はスポーツドッグとしても、優れた結果を残すこともできるのです。ただし、優れた成績は単に運動能力が高いだけでは出せません。優れた状況判断能力があるからこそ、高い運動能力を生かせるのです。

ただし、賢く状況判断能力が高いだけに、適切な飼い方しつけ方をされずに育ってしまうと、自分が家族のリーダーとして存在感を示そうという本能に火をつけてしまうことにもなりかねません。そうなると、攻撃的でとても扱いにくいボーダーコリーに育ってしまう、ということもあるのです。

また、牧羊犬としての能力を高められてきたボーダーコリーは、自分の周りの状況や情報をすばやく察知する能力も優れています。それが強く出るような性格のボーダーコリーは、とてもシャイに見えるようになったり、また動くものにとても敏感に反応するようになる、ということがあるのです。

そのため、警戒心が強い場合があったり、自転車や車を追いかけようとする、夜は車のヘッドライトを追っていく、と言うようなボーダーコリーも複数知っています。

現在のボーダーコリーの性格に影響する2つの要素

こういったボーダーコリーの性格は、2つの要素によって、その方向性が影響を大きく受けると考えられます。

  1. ブリーダーのボーダーコリーの交配のさせ方と生まれてからの育て方。
  2. ボーダーコリーを迎えた飼い主となる人間の飼い方しつけ方。

ブリーダーのボーダーコリーの交配のさせ方と生まれてからの育て方

現在のボーダーコリー、特に日本でのボーダーコリーのほとんどは牧羊犬としてではなく、ペットとして迎えられていると思われます。そして、その一部はスポーツドッグとして育てられたりもしますが、今は普通の家庭犬として迎えられることも多いと思われます。

牧羊犬であれば、しっかりと羊をまとめてくれさえすれば良い(というと語弊があるかもしれませんが)のですが、ペットとして迎えるとなると、人懐っこい、という性格が必要になってきます。

そこで、問題になるのがボーダーコリーのブリーダーが子犬を生ませるために、どういったボーダーコリーの親犬、つまり交配に使う犬を選ぶか、ということです。

本当にボーダーコリーが大好きなボーダーコリーのブリーダーであれば、送り出すボーダーコリーの子犬がやがて迎えてくれるであろう飼い主となる人、その家族に愛されるように、人懐っこい性格の子犬が産まれるように努力します。つまり、攻撃的な性格、シャイな性格など、ペットとして不適格な性格の犬は後輩に使わずに、オスもメスも人懐っこい性格のボーダーコリーを交配させます。それでも生まれた子犬がすべて人懐っこい性格とは限りませんが、少なくともそういう努力をしています。

しかし、ブリーダーの中には単なる犬種の人気に乗って、そんな交配する犬の性格など構わずに、子犬を生ませるブリーダーもいます。当然、攻撃的な性格の犬でも構わずに交配させてしまいます。そうなると、先天的にペットとして不適格な性格のボーダーコリーも生まれ来る可能性が高くなってしまいます。

また、ボーダーコリーを愛するブリーダーは生まれた子犬を親犬任せにせずに、ブリーダーという人間の手も加えて親犬と一緒に子犬と触れ合い、育てていきます。そのため、新しい飼い主さんに迎える前から、その子犬は人間に対する警戒心など持たないように育っていきます。

しかし、ブリーダーによっては子犬を出荷するまでほとんど親犬まかせ。そうなると、その後になって人間に対する警戒感を持つようになる犬も出てきてしまいやすくなってしまうのです。

ボーダーコリーは性格が極端に偏りやすい傾向がある犬種です。したがって、どんなブリーダーのところで生まれたのか、というのも大きな影響を与える要素となるのです。

またボーダーコリーには「CL」という遺伝性疾患が多いという問題もあります。これもブリーダーがしっかりと管理すれば問題ないのですが、そうでない場合はその心配もあります。CLについては先天性脳疾患 CLについてを参考にしてください。

ボーダーコリーを迎えた飼い主となる人間の飼い方しつけ方

持って生まれた性格に問題がなくても、育て方、つまり飼い方しつけ方によってもその後のボーダーコリーの性格は変わってきます。素晴らしい最高のパートナーとなるか、とても扱いにくい犬になってしまうか。これは、前にも書いた通り、ボーダーコリーの状況判断能力の高さと運動能力の高さによって、極端に変わってしまうのです。

そのどちらになるかは、飼い主となる人間たちがボーダーコリーから頼られ愛されるリーダーとなるか、または、ボーダーコリーが人間を従わせようとするリーダーになろうとしてしまうか、の違いによるものです。

つまり、ボーダーコリーを飼う場合には、他の犬種以上に、ッボーダーコリーとの人間が主となる主従関係と強い信頼関係が重要になるのです。

ただし、特に問題のない性格と一言にいっても、ボーダーコリーもそれぞれ個性があります。人間と同じです。十頭いれば、十個の違う性格があります。十頭十色です。ボーダーコリーにもいろいろな性格の犬がいるので、それに対応した飼い方しつけ方をしていくことも必要になるでしょう。

ボーダーコリーは運動をさせなければいけない、という勘違い

ボーダーコリーはスポーツドッグとしてとても有名優秀なことからよく勘違いされることがあります。

それは、「ボーダーコリーを飼ったら、たくさん運動をさせなければいけない、広いところを駆け回らせてあげなくてはいけない」という勘違いです。

牧羊犬としての能力を高めることを目的に作られてきたボーダーコリーの運動能力はとても高く、スポーツドッグとして優れた成績を残す犬も多いのは事実です。

でもそれは、スポーツドッグとして運動能力をより高めるようなトレーニングすればより優れた能力を発揮させることができる犬種である、ということです。

それは、そういった運動能力を高めるトレーニングをしなければいけない、ということでは全くないのです。

家庭犬として普通のペットとして迎えるのであれば、普通の犬の育て方、飼い方で全く問題ありません。

普通に散歩して、普通に犬のしつけをすれば良いのです。

人間のアスリートだって、運動しなければ生きていけないわけではありません。普通の人として生きることだってできるわけですから、ボーダーコリーだってそれと同じです。

もし、ボーダーコリーは運動させるのが大変だから、広い庭がないと飼えない、と思っている方がいれば、それは全くの勘違いです。

もちろん、トレーニングすればその運動能力をより引き出すことは出来ますが、その場合はより適切なしつけトレーニングも必要です。スポーツドッグとして優秀なボーダーコリーはその飼い主さんとの主従関係と信頼関係もしっかりと出来ているので、家庭犬としても優秀です。

では、このボーダーコリーが、どうしてこんなに状況判断能力に優れ、運動能力にも優れた犬種になっていったのか、その歴史的な背景もご紹介しておきたいと思います。少し長くなりますが、ご興味あればご覧ください。

ボーダーコリーという犬種の性格を作り上げた歴史的な背景

ボーダーコリーの歴史のページでも書いていますが、ボーダーコリーはもともと牧羊犬として、その作業能力だけに重きを置いて改良されてきた犬種です。

牧羊犬といっても、牧場をイメージするような広くて平らな草原のようなところではなく、スコットランドの、牛ではとても暮らせないような険しい山岳地帯を仕事場としてきた犬種です。

そんな環境が、極めて高い運動能力と状況対応能力をボーダーコリーに身に付けさせた、ひとつの大きな要因と言っても良いでしょう。

羊をまとめるために、吠えたり、威嚇したり、攻撃的な行動もしたことでしょう。

したがって、もともとボーダーコリーの祖先にはそういった面を持っていた犬も少なからずいたと想像できます。

しかし、ボーダーコリーについて調べていくと、必ずしもそういった攻撃的な性格、行動が現在のボーダーコリーの本来の姿ではないことがわかってきます。

その理由となるのは、現在のボーダーコリーの大元になる2頭の牧羊犬です。ボーダーコリーを調べていく中で、この2頭にたどり着きました。この牧羊犬としてとても優れた2頭のボーダーコリーは攻撃的な行動を使わずに羊の群れをコントロールしていたのです。以下、それを調べていくために下記のサイトを参考にさせていただきました。

現在のボーダーコリーの性格を生んだ大元となる2頭のボーダーコリー

最初の1頭は、オールド・ヘンプ(Old Hemp)という1893年に生まれた牧羊犬です。

オールド・ヘンプは「近代ボーダーコリーの父」と呼ばれている犬で、現在存在するボーダーコリーで、オールド・ヘンプの遺伝子を持たないボーダーコリーはいない、と言われています。

オールド・ヘンプは1歳でシープドッグ・トライアルに出場すると、その後出場する多くのシープドッグ・トライアルで優勝を重ねる素晴らしい能力を持った牧羊犬だったといわれています。

そして、オールド・ヘンプが羊を従わせる際の最大の特徴は、「眼の力」で「静かに」羊の群れをコントロールすることだったと言われています。

つまり、それ以前の牧羊犬は吠える、威嚇するなど攻撃的な行動で羊を統率したのに対して、オールド・ヘンプはそういった攻撃的な行動は一切せず、平穏に羊を統率する能力があったとのことなのです。

このオールド・ヘンプの羊のコントロール方法では、羊たちがオールド・ヘンプを信頼したかのように彼の指示に従い、羊たちがストレスなくコントロールされることに、当時の羊飼いたちはオールド・ヘンプから「本来あるべき牧羊犬の姿」を学び、この犬を賞賛しました。

ただ、オールド・ヘンプの父犬、母犬ともずばぬけて高い作業能力を持っていたわけでもないようで、なぜオールド・ヘンプがこのような能力を持っていたのかはわかりません。

しかしながら、このオールド・ヘンプは200頭以上のオス、数え切れないほどのメスを子孫として残し、この優れた能力を後世のボーダーコリーに残し、まさに現在のボーダーコリーは全て、オールド・ヘンプの血を引いているのは事実のように思われます。

このオールド・ヘンプは1901年に8歳で、その生涯を閉じたといわれています。

もう1頭は、オールド・ケップ(Old Kepまたは Auld Kep)と呼ばれていた牧羊犬です。オールド・ケップは、オールド・ヘンプが生涯を閉じた1901年に生まれたと言われています。

このオールド・ケップの大きな特徴も、「眼の力」であったようです。羊たちは、オールド・ケップの「視線」でコントロールされたと言われています。

そしてオールド・ケップのもうひとつの特徴が、「優しさ」であったと言われています。

前述のとおり、もともとボーダーコリーの元となる牧羊犬は、気性が荒く、攻撃的な面を持つ傾向があったようですが、オールド・ケップは極めて穏やかで優しい犬であったようです。

その穏やかで優しい犬が、非常に高い羊のコントロール能力を持ち、第2回のインターナショナル・シープドッグ・トライアルのウィナーとなり、シープドッグ・トライアルで45勝をあげたとされています。

上記の2頭、オールド・ヘンプとオールド・ケップに共通しているのは、それまでの牧羊犬と違い、攻撃的な行動ではなく、静かに、羊たちにストレスを与えることなく、極めて高いレベルで、優しく羊の群れをコントロールしたことです。

これが現在のボーダーコリーの本質だと思います。

つまり、もともとの牧羊犬は攻撃的な傾向を持つ犬であったが、オールド・ヘンプを父とする現在のボーダーコリーの本来の性格は決して攻撃的ではないのです。

ただし、もともとの血筋には攻撃的な気性も入っているので、考えなしにボーダーコリーを繁殖して、愛情を持って育てないと、その攻撃的な血の強いボーダーコリーが生まれたり、攻撃的な面が環境によって強調されていくことにより、現在、攻撃的な気性、性格を持つボーダーコリーが増えているのだと容易に想像が出来てきます。

ラブラドールレトリバー、ゴールデン・レトリーバー、またハスキーなどがそうであったように、今後、ボーダーコリーの人気が上がれば上がるほど、こういった本来持つべき性格や気性とは外れた攻撃的な面を持つボーダーコリーが増えていくことも予想され、とても心配になります。

さて、話をオールド・ヘンプとオールド・ケップに戻します。

オールド・ケップが生まれた1901年に、オールド・ヘンプはその生涯を閉じてしまいました。しかし、オールド・ケップの血は、オールド・ヘンプの子孫にも混じっていくことになります。

また、1906年に結成されたインターナショナル・シープドッグ・ソサエティ(ISDS)がその年に開催した最初のシープドッグ・トライアルで優勝したドン(Don)はオールド・ケップの直接の息子でした。

そのドンは、オーストラリアに輸出されたため、このオールド・ケップの血が現在のオーストラリア・ボーダーコリーに強い影響を与えていると言われています。

現在一般に、オーストラリア系のボーダーコリーは穏やかで優しい性格をしていると言われていますが、これは、オーストラリア系のボーダーコリーの大元に、ドンという「穏やか」で「優しい」オールド・ケップの直接の血を引き継ぐ犬がいるためかもしれませんね。

その後にも、ウィストン・キャップ(Wiston Cap 1963-1979)などの有名なボーダーコリーが登場することになりますが、現在のボーダーコリーの大元は、オールド・ヘンプであり、また特にオーストラリアのボーダーコリーはオールド・ケップでもあるといってよいと思われます。

現在のボーダーコリーは、この2頭から大きな影響を与えられているのは確かで、本来のボーダーコリーの性格は、静かで、穏やかで、優しいというのが正解だと思うのです。

だから、ペット・トライアングルでは、この本来のボーダーコリーの気性、性格をしっかりと引き継がせようとする努力をしているボーダーコリー専門犬舎からのみ、ボーダーコリーをご紹介していたのです。

ボーダーコリーの性格をうまく引き出せば最高の家庭犬になるのです

以上のようにボーダーコリーは本来、オールド・ヘンプやオールド・ケップの血を引く、穏やかで優しく、かつ極めて状況把握能力、状況適応能力(=作業能力)に優れた犬種です。

最初にも書いた通り、適切な飼い方としつけトレーニングによって、ボーダーコリーとしっかりとした主従関係と信頼関係を作り、ボーダーコリーから飼い主となる人間がリーダーだと認識されれば、極めて優秀な家庭犬、他の犬種では味わえないような愛すべきパートナーにもなれる犬種なのです。

ボーダーコリーは本来は、穏やかで優しい性格なのです。

だからこそ、ボーダーコリーの飼い主となる人にはそれなりの意識を持つ方になってほしいと思うのです。そうでな場合はボーダーコリーの性格が悪い方向へと向かってしまうことにもなりかねないのです。

ボーダーコリーはそういう性格を持つ犬種であるということを多くの方に知っていただきたいと思います。

そのためにあえて、ボーダーコリーをお勧めできない人、というテーマでもページを作成していますので、ボーダーコリーを飼ってみようかという方は、そちらもご覧になって頂きたいと思います。

最後に付け加えておきますが、ボーダーコリーのしつけトレーニングは決して難しくありません。当然訓練性はとてもよく、面白いようにしつけの入る犬種です。

ボーダーコリーの良き性格を引き出してあげたいという強い気持ちと、単純なしつけトレーニングを継続的に続ける忍耐力さえあれば、誰にでもボーダーコリーを良きパートナーとすることは出来るのです。

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